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フリーター生活がしんどいので、副業ダンジョンで日常をちょっと豪華にしようと思う  作者: 早乙女らいか


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第2話 講習が始まる

「ここが講習の会場か……」


 三階で指定の部屋に向かった後、ガチャっと扉を開ける。そこには十数名の個性豊かな面々がすでに席に着いていた。


 未成年らしき若い子から中年のおじさんまで。

 制服を着た女子高生もいる?


 男女比は半々くらいか。

 全員、スキルに目覚めたってことでいいのかな……


「失礼しまーす……」

「ん」


 どこも空いてなかったので、嫌々怖そうな兄さんの隣に座る。

 ネックレスとかタトゥーとか、いかつすぎ。

 この人に脅されたら、俺すぐ金出しそうだ……

 講習、早く終わらないかな。


「みんな揃ってるかしらー?」


 全員が扉の方を見る。

 ……めっちゃ美人なお姉さんだ。


 赤髪のポニーテール。顔立ちはキリッとした綺麗系の雰囲気。

 そして胸元の上部がはだけて、ミニスカートから伸びる生足はむっちりしている。

 すごく色っぽい。けど、ダンジョン協会の人がこんな露出の高い格好で大丈夫なのか?


「お姉さんの胸を見るのもいいけど、講習には集中してねー?」


 お姉さんのウィンクと共に、俺を含めた男性陣が一斉に視線を逸らした。

 数少ない女性陣はため息を吐いたりと冷たい反応。

 妙に気まずい空気が室内に流れていく……


「それでは講習を始めるわ。私はダンジョン協会から指導員を任された如月紗理奈よ。よろしく♪」

「「「よろしくお願いしまーす」」」


 如月さんの挨拶で講習は始まる。

 彼女から一人一枚ずつ紙が手渡され、その内容を確認しながら講習は進む。


「まずはダンジョンについて。みんな、ダンジョンって楽にお金が稼げる場所だと思ってる?」


 しょっぱなから踏み込んだ話だ。

 そんな簡単な世界じゃない。モンスターが住むダンジョンは現実とはまるで別物だ。


「まぁ、今どきダンジョンが簡単ではないことは理解してると思うわ。けど、それだけでダンジョンを生き残るのは難しいわよ」


 如月さんの声が一段と低くなり、ヒリついた空気が流れる。


「ダンジョンとモンスター。これらは現実の常識が通用しない“異常現象”よ。最大限警戒して、万全の準備をして、正しい知識と実力を身につけて探索する……けど、それでも死者は必ず出る」


 その言葉の一つ一つに、経験してきた人間だけが持つ重みがあった。


「自分は大丈夫……その先入観が一番危険。これは命をかけた仕事だということを改めて理解してほしいわ」


 副業感覚で始めたけど、これはバイト以上に本気でやらないとダメそうだ。

 自分の認識の甘さを思い知らされる。


「まずはスキルの解説からいきましょう……そこの女子高生ちゃん、自分のスキルについて理解している?」

「えっと、目覚めたばかりで……」

「そうよね。まずはスキルの確認方法について教えるわ。“オープン”という単語と共に、PCのウィンドウ画面をイメージしてみて。それでスキルの詳細が出てくるから」

「ウィンドウ……?」

「まあ感覚の問題よ。ウィンドウは使用者にしか見えないから、自由に試してみて」


 すごく抽象的な説明だな……。

 スキルに目覚めた時もだけど、ダンジョン関連の現象って感覚ベースでしか伝わらないのか?

 まあ試してみよう。


「うおっ!?」

「これが私のスキル……」

「すげぇ……」


 みんな、目の前に何か出たらしい。

 傍から見ると、透明な壁に驚いてるようにしか見えないが。


 PCのウィンドウ画面を想像しながら“オープン”だっけ?

 オープン……オープン……


「お、なんか出た」


 ピコンという音と共にウィンドウ画面が表示される。


★★★★


【クールダウン】

分類:パッシブスキル

〜効果〜

・スキル獲得後、MP制を廃止し【クールダウン】に統合。

・使用したスキルは一定時間経過後、再度使用できる。

・クールダウンの秒数はスキルによって変動し、レベルアップによってボーナスを得ることもある。


★★★★


 これが俺のスキル……文章を読んでも意味がわからない。

 MP? 再使用?

 見た感じ、別のシステムに置き換えられたっぽいけど、これは強いのか?


