進化のアーク 2
「聞いたことがある。村一つを滅ぼしたことがある異能使いがいると。ただそいつのやり口は酷く、村の人達は望まぬ姿へと変化した死に方だったと」
「何を言うんです。私の異能はその人や他の生き物の進化をうながす異能ですよ?それを理解できない凡人が私にそんなこと言わないでください。私の体も進化の可能性を持つ、まさに未知の可能性のかたまり。だからこそ」
アークは片腕を手袋をしていない片腕で触れると
「さぁ!進化するんです!私の腕!」
アークが叫んだ後アークの片腕は進化し、腕の先が魔獣のような腕に変わる。
「それは、進化なのか?」
「これはあくまで可能性よ。私の異能は進化というものだけどどちらかといえば想像に近いわ。だからこんなこともできるの」
アークはラーデに近づくと進化させた腕でラーデにつかむ。
「うぐっ!」
「あら。さっきみたいに避けるものと思っていたけどまさかうけるなんて」
「か、体が上手いこと動かなかっ、た。なぜ」
ラーデが言った後、アークはラーデを掴みながら
「さっきあなたが受けていた草のつる。簡単にちぎれたのには理由があってね。こういうのよ」
アークはラーデを掴みながらちぎれたつるをひろいあげ、ラーデに見せつける。
「こ、れは、なんだ?つるに、粉?」
「このつるはまだ進化する可能性があったんだよ。触れたもの痺れさせる麻痺草に」
「ば、ばかな。あり、えない。その、辺に、生えている、雑草、が」
「それを言っちゃいけませんよ。どの雑草にも進化する可能性はありますよ。道端に生えているからってなめるのはよくないですよ」
アークはラーデを潰す力を強めるとラーデの骨はミシミシと悲鳴をあげ、数分後口から大量に吐血しラーデは死んだ。
あらゆるものの可能性を信じ、生きとし生けるもの、そして道端に転がる石ころにでもどんな可能性も見出す。その女の異能こそまさに今後の時代に必要なもの
人間 進化のアーク
ジルギアス新帝国が反乱分子を始末している間、またジルギアス新帝国より少し離れた村で一人の青年がいた。名は残火のアルド。
「ばあちゃん。これどうする?」
アルドは村で祖母、継いのウグスと二人で暮らしていた。アルドは村から少し離れた場所にウグスと移動し、人通りが少ない場所で必要なくなったものをどうしようか考えていた。
「そうだねぇ。そいつは燃やすかねぇ。アルド。異能で頼めるかい?」
「うん。任せてばあちゃん」
アルドは指を鳴らすとゴミの下に円が出現し、ゴミを囲って跡形もなく燃やした。




