進むべき道がわかりました。
再び。
「さて・・・」
食事と湯浴みを済ませた私は、
ベッドに腰かけ、今一度考えをまとめてみることにしました。
先程は玉の輿にのられた女性方の、置かれている状況などにばかり目を向けてしまいました。
その結果、私には難しいことのように感じてしまいました。
今度はその方々に共通する事項を考えて、少しでも近づける要素がないか探ってみることにします。
まず大前提として共通することは、
・美しい
ということのように思いました。
『灰被り』と呼ばれる方はその典型で、
王子様ともあろう方がひと目でお見初めになる程ですから、
大変に美しかったに違いありません。
『聖女様』や『悪役令嬢』の例を見ても、総じて見た目の描写には力が入れられているように感じました。
しかし一方で、そのように並外れた美しさを持ちつつも、自分の美しさを鼻にかけるような方はおらず、
謙虚な方が多いようにお見受けしました。
さらに中には、努力して見た目を磨かれた『悪役令嬢』もいました。
これは私にとっては大発見です。
生まれ持ったものはどうしようもありませんが、
努力ならば私の得意分野です。
これは1つ、光明が見えたかもしれません。
また、
・心の優しさ
・逆境にあっても折れない心
など、玉の輿にのられる女性方は、心根の部分も素晴らしい要素をお持ちのようです。
魔法や、権力などの特別な力があったとしても、
それを自分のためだけに使う方は失敗しています。
人のために、困難にあっても負けずに足掻き続けた方が、最後にハッピーエンドを迎えられているのです。
・・・すごいです。人生の教訓を教えられているようです。
玉の輿、奥深しです。
そして最も重要なこととして、
・男性の見た目や経済状況など、表面的な部分で判断しない
ということが挙げられると思いました。
これはマリーナ師匠もおっしゃっていたことに繋がります。
『玉の輿に乗りたい』などといった下心で近づく女性では、
本当に素敵な男性方には相手にされないのが常なようです。
なぜならそういった表面だけを見て近づいてくる人は、多くのものを持った男性にとってはその辺にいくらでもいる珍しくもなんともない存在だからです。
そのような方を『モブ』と呼ぶのだとか。
この真理に既に到達なさっているとは、さすが師匠です。
つまり私が目指すべき方向としては、
1.見た目の美しさを磨く
2.内面の美しさを磨く
3.玉の輿への下心を持たず、男性の内面を見る
といったあたりでしょうか。
・・・玉の輿が目標なのに玉の輿への下心を持たない。
しかも男性の表面ではなく内面をしっかりと見つつ、見た目も経済的にも、優れた方に見初めていただく。
・・・そんなことできるのでしょうか??
はっ、いけません。また出来ないことばかりに目を向けてしまうところでした。
3.については一先ず保留として、
まずは1.から順番に、今できることをやっていきましょう。
ええ、明日から私は、美しくなれるよう努力をすることにします!!
方向性が決まったことで、何だか心がスッキリとしてきました!
「よし、明日になったら師匠のところへ伺ってアドバイスもいただきましょう・・・」
今夜はいい夢が見られそうです。
私は満ち足りた気分でベッドへ入り、ゆっくりと目を閉じるのでした。
ようやく次回から少し進展します。
読んでくださってありがとうございます。