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嘘か誠か③

『ヒロ君、わたしがお姉ちゃんよ。お姉ちゃんって、呼んでね。』

レイが頭を撫でてきた。俺のことをヒロ君って呼んだ。ぼんちゃんとは、呼ばないのか。それにしても、体が自由に動かない。起き上がることも、寝返りすることもできない。

ミルクを一気に飲んだから、尿意がしてきた。トイレに行きたい。

『ばぶ、びび、あう。』

トイレに行きたい、と言ったはずなのに、言葉にならない。やばいぞ。きっと、部屋を出た廊下にトイレがあるはずだ。でも、体が動かない。このままでは、かすみの膝の上で、オシッコが出てしまう。かすみの洋服を汚してしまう。そしたら、さすがに嫌われるに違いない。でも、もうダメだあ。そうだ、これは夢なんだから、大丈夫だ。俺は体の力を抜いた。お漏らしをしたのだ。あれ?かすみが気がつかない。かすみの洋服が濡れていない。

『ママ。』

なんで、「ママ」だけは、言葉になるんだ。そっかあ、唇の開け閉めで、発音できるからか。

『ヒロ君、どうちたの?』

かすみが優しく聞いてきた。

『ママ。ヒロ君、オシッコしたのかも。』

なぜ、レイにバレたのか。レミの洞察力は鋭い。

『あらっ、ヒロ君、お漏らししたのね。オムツの交換してあげますからね〜。』

エーーー、俺、オムツしてるの?交換するって、まさか、ここで。

 かすみもレイも、楽しそうだ。完全に母性本能が湧き出ている。俺は泣きそうになった。

『オギャー』

ああ、赤ちゃんの泣き声になってしまう。俺は泣くこともできない。


 体の自由が効かない。言葉が話せない。二つの束縛がこんなに辛いとは思っても見なかった。かすみは手馴れていた。俺は、あっという間に服を脱がされ、オムツも取られてしまった。下半身丸出しだ。お尻ふきで、お尻全体を綺麗にされた。ゆかすみの柔らかい手が、股間に触れる。普通なら、勃起してもおかしくないのだが、全くの無反応。完全に赤ちゃんのチンチンになっている。陰毛がないのが、余計に恥ずかしい。新しいオムツをされて、ベビー服も着替えさせられた。そして、とどめに「おしゃぶり」を口に入れられた。かすみは満足そうな顔をしている。

『ヒロ君、ママが守ってあげるからね。』

おでこに、キスをされた。

『もぐ、もぐ、ばぶ、びぶ、、』

抱っこして欲しいと言ったけど、やはり言葉にはならなかった。

 夢なのか現実なのか。嘘なのか誠なのか。全く分からなかった。


 とにかくやることがない。横になってるだけだ。かすみやレイが声をかけているときは、無性にうれしい。そして、かすみに抱かれると、なぜか安心してしまう。俺は、かすみのことを母親のように感じ始めているのが分かった。いずれにせよ、夢か現実かをはっきりさせないといけないと思った。意思の疎通は、言葉だけではないことを思い出した。テレパシーだ。レイにはテレパシーが通じる。俺は念を送ることにした。

『レイちゃん、おじさんは、どうなってるの?』

レイに念を送ったが、目の前にいるレイは無反応だ。ならば、彩先生を呼ぼう。でも、待て。こんな格好を彩先生に見られたら、それこそ大変だ。しばらく考えたが、やはり頼れるのは彩先生だけだ。

『彩先生。お願いです。来てください。』

俺は強く強く、念を送った。しかし、いくら待っても、何の返事もない。彩先生が来ることもなかった。

万策尽きたか。いや、諦めてはダメだ。何か手はあるはずだ。考えるんだ。俺は天才だ。記憶を辿る。レイの願いを聞いて、体を小さくした。ままごとの相手をするため。かすみがベビー服を持ってきた。ベビー服に合わせるため、体のバランスを変化させた。さらに、リアルな赤ちゃんになるため、脱毛の変化を試みた。そこで、意識を失った。

 ならば、逆の順に元に戻せばいい。

まずは、体毛を元に戻す。

『ばああああああああ、ぶばあ!』

ダメだ。戻らない。俺の能力はゼロになってしまったのか。体を宙に浮かせる、分身仏、千手観音、瞬間移動、、、、全て出来ない。

 俺は、ただの赤ちゃんになってしまった。


 俺は泣いた。大声で泣いた。このままでは、俺の使命が果たせない。部屋の外から、かすみが走って来た。

『ヒロ君、どうしたの?ミルク?オムツ?』

かすみは優しい。本当の母親のようだ。だから、なおさら悔しい。涙が止まらない。俺は、かすみの目を見つめた。助けて、助けて、かすみ、助けて、、、。

『ヒロ君、もしかして、意識が戻ったの?』

俺は体をバタバタさせた。

『やっぱり。ヒロ君、レイのお遊びのお手伝いで、体を赤ちゃんに変身したの。そしたら、気を失って、何をしても、起きてくれなかったの。一ヶ月も眠ってたのよ。だから、今日、目が覚めてくれて、嬉しかった。』

俺はかすみに抱かれた。揺ら揺らされて、眠くなってきた。眠い目で部屋を観察した。横になってるだけでは、分からなかったものが見えて来た。

『ママ、ばばぶぶ、ばびぶあがばばばぱはぶ、ああばぶ。』

( かすみ、ありがとう。理由が分かるかもしれない。)

『あら、ヒロ君、何か言ってるの?かわいい。汗、かいちゃったね。お風呂、入ろうか、』

お風呂!かすみとお風呂!やったあ!

赤ちゃん、バンザイ!思い切り、甘えるぞ〜。

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