入学前から最強になろう!
............とは言ってみたものの、いまいち何をすればいいのかわからない。
うーん......ゲームの中のキルティーは学園に入ってから鍛え始めて......それで鍛える過程で攻略対象たちと親密になって.......密会とか二人きりとかも増えて.......
ピピーン!キルティーちゃん、気づいちゃったぞ!
つまり、鍛える過程で親密になるなら、最初から鍛えておけば声もかけられないし、最強になっちゃえば威圧で避けてくれるかもしれない!ということだ!
そうと決まれば.......!
「お母さん!ちょっと出てくるね!」
「ええ?!一体、どこへ.....?」
「その辺だから、大丈夫。夕方には帰ってくるよ!行ってきます!」
強引に会話を終了させ、外に飛び出した。
ポケットにはその辺で拾ったナイフが数本。錆びていて、切れ味はあまりよくなさそうだ。
そして........今日は魔術行使の実験だ。もし使えたら、大抵の奴は撃沈できる。
キルティーが使う属性は、全部。
まあ誰でも頑張ればほぼ習得はできるのだが、その中で得意属性が分かれてくる。
キルティーが得意なのは......
______水と、星だ。
この世界には七つの属性がある。火、土、風、木、水、光、闇だ。
光と闇の属性は大変珍しく、得意属性でもなければ扱うことはできない。
そして幻の八つ目、この世界にはないとされている属性、それが_____星だ。
一般的に星属性の存在は知られていない。
知っているのは各国の重鎮くらいだ。
古い聖書には、星を操った魔法使いについての話があるが、公にはされていない。
そして、得意属性が二つというのもまた珍しく、まあつまりこれが何を表すかと言うと.....
キルティーは、最強なのだ。
*
「.......」
試しに使ってみよう........行くぞ。まずは水からだ。
こちらはまたまたその辺に本が落ちていたので回収したら、魔術入門心得の本だった。何と全属性(当たり前のように星属性は除く)について書いてある。
ラッキーなので、早速使わせていただこう。
「ウォーターガン!」
安直な呪文を唱えると、手に水球が浮かび上がる。
試しにそこら辺の木に向けて手を向けてみると、パンッと音がして、木の幹を抉った。
(......おお)
これは、使える。
じゃあ次.......光だ。闇はちょっと危ない印象があるからな......
「エンシェントスピア!」
唱えると金色の光でできた槍が横に現れる。
本を見ると、「シュート」と言えば飛んでいくらしい。これは無言で行うことも可能......飛ばしたい方向を思い浮かべればそこに飛ぶ.......なるほど。
つまり矢文みたいなこともできるわけだ。
とにかく、やってみよう。
「シュート」
特に思い浮かべず言っても、何も起きない。なるほど。じゃあ、今度は目の前の木をイメージして....
「シュート!」
シュンシュンと音を立てて槍が飛んでいき、木に突き刺さる。
一定時間すると、光の矢は消え失せた。
そうして、星以外の属性の技を、どんどんと試していった。
この体は万能らしい。するすると魔術が定着していく。
......3時間ほど経っただろうか。日が沈みかけている。
「やべっ、帰らなきゃ!」
私は慌てて、家路を急いだ___________