迷いとゆらぎ。
「玉の輿よりも・・・大切なもの・・・」
私は放心しながら自宅に帰って考えていました。
師匠とどうやって別れたのか、どうやって家に帰ってきたのか、はっきりと思い出せません。
「あの師匠が・・・玉の輿を諦めるなんて・・・」
私はショックを受けていました。
誰よりも玉の輿に詳しく、玉の輿を熱望していたはずの師匠が、すんなり諦めてしまった。
その事実もショックですが、それ以上に、
玉の輿という煌びやかな未来を諦めたはずの師匠が、
むしろとても輝いて見えた。
それが私には本当に衝撃的なことでした。
「玉の輿は・・・おばあさまの遺言。きっと私にとって、我が家にとって、それが最善の道のはず。
だけど・・・。」
私はグルグルする頭を抱えながら、はぁ、とため息をつきました。
エレンさん、イヴさん、そしてマリーナ師匠。
自分の仕事を見つけて、貫いていく女性たちは、とてもイキイキして見えました。
私も本来なら、自分の仕事を見つけて、自分の力で働いて。
そうやって生きていくつもりでした。
でももし玉の輿に上手く乗れたとしたら。
高位貴族の妻ともあろうものが、自らの手で働くなんてこと、絶対にありえません。
お家の中のことを取り仕切って。
社交界でお家の立場のため取り繕って。
・・・それで本当に、私は、幸せなのでしょうか・・・?
そこまで考えて、私はハッとしました。
「私ったら!いけません。事もあろうにおばあさまのお考えを疑うなんて。
おばあさまのことですもの。きっと私がおもいつきもしない、深い深い考えがあるに違いありません。」
私はパチンっと頬を叩きました。
「マリーナ師匠という道標を失ったからって気弱になってはいけません!私は私で頑張っていかなくては!」
もう学院の卒業までも、数ヶ月しかありません。
それまでに身の振り方を決めなくては、家族に心配をかけてしまいます。
「まずは明日。明日はまた王城へ呼ばれているのですから、気合を入れて行かないと!!」
私はフン!と両手を握って気合を入れました。
まずは自分に出来ることを。
目の前のことから頑張ってみましょう!
更新が大変遅くなり申し訳ありません。




