大海のハバラ
「さてそれでは議題を」
ゲーテがまたしきりなおそうとすると隠れ家が揺れる。
「な、なんだ!また魔物か!?」
隠れ家にいた男が叫ぶとゲーテはテーブルを殴り
「慌てるなお前ら。僕が外を見てくるからお前らはここにいろ!」
ゲーテは得物である弓をかつぐと隠れ家から出て外の様子を伺う。隠れ家からでてすぐ近くにいたのは大蛇の魔物だった。
「大蛇ごときが僕らの崇高な革命を邪魔しようなど。本当にムカつく魔物だ」
ゲーテは弓を装備し、大蛇に向けて矢を放つ。大蛇は最初はものともしていなかったが大蛇の顔が急にげっそりと変化していく。
「ガァ?」
「僕は渇きのゲーテ。僕の攻撃を受けたものは水分をとられる。人間だろうと魔物だろうとね」
その一撃は百発百中、当たれば猛毒ならぬ飢えた状態へと追いこみ、敵をおいつめる弓兵。
人間 渇きのゲーテ
ゲーテが魔物を倒すのを別の方角から見ている男がいた。男の見た目は体は青く、背中にはタコのような足が生えていた。目の色は黄色で両手に一本ずつ槍を持つ。
「あれが渇きのゲーテですかい。レジスタンスのリーダーがあの程度ってことは殺すのは簡単っすね」
男はゆっくりとゲーテのいるところに向かう。
ゲーテは大蛇を倒した後、次の動きに備えていると少しの殺気を感じ、殺気の感じた方に弓をかまえる。
「そこにいるやつは誰だ!でてこないならうつぞ!」
「まぁまぁ。待つっすよ。渇きのゲーテさん」
男は姿を現す。男の姿を見た瞬間、ゲーテはゴミを見るような目で男を見て
「半魔か」
「へぇ。半魔を知ってるんすね。意外っす」
半魔。それは人間と魔族の血が混じりあったり者のことである。人間は半魔を嫌悪し、魔族も半魔を基本嫌悪する。
「半魔が俺になんのようだ?殺されにきたのか?」
「いやいや冗談でもそんなこと言わないでほしいっす。おいらは大海のハバラ。今からあんたを殺す者っす」
ゲーテの前に現れた体の色は青く、背中にタコのような足が生えている男は名乗る。
「大海のハバラ?そんな名前聞いたことないな」
「大丈夫っすよ。自分も渇きのゲーテなんて聞いたことないっすから」
ハバラが言った瞬間ゲーテは弓をかまえ、矢をハバラに向けて放つ。ハバラは背中のタコの足で矢を掴み、ゲーテに向かって投げつける。
「ちっ!」
ゲーテはかえされた矢をまた矢で射抜くと今度は矢を近距離にまで近づいて放つ。
「これで終いだ!」
「やはりこの程度っすか。レジスタンスなんてたかが知れてるっすね」