「あの……このスキルって……」

「ストップ」


 俺の疑問を如月さんは割り込むように止める。


「スキルは個人情報よ。不用意に他人へ漏らすのはあまりよくないわ」

「住所や電話番号みたいなものですかね?」

「そんな感じ。スキルを持った貴方たちは“人間兵器”。周りにバラした人が怪しい研究機関に連れていかれたケースがあってね」

「ひえっ」


 それは恐ろしい。確かにネットでスキルを公開してる人ってあんまりいなかったけど。

 スキルは超常現象みたいなもので、人によって効果や内容が違う。

 俺のスキルもなんか変だからな……隠すに越したことはないか。


「信頼できるパーティなら大丈夫よ? けど、不特定多数に広めるのはオススメしないわ」

「俺の認識が甘かったです。すみません」

「一つずつ理解すればいいのよ。ダンジョンの世界はわからないことだらけだから」


 朗らかな笑顔と共にウィンクを返す如月さん。

 ダンジョンのルールは少し特殊だ。

 またやらかすかもしれないし、今のうちにメモだけしておこう。


「というわけでスキルの解説は終わり。次は……」


 そこからは事務的な内容やダンジョン内でのルールについて動画付きで解説された。

 こういうの、車の免許を取る時に見た気がする。

 ちゃんと作ってるんだなぁ……


◇◇◇


「さて、ここが最後よ」

「おぉ……」


 なんやかんやで、いざダンジョンへ。

 ダンジョン協会の地下に実際のダンジョンがあるらしく、俺たちは特別なエレベーターで地下へ向かった。


 そこは地上とは違う雰囲気の空間が広がっており、武器や防具を持った人たちがそれなりにいた。

 素材買取受付? 武具の売店?

 一気にダンジョンって感じがしてきたなぁ。


「ここがダンジョンの入口。今からここで実戦を見てもらおうと……あ、凛ちゃんやっほー♪」

「如月さん? 協会でのお仕事中は露出を控えてと言いましたよねぇ?」

「なーに固いこと言ってるのよ。また飲みに行きましょ♪」

「話を聞いてください……もぉ」


 呆れる職員さんにも構わず如月さんは先へ進む。


 やっぱあの格好よくないんだ。

 意地でも着てるってことは趣味なのかな?


 というわけで如月さんに案内されるがまま、ダンジョンの入口から中へと入っていく。

 見た目は普通の洞窟みたいだけど、バリケードやフェンスでしっかり封鎖されている。


(ちょっとだけ体が軽くなった?)


 ダンジョンに入った瞬間、体が少しだけ動かしやすくなった感覚があった。地上とダンジョン内じゃ、重力でも違うのか?


「というわけでここがダンジョン。意外と広いでしょ?」


 中は意外と明るい。岩壁に囲まれた洞窟だけど、壁面が見たことない色をしている。

 空気も外と全然違う。

 まるで異世界に来たみたいだ。


「キシャア……」

「え?」


 少し進むと角の方から緑色の化け物が現れた。

 確かゴブリンだったかな。

 ナイフを持って、不快な鳴き声を出しながら俺たちを見ている。


「一歩外に出れば危険地帯。モンスターは待つことを知らないわ」

「キシャアアアア!!」


 如月さんの説明が終わった瞬間、ゴブリンが如月さんに向かって襲いかかってきた。


「っと……このようにモンスターは人を見つけたら襲いかかってくるわ。動物みたいに温厚な個体はほとんどいないと思って」


 受け止めた!?

 攻撃を避けた後、ゴブリンの腕を子供みたいに掴んで身動きが取れないように固めている。


「よいしょ」

「ギシャッ……」


 そして足蹴りでゴブリンの体を一瞬で肉片へと変えた。


「すげぇ……」


 軽い拍手が鳴る。

 俺たちは呆然としているのに、如月さんは平然としている。これがベテランの実力か。

 いつかは如月さんくらい淡々とこなせるようになるのだろうか。


 ピコン!!


『アクティブスキル:武器強化を獲得しました』

「え?」


 なんだこの音声?

 今、スキルを獲得したって聞こえなかったか?


「なんだこれ?」

「勝手に音が……」

「それは初回ボーナスよ。ダンジョンで初めての戦闘を行うとボーナスでアクティブスキルが貰えるの。最初から二個も使えるのはお得でいいでしょ?」


 そんなボーナスが……。

 如月さんがここに連れてきたのは、ダンジョンの危険性を教えるのと同時に、俺たちへ初回ボーナスを付与するためだったのか。


 ラッキーだ。手数は大いに越したことはない。

 何のスキルをゲットしたのかは後で確認するとして……


(俺、一個なんだけど……)


 今、初めてアクティブスキルをゲットしました。

 如月さんはアクティブスキルが二つある前提で話しているけど……やっぱ俺のスキル事情って誰にも話さない方がよさそう。

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十数名で座る所無いって部屋小さすぎない? 車免許更新時の講習でも軽く30人は座れるよ?。 (田舎警察署でも)
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