プロローグ
新しい小説を投稿します。
大体一週間に一回を目安に更新予定
判決は下された。
懲役二百万時間。
いくら殺人罪とはいえ、一人を殺した程度で科せられる懲役ではない。
それがこんな刑罰となったのは、ひとえに、死んだ人物が各界にそれなりに影響を持った人物であったこと。
そして、それを成した殺人者が二度と表社会に戻ることのないように、ということだろう。
様々な人種が関わる星系間条約によって定められている刑法では、懲役刑は定数的な時間ではなく、定量的な刑罰として付加される。
二百万時間分の勤労か納金によって、釈放へと至ることができるのだ。
殺人犯となった少女は、身寄りのない孤児である。
納める金などなく、それどころか逮捕当時には個人資産など、何一つ持ち合わせてはいなかった。
金や荷物はおろか、家、服、食事。
それどころか、名前も過去もその肉体でさえ、何一つ、少女の持ち物はなかった。
逮捕によって、殺人犯として確定させるために、それらの、一人の人間としての最低限の権利が与えられたのは、皮肉としか言いようがない。
それまで、誰かの持ち物の人形でしかなかった少女は、明日から、一人の人間だと言われた。
生きるためには、自分で稼がなければならない。
そのことに、不思議と少女は絶望しなかった。
ただ、人生を始めるに際し、彼女は莫大な負債を負ったところから始めなければならない。
それだけだ。
だから、少女は向かう。
囚人番号AB89-ECCC-E289-A217-0007。呼称コード『ガブリエル』として、人生を始める資金を手に入れるため、『牢獄惑星』と呼ばれる、その冒険の地へ。
牢獄惑星
内部に、古代の遺構とも言える、ダンジョンを有する惑星。
ダンジョン内には、セキュリティのためのガーダーやクリーチャーが闊歩し、遺構のトラップが侵入者を待ち構える。
最奥には、Lメカと呼ばれる遺物があり、もしも発見できれば一財産となるため、一攫千金を目論む探索者『プレイヤー』が集う。
ここが牢獄惑星と呼ばれる所以は、犯罪者を送り、ダンジョンの探索に当たらせているためだ。
送り込まれた犯罪者たちは『クリミナル』と呼ばれ、刑期と同等な分のダンジョン探索での功績を立てれば、恩赦として釈放される。
『プレイヤー』と『クリミナル』、そして、管理公社『アドミネイター』と探索者と商売する『サポーター』。
惑星上では、今日も多くの思惑が行きかっている。
終わりまで更新していければと思います。
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