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あいまい

作者: 八束天音

わたしの中はあなたでいっぱいなのに

あなたの中に私はいない。


どうか私の前から去って欲しい。


そうすれば

わたしはあなたを失った大きさで

あなたへの気持ちの大きさを知ることができるだろう。

あまりに大きな空虚の前に

わたしは立ち止まって

そしてきっと歩き出せなくなるだろう。

慟哭も恨みも嘆きも

これからはわたしの友になる。


何度でも空虚から目を逸らし

そして何度でも空虚を見つめずにはいられない。

繰り返し、繰り返し、そう繰り返し!


そうでなければいけない。

そうでなければ

気持ちなんて曖昧無形、確かめる術なんか無いのです。

私はわたしの気持ちを、そうすることで本物にする。

磨いて磨いて宝石にする。


祝福しないことが私の誠実だったなんて、あなたは理解が出来ないでしょう。

そう、それで、それで、良い。

理解できない事が正しい。これは私のわたしだけの気持ちです。あなたにあげることは出来ない、大切な傷なんです。


あなたの恋人は、今もあなたを大切にしていますか?

あなたは、あなたの恋人を今も愛しているでしょうか

あなたの子供は、もう大きくなったでしょうか


いつの日か

あなたが私に笑顔で致命傷を贈ってくれることが

わたしの夢です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 失恋…なのでしょうか。 しかし、その失恋を乗り越えた先にある自分自身への「肯定」が砕けることのない宝石、強さになることを気付かされた一文でした。 また、愛しいはずの人をあえて遠ざける、その…
[良い点] 「致命傷を贈ってくれることがわたしの夢です」というセリフに、惹かれました。 [一言] 壮絶、って言葉がよく似合うと思いました。凄絶でもいいかもです。 だけど、どこか美しさがあって。他にも読…
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