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穴あけムジナ

「誰だ貴様は?何でこんなところにいる」


 スピリアスが近づいてきた男に聞くと男は


「僕?僕は穴あけムジナ。よろしくね」

「よろしくね、だと?この俺をなめているのか貴様!」


 スピリアスはムジナに雷の異能で雷撃を落とす。


「どうだ!俺の異能はあの魔王をてこずらせたものだぞ!お前のような弱者にこの雷撃はうけとめきれんだろう!ははは!」


 スピリアスが高らかに笑っていると


「え?おじさん今のが全力ってほんと?」


 スピリアスの隣にムジナがおり、スピリアスは驚く。


「ば、ばかな!貴様いつの間に!」

「いつのまにとか言われてもな。見せたほうが早いかな」


 ムジナは背中に装備していた細い剣をぬき、スピリアスに向ける。


「そんな細い剣でこの雷神スピリアスが」


 スピリアスが喋っている間にムジナは軽く細い剣を前に出すときっ先を向けられていたスピリアスの片腕がなぜか貫かれる。


「な、」

「あーあ。またやっちゃった。おじさん。ごめんね。片腕に穴を開けて」


 穴が空いたスピリアスの片腕はぼとりと地面に落ちる。スピリアスは片腕がやられた瞬間、即座にムジナにちかづきムジナの顔に直接雷を叩きこもうとした瞬間、ムジナはもうスピリアスの首をはねていた。


「へ?」

「ほんと弱い奴らばかりで退屈だなぁ。雷神とか言われてる強い人がいるからゴアン王国に来たのに雷神の名を語る偽ものがいるなんて聞いてないよ」


 ムジナはスピリアスの首をはねた後にいうとアスベスがムジナに近づき


「その男こそ雷神スピリアスだ。貴様強いな」

「あれ?誰ですか?」

「我はアスベス。空のアスベスだ。貴様魔王討伐に興味はあるか?」


 アスベスがムジナに聞くとムジナは


「え、魔王がいるの!?ぜひ手合わせしたいな。僕前遠くに行ってて魔王がどこか行ったとか知らなくてさ。帰ってくるってこと?」

「そうだ。魔王様は帰ってくる。興味があるなら連れて行こう。魔王様のところに」


 アスベスはムジナに言うとムジナは大層喜んだ。

 彼の異能は触れたものに穴を開ける異能である。だが彼は異能だけではなく剣の腕にも秀でており、彼の前に立つものは触れておらず共、体に穴を開けるほどの実力を持つ最強格の存在。その実力は魔王がいた時には見つからず埋もれていた逸材。


 魔王討伐トーナメント。


 空のアスベスの候補 人間 穴あけムジナ


 ムジナのような存在が今や各地に現れており、魔族達は魔王のためにその強者を集める旅をしていた。空のアスベスもその一人であった。

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