プロローグ
「──お嬢様!お逃げください!」
使用人の悲痛な叫び声があがる。しかし、それは火事によって崩れ落ちた柱の向こう側だった。
「ですが、あなた達はどうするのですか!?このままでは死んでしまいます!」
「大丈夫です!私達も後から参ります。ですから早くここから逃げて!」
「…でも!」
「お嬢様に死なれたら我々の面目が立ちません!さあ、早く!!」
「…なら、必ず生きてください!死んだら承知しませんからね!」
「……わかっております。生きてまたお会いましょう!」
その言葉を聞くと、彼女は躊躇いながらもその場に背を向け走り去った。
「……そうですお嬢様。それでいいのです。……貴女さえ生きていれば、この国は…」
彼らは一つ嘘をついた。彼らはもう生きて彼女に会うことは無いだろう。何故なら、屋敷全体に火の手が回り、もう逃げ道が無いからだ。
「すみませんお嬢様」
「お嬢様との約束……果たせそうにありません」
「お嬢様…」
「貴女は強いお方です」
「貴女には幾多の困難が待ち受けているでしょう」
「時には挫けそうになるかも知れません」
「ですが、その困難を乗り越え」
「必ずこの地へお戻りください」
「我々はいつまでも」
「お嬢様をお待ちしております」
彼らは彼女が走り去った方へ深々と頭を下げ
「「「「「さようなら、アリスお嬢様。」」」」」
その時、屋敷が大きな音を立てて崩れ落ちた。
この日、とある帝国の帝位継承争いは先帝の意向を無視し、帝位継承権第二位の者の協力者の思惑通りに成功を収めた。国から追われる身となった王女アリスは、行方不明となった父のあとを追い、とある物を見つけた。
それは、限られた王族しか知らない異世界へ続く扉だった。
「…待っていてください、父上。必ず連れ戻してみせます」
彼女は父を探すために、異世界への道を歩みだした。
どうもdragonknightです。
なんと新シリーズです。
タダでさえスローペースなのに新シリーズです。
しかもジャンルもあまり決めずに…
不安だらけですがよろしくお願いしますm(_ _)m