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勇者、裏切る  作者: るみお
4/4

狩人、心配する

【職業】狩人

【性別】男

【レベル】54

【武器】上質な弓

【防具】レザーな感じのやつ

【メモ】賢者に片思いしている

◇7-3渓谷エリア・隠れ里



勇者「着いたぞ、ここが隠れ里だ」


コカトリス「へぇ、こんなところに人間が住んでいるとは知らなかった」


勇者「ここに住む人々は谷に吹く風をうまく利用して暮らしているんだ」


コカトリス「翼も無いのに器用なことをするもんだ」


勇者「コカトリス、たしかお前の吐く息は生き物を石化させることができると聞く」


コカトリス「ああ、その通りだ。俺の石化ブレスは人間や魔物だって石にできるんだぜ」


勇者「……だったら、この谷においてお前の能力は最強ということだな」


コカトリス「どういうことだ?」


勇者「風は谷底の巨大な穴から吹き出ている。そこでお前が息を吐けば」


コカトリス「里をまとめて石化できるってことか…!」


勇者「実に簡単なことだ。おそらく明け方には終わっているだろう」


コカトリス「……でも、こんな簡単に勝っていいのか? もっと正々堂々と」


勇者「バカなことを言うなよ。楽して勝てるんならそれに越したことはないだろう?」


コカトリス「うむ……」




◇3-1砂漠エリア・オアシス近くの街



「号外、号外ー!」



狩人「『隠れ里、一晩で壊滅。住民すべてが石になる』……か」


僧侶「隠れ里といえば賢者さんの故郷でしたね。可哀想に」


狩人「魔物たち、ついに本格的に攻め始めてきやがったか」


僧侶「しばらくしたら我々も様子を見に行ってみましょう」


狩人「しばらくって、今すぐにでも―――お前、その格好はどうしたんだ?」


僧侶「ああ、これですか、ふふふ」


狩人「そんな高級な装備、どうやって手に入れたんだよ」


僧侶「ちょっとカジノで当てちゃいましてね」


狩人「カジノ? お前が? 冗談だろ」


僧侶「私も驚きました、まさか自分にこんな才能があっただなんて」


狩人「つーかなに遊んでんだよ! こっちは必死に勇者を探していたっていうのに」


僧侶「まあまあ、資金はあるに越したことはないのです。私はこのままカジノで皆さんの分まで資金稼ぎを頑張りますので、勇者の捜索はお任せしますね」


狩人「はぁっ!?」



狩人「あの野郎、後で覚えていろよ…!」


狩人「にしても、さっぱり勇者の足取りは掴めねぇし」


狩人「……やっぱり気になるよな、隠れ里の様子を見に行ってみるか」


狩人「……賢者」




◇7-3渓谷エリア・隠れ里



コカトリス「やばい、やばいやばいよコレ」


勇者 (……)


コカトリス「まさか逆風で勇者も石化してしまうとは」


コカトリス「石化ってどうしたら治せるんだ…?」


コカトリス「あっ」グラっ



石化した勇者、砕け散る



コカトリス「……」


コカトリス「教会で復活する、よな?」


コカトリス「……」


賢者「そこに、誰かいるんですか?」


コカトリス「!?」


コカトリス (マズい、ひとまず人間に擬態しなくては!)


賢者「……人?」


コカトリス「は、はい」


賢者「ああ、本当によかった! まだ生き残っている人がいたなんて!」


コカトリス「ええと、僕はさっきこの里に着いたばかりでして」


賢者「そうだったのですね。だったらあなたは運が良かったわ。昨晩、この里は魔物の手によってすべてを石にされてしまったの」


コカトリス「な、なんだって!?」


賢者「私だけはなんとか助かることができたけど、家族もみんな石に……」


コカトリス「それはお辛いですね」


賢者「こんな時、勇者がいてくれたら……」


コカトリス「……」


コカトリス「あの、気持ちはわかります」


コカトリス「僕の故郷も昔、魔物に滅ぼされました」


コカトリス「でもへこたれてはいられません。殺された皆のためにも、残った僕が頑張ろうって立ち上がったんです」


賢者「……あなたはお強いんですね」


コカトリス「僕も、冒険者ですから」


コカトリス (ってなにを言っているんだ俺はっ! 敵である冒険者を鼓舞してどうする!)


賢者「あの、良かったら私とパーティを組みませんか?」


コカトリス「へ?」


賢者「まだ里を襲った魔物がこの近くにいるかもしれないし、一人だと不安っていうか……」


賢者「あの、迷惑だったら断っていただいても……」


コカトリス「……」


コカトリス (うん? よく見たらこの人間、なかなか可愛いな)


コカトリス (待て待て冷静になれ。俺ってば魔物だし、魔王軍の四天王の一人だし)


コカトリス (いや、でも味方の勇者をさっき石にしちゃったしな……これって裏切りになる?)


コカトリス (このまま魔王城に帰ったら殺される? それってヤバくない?)


賢者「あの」


コカトリス「…っ」


賢者「えっと?」


コカトリス「……分かった、一緒に魔王を倒そう!」


賢者「はい!」



賢者とコカトリスは仲間になった!

【種族】コカトリス

【強さ】四天王クラス

【適正レベル】60~

【特徴】石化ブレスを吐いてくるぞ!

【メモ】朝に強く、魔王城の目覚まし時計役を任されている

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