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無限の力、無の力②

 俺は勝利した。唯一、勝てなかったレイに勝った。思えば、俺の連続勝利数の記録を破ったのもレイであった。今日の勝利で確信した。無限の力を得るには、『無』の力が必要なのだと。「無限」=「ゼロ」。矛盾しているが、これが真理だ。もう、俺に怖いものなどない。いや、怖いものがきた。彩先生だ。

『さあ、始めますよ。もう、分かってると思うけど、わたくしは、一切、手加減も妥協もしませんことよ。いいわね。ヒロ君、坐禅しなさい。』

俺は、足を組み、心を集中し、そして瞑想した。何も考えてはいけない。考えてはいけないと考えること自体がすでにアウトである。彩は、見逃さなかった。

バシッ‼️

背中を打たれた。普通、坐禅では精神が乱れていると判断すると、僧侶が「警策」と呼ばれる細長く平べったい棒で、肩や背中を叩く。しかし、彩がそんなものを所有しているはずもなく、彩が使うのは、当然のごとく「鞭」である。

 坐禅を始めて、3分で不合格になってしまった。だから、あと2時間57分を頑張っても、不合格は変わらない。我慢の時間になる。これが何より苦しい。心が乱れると容赦なく鞭を打たれる。泣いても、叫んでも、決して終わらない。ところが、今日の俺は、鞭は、初めの一回て終わることができた。次回は期待が持てそうである。


 ランチをみんなで、ワイワイと食べた。美しいかすみと、可愛いレイちゃんと、優しい彩先生と、俺にとって、ここは天国だ。しかし、このランチが、俺を地獄へと落とすのだった。

『ヒロ君、準備して。さっさとする‼️』

さっきまで、ニコニコして優しかった彩先生が鬼となっている。俺は急いで、坐禅を組んだ。

『始めます。』

深〜く息を吸い、ゆっくりと時間をかけて、息を吐く。心を無にし、呼吸を繰り返す。15分ほどすると、あいつがやってきた。睡魔だ。お腹が満たされ、さらに、ゆっくりとした呼吸のリズムが睡魔を呼んできた。

 坐禅の基本に『半眼』というのがある。目は、つぶるのと開けるのとの境にしないといけない。完全に開いても、完全に閉じてもいけないのだ。

 俺は睡魔に負けて、一瞬、目を閉じてしまった。

バシッ‼️

背中に鞭が打たれた。目が覚めた。しかし、また、10分ほどすると睡魔に襲われる。

パシッ‼️

5回ほど鞭に打たれ、完全に目は覚めた。しかし、しばらくすると、別の戦いが始まった。お昼のコーヒーが効いてきた。強烈な尿意が襲ってきたのだ。あと1時間もある。我慢できるか。もし、次に鞭が入って、力が抜けたら、漏らしてしまうかもしれない。別に漏らすのは構わない。それを、3人に見られるのが辛いのだ。我慢をするために身体を動かすのもアウトになる。地獄の1時間が始まった。

 俺は意識を飛ばすことにした。つまり、軽い気絶状態だ。お漏らししてもいいと思った。誰かが近づいてくる気配がする。確認することは出来ない。

『ぼんちゃん、何してるの?』

レイだ。答えることは出来ない。

『なんか、おもしろそう。レイもやる〜。』

隣にレイが座ったのが分かった。なぜなんだろう。レイが横に来た途端、落ち着いてきた。心が安らいでくる。地獄から解放されていく。

『はい。時間です。今夜、またやるから。』

彩先生は笑っていた。

『ヒロ君、レイちゃんに感謝さなさい。レイちゃん、向こうでお話ししようか。』

終わったあ。やばい。トイレだ、トイレ。俺は走った。だが、間に合わなかった。トイレの扉の前で、漏らしてしまった。急いで、シャワーを浴びて、着替えて、床掃除をしないといけない。バレたら大変なことになる。こういうときに、特殊能力は役立つ。分身仏を一人だし、掃除をさせて、俺は銃弾より速いスピードで、シャワーを浴び、着替えを済ませた。なんとか、バレずに済んだ。

 夜の教育の前に夕食がある。食べ過ぎ、飲み過ぎに注意しようと心に誓った。

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