気付いたこと
「キルティー、ご飯にするからおいで!」
「はぁい!」
あれから6年が経った。
私は『キルティー・スターライト』としてすくすくと育ち、魔法の才能も開花し始めた。
そして、私はこうして暮らしてきて、気づいたことがある。
(ここ、私が前世でプレイしまくっていた乙女ゲームなのよねっ!)
そう、ここは私が前世でハマって、睡眠時間を削りプレイしていた乙女ゲーム、『マジで本気に恋してる~王立学園メモリアル~』、通称『マジ恋』の世界なのである。(通の人はマジ恋にメモリアルをつけたりする。因みに私は通の方だ。)
そして私は........このゲームのヒロイン、『キルティー・スターライト』だ。
いや、確かに最初キルティーって名前を聞いた時ちょっと「あれ?」って思ったけどそれだけだったんだよ!そしたら姓がスターライトって知って......というか外見もゲームのキルティーそのまんまだし....
キルティーは、美しい絹のような金髪に、空色の目をしている、垂れ目の少女だ。......いや、今は幼女だな。
でも確かに、父が可愛い可愛い言うのもわかる気がする。この外見、なんか庇護欲をそそられるというか....
そしてなんとこのゲーム、ヒロインが最強なのだ。
この設定は、ゲームを全ルートクリアした後の裏ルートにて分かる。
そもそもとして、キルティーは平民ながら魔法の才能があり、教会から推薦をもらって入学したという流れだ。
魔法が使えるというのはもちろん、結構体力もある。ゲーム内で魔獣大量発生イベントがあった時も、攻略対象の生徒たちと共に、西へ東へとへばりもせず走っていた。
まあ、その後できっちりとお姫様抱っこされるというイチャイチャはあったわけだけど...
とにかく、平民で魔法が使えるというのは非常に珍しいことだ。貴族や、そういう血筋の者の中では結構いるのだが......
「美味しい~っ!」
そんなことを考えているとは露ほども悟られないよう、頬を緩ませて食事に集中する。
その横で、母はにこにこと微笑んでいた。
*
ご飯が終わると、部屋に引き上げる。言わずもがな、流れや対策について考えるためだ。
「んー......私、恋愛は嫌いなのよね.......」
何を隠そう、私は生粋の陰キャだ。
安全圏から恋愛を見ているのはまだいいが、実際にあんなことを、事前動作付きでやられるとなるととても心臓が持ちそうにない。ワンちゃん突き飛ばす可能性もある。
_______攻略対象の中には王族も混ざっているのだ。単なる平民の私がそんなことをしたら......と、考えるだけで背筋が寒くなる。
ということで、対策を考えよう!