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半魔

 鬼人族。それは鬼族と人族の半魔族、つまりは半魔だ。しかし今まで鬼族と人族の半魔はこの世界で確認されていない。鬼族は鬼族以外と交わると多種族は多大な拒絶反応を起こしどちらかが死んでしまうからだ。


「この鬼面のライアが鬼族と人族との半魔ときいて驚いているようだが。この世界は異能に溢れているんだ。こんなことあっても不思議じゃないだろ?」

「い、異能であんたみたいな化け物が生まれたのかい。全くそれはそれは」


 ルクガンは勢いでライアの棍棒をはじいた後、ライアに向かって鎌で攻撃する。


「これは少しやりにくいかな。仕方ない。そこのゴミクズを回収するよう言われていたが」


 ライアはルクガンから距離をとると地面に思いっきり棍棒を叩きつける。


「っ!」

「優しい僕は今回はひいてやろう。そいつはもうどうにでもするといいよ。どうせそいつは役には立たないだろうから」


 鬼面のライアはルクガンにそれだけ言うとルクガンの前から逃げる。


「あんなやつがいるなんて。魔王がいた時代にあれが、いやいたのかな?まぁ考えても仕方ないか。とりあえずはこいつを持って帰るか」


 ルクガンはアコウズを雑に背負うとクランクル新聖王国に戻った。




 ゴアン王国にいた穴あけムジナは空のアスベスと共にとある国へ向かっていた。


「アスベス。本当に魔王のいるところに連れていってくれるの?」

「そう慌てるな。今はまだ帰ってこない。魔王様もただいなくなったわけではないからな。魔王様が帰還する前に魔王の名を語るあの半魔に近い人間を始末せねばならん」


 アスベスはムジナに言うとムジナは


「魔王自称者がいるの?そいつは強い?」

「強さ的に言えばまぁまぁではないのか?あの時と変わっていなければな」

「へぇ。強いんだ。それは楽しみ」


 ムジナは喜びながら歩くとアスベスは


「ムジナ。気づいているか?我らをつけている者がいる」

「うん。もちろん気づいてるよ。しかもかなり強そうだよね。一人は僕並みに強いかも」


 ムジナは腰に装備していた細い剣を抜くと後ろに振り向いて突きをかます。


「今の突き。すごいじゃないか。自分は驚いたよ」


 ムジナは背後から近づいてきていた男の姿を見る。男の特徴は緑の鋭利な牙があることだった。


「......人間?」

「無論だよ。この緑の牙はよくわからんが生まれた時からこうなんだ。だからまぁ気にしなくていい。自分は緑の牙のオルス。お前の名は?」

「僕は穴あけムジナ。僕の異能は穴を開ける異能。今みたいにね!」


 ムジナはオルスに対しまた突きをくりだした。

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