ぼんちゃん①
『ぼんちゃん、すぐに来て。』
レイは祈る。
しばらくするとヒロがやってきた。
『どうしたんだい?遊びたいの?』
『違うの。ただ、ぼんちゃんに会いたくなったの。』
なんて可愛いんだ。そして、素直なんだ。ヒロは、人の心が読める。だが、レイの心だけは読めなかった。
しかし、その理由が分かったのだ。レイの心は純粋。澄んだ水の如く、美しく透明。だから、透き通ってしまい読むことが出来ないのだ。ヒロは、むしろ、それが嬉しかった。
『ぼんちゃん、すぐに来て。早く、早く。』
レイが祈る。俺はシャワーを浴びていた。だが、緊急らしい。急がねば、場所は、渋谷駅前。すぐに瞬間移動をした。
キャー、ヘンターイ。やだ〜、こっち来ないで〜、、、、、。
『ヒロ君‼️何やってるの。』
『ああ、その、レイちゃんに呼ばれて。慌てて、やってきた。』
『ぼんちゃん、やっぱりハダカだったあ。いつも、時間ぴったりにシャワー浴びるの知ってたから、呼んでみたの。』
屈託のない笑顔に、俺は笑顔で応えた。
『何、笑ってるの。この変態。ここは渋谷の駅前よ。恥さらし‼️レイ、こんな男は、放っておいて、行きましょう。』
俺は、渋谷のスクランブル交差点に、裸で一人残された。
『くーっ、レイにやられたあ。』
『ぼんちゃん、すぐに来て。』
『もう騙されないぞ。今日は行かない。』
ヒロは、前回の裸の件で、かすみに、こっぴどく叱られた。でも、なんかソワソワする。レイが呼んでいる。やはり行かねばならない。場所は、原宿。迷ったあげく、ヒロは、瞬間移動した。
『レイちゃん、呼んだかな?』
『あっ、ぼんちゃん、来てくれたんだ。レイ、嬉しい。』
今度は罠は無さそうだ。
『ヒロ君。』
その声は彩であった。
『あっ、彩先生。』
なぜか胸騒ぎがする、
『ね、彩ねえちゃん、レイの言う通り、ぼんちゃん、来るの遅くなってるでしょ。』
『ヒロ君。わたくし達3人が呼んだら、すぐに来ないとダメじゃないの。もし、レイちