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星を宿す竜の話




___________僕は、何の変哲もない、そこら辺にいるただの竜だった。

他と変わらずに母親から栄養と愛情を受け、このまま暮らしていくんだろうと思っていた。


__________それが大きな間違いだったってことを、今では言えるんだけどね。


ある日......谷を飛んでいた僕は、竜の長に殺された。

......いや、正確には死んでいない。翼をぼろぼろにされたうえで、僕を谷底に突き落としただけだったのだから。


どうやら僕の母親は、竜の中じゃ位が低く、子を孕むことを許されていないようだった。

なのに僕という存在を産んだ_______母親は速攻で一族の者によって『処分』され、僕は間一髪で生き残った。


まだ幼体で、満足に獲物も捕まえられない。生きていると分かれば、長たちが今度はその場で死亡が確認されるまで、僕を叩きのめすだろう。


寒さと暗さに震えて、吐息で体を温め、空から落ちて来た他の竜の食べかすやそこらへんに生えていた草など、食べられそうなものはおおよそ何でも喰らった。


そうして、僕は逞しく育った。雑食になったお陰で、飢えることはなかった。


他の竜より遥かに強くなった僕は、もう自由に外を出てもよくなった。


いや、実のところ、僕と対峙したらまずいと彼らが認識しているから、出られるようになった、が正解かな。


そして僕は、魔王のもとに向かった。


魔王イザベルは話をきちんと聞いて理解してくれる、良いやつだった。

そして僕を護衛......もといペットとして、それはそれは可愛がってくれた。僕の身体が黒いこともあったんだろうね。竜の色は、食べる物によって変わる種と、遺伝でそのままな種がある。

僕は前者で、いろんな食べ物を食べまくったから、色が混ざり、黒色になったのだ。


そして1000年ほど経っただろうか........イザベルが死んだ。

勇者.......初代王によって討ち取られたのだ。


僕は当時、その場にいなかった。イザベルに渡す宝石を選んでいたから。

だってその日は、イザベルの誕生日だったんだよ?そんな日に彼女を殺すなんて、非道極まりない。


僕は、『いっそ星になって、奴らのもとに降り注ぎたい。国ごと壊滅させてやりたい』という思いで頭が埋め尽くされたんだ。


自分で言うのもなんだけど、竜は賢い生き物だ。単身で突っ込んだら、瞬く間に殺されることなど目に見えていた。自分より強いイザベルを倒せるほどの実力者なのだ。


何で星の話になったのか、僕にも理解ができない。でもその時、僕の身体が金色に輝いて.....


また卵に戻ったんだ。

そこからは卵の状態で、ずっと魔力を込めてくれる人(ははおや)を探していた。


そうして最初に魔力を流してくれたのが、キルティーだ。

暖かい魔力だったよ.......


そして僕は生まれ、彼女と契約を結んだ。

彼女には、魔王のような気と、この世のものではない何かの気と、美しく清らかな気が混在していた。

面白い人間だろう?ああ、もう人間は卒業してるのかもしれないけどね。


僕は彼女と共に、飽きるほど長い人生を歩んでいくことを誓ったんだ_____



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