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分身仏①

 俺は、金を払い、店を出た。かすみに気づかれたとおりだ。疲労困憊している。普段の3倍の労力を使ったわけだから、当然ながら疲れも3倍になる。だが、今日、身につけた分身の技は磨けば、かなりの武器になる。今日は3人の分身仏を送り出したが、100人、1000人と分身仏を増やすことが出来れば、世界平和の為に役立つことは間違いない。しかし、今の俺の力では無理である。とにかく鍛錬し、明日は4人、明後日は5人と増やすことを目標にしよう。まずは、休養だ。部屋に戻り、眠りについた。


 久しぶりにMr.Tから連絡が来た。新しい職場で、その腕を振るっているようだ。松田と大谷も真面目に仕事を覚えてるらしい。しかし、わざわざ、そんなことを知らせる為に連絡をしてくるような男ではない。何かあるとふんだ。

『ヒロさん、力を貸して頂けませんか。』

やはりな。

『中東は、イエメン。その国でAGUの情報部員が拉致されたようで、しかも、その拉致された男が北村会長の孫なのです。中川総統も、打つ手がなく困り果てています。ヒロさん、助けてください。』

『拉致された人物の名前、特徴。そして、拉致されていると思われる正確な位置を知りたい。分かり次第、再度連絡をよこせ。24時間以内に解決してみせる。』

おそらく、イスラム国がらみで間違いないであろう。ちょうどいい練習になる。分身の技を覚えて半年。100人ほどなら分身仏を送り出せる。俺には、100人の俺がついている。こんな心強いことはない。

1時間後、Mr.Tからメールが届いた。拉致されたのは三宮という若者だ。イエメンの首都、サヌアから北へ100kmほどのアジトに拉致されているらしい。詳しい位置情報も載っていた。俺は一言、

『了解。任せろ。』

と返信した。


 俺は、位置情報を元に、テレポーテーションした。予想に反し、イエメンの気候は過ごしやすかった。とはいえ、夜になれば、かなり冷え込むと思う。寒くなる前に解決して、戻るつもりだ。

 あそこの建物だな。金網が張り巡らせてあり、監視カメラや赤外線装置なども見える。銃を持ち、警備している男がごろごろいる。俺はいつものように正面から向かった。おそらく金網には高圧電流が流れているだろう。俺は、逆にそれを利用してやろうと思った。ゆっくりと歩む。金網の前で立ち止まった。男たちはこちらを見て、ニヤニヤしている。幾人と、この高圧電流で命を落としていると想像できる。俺も、その電圧で死ぬものと思っているのだ。俺は構わず、金網を両手で掴んだ。

バリバリバリバリ。

電流が流れる。火花が飛び散っている。男たちは、そら見たことかと互いに顔を見合わせて笑っている。

『はあああああ、、、はあ。』

俺は電流を逆流させた。今度は金網に火花が広がっていく。金網に粉々になり、穴が開いた。俺は、その穴を潜り抜けた。俺の体が黄金に輝き始めた。男たちがざわつき始める。何かを叫んでいる。

『%*$£€${#*•、、、』

何を言っているのか、さっぱり分かりない。俺は大声で答えてやった。

『I am a God. I am a God. I am a God. 、、、、』

黄金のオーラをまとい、男たちの前を通っていく。ざわつく男たち。1人の男が、銃を構えた。無視して、進む。

バーン!

引き金が引かれた。俺の胸を貫通する。面白い。俺は分身した。胸の所で二つに分かれた俺。そして、2人になった俺。叫んでやった。

『We are Gods. We are Gods. We are Gods. 、、、、』

男たちは叫びながら逃げて行った。

面白い、面白い。俺は楽しくなった。


 建物の中から、一斉に武装した男たちが出て来た。先ほどの男たちとは目の輝き、身のこなしが違う。錬え抜かれたプロの戦闘員だろう。ざっと見て、100人くらいはいるだろうか。俺は、ちょうどいいと思った。気を高める。オーラが徐々に広がっていく。銃を構える戦闘員。

『はああああああああ、梵‼️』

分身仏が100人現れた。一対一の戦いが一斉に始まる。しかし、全く勝負にはならなかった。時間にして、わずか1分足らずだった。100人の分身は、100人の戦闘員を片付けた。俺は建物の中に入った。中に入ると、ガタガタ震える生き残った戦闘員がいた。俺は一言だけ言った。

『Sannomiya』

そして、男を睨みつけた。男は、震える指で、地下に続く階段を指差した。すかさず、分身仏の一人が階段を降りて行った。

ヒューイ、ボカーン!

地下室が爆発した。俺は男の頭を握った。

『嘘つきめ、騙しやがったな。』

男の心を読んだ。外の小屋の中だ。

 分身仏を全員呼び戻した。そして、地下から血だらけの分身仏も戻って来た。しかし、見る見るうちに生気が戻り始め、傷は癒えていく。俺とその分身仏の2人で、外の小屋に向かった。小屋の周辺には地雷が仕掛けてある。ああ、面倒だ。俺らは空中に飛び、小屋の屋根から突入した。

 三宮は、ロープで縛られている。男二人がナイフを三宮の首に当てていた。男がナイフに力を入れた瞬間、目には見えないスピードで、そのナイフを取り上げた。分身仏が二人の男を縛り上げた。俺の姿が警備用のビデオに映っていると、後々処理が面倒だ。活躍した分身仏を元に戻し、俺は三宮をかかえ、敷地の外に出た。そして、敷地内の建物を全て『気』で爆破した。

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