孤児院の将来?
カチャカチャ・・・
私は孤児院の食堂で、お皿を洗っていました。
「貴族のお嬢様が、本当にお皿を洗ったり子どもたちと鬼ごっこしたりするとは思わなかったよ」
シスター・セシリアがアッハッハと豪快に笑いながらおっしゃいました。
子どもたちと絵本を楽しんだ私は、今度は男の子たちのリクエストに応えて鬼ごっこを行いました。
恥ずかしながら知識では知っていたものの初めての鬼ごっこでして、
皆さんに教わりながらとても楽しく遊ぶことができました。
鬼ごっこですっかり打ち解けた子どもたちは、食事の際も私を囲み、色々とお喋りをして下さいました。
今は小さな子どもたちがお昼寝の時間とのことで、後片付けをしているところです。
「子どもたちが本当にいい子ばかりで驚きました」
私はお皿を拭きながら、正直な感想を伝えました。
「ふふ、本当にいい子たちばかりなんだよ。親を失った辛さなんて微塵も感じさせないだろ」
シスター・セシリアは先程とは異なった苦笑いを浮かべました。
「親を亡くしたり、捨てられたりすれば誰だって心に傷を負って人を信じられなくなってもおかしくない。なのにこの子たちはとっても純粋に慕ってきてくれるだろ。上の子たちの面倒見もいいし、本当に素晴らしい子どもたちなんだよ」
シスターはしみじみとおっしゃいました。
「本当に、そうですね・・・」
「あの子たちが幸せになるためなら何だってしてあげたいけどねぇ。手伝いの人数も多くないから、どうしても限界があるだろ。本当なら、もっと勉強させてやって将来いい職につけるようにしてやりたいんだけどねぇ」
いつまでもこの孤児院にいられるわけじゃないからね、シスターは悲しそうにおっしゃいました。
確かに孤児院には、国の規則で年齢制限があります。
また、貴族や一部の裕福な家庭は王立の学院に通えますが、まだまだ世襲制が一般的な平民家庭では、学校に通わない子どもたちも多くいます。
そうなると多くの孤児たちは、継ぐ家もなく、孤児院を出る時にどう身を立てていくか大変な苦労をすることになるそうなのです。
あんなに可愛い子たちが、世の中にはじかれ、辛い思いをするなんて・・・。
私は少し考えて、ハッとしました。
そして濡れた手でシスターの手をガシッと掴むと、
「ここに学校を作りましょう!!」
とお伝えするのでした。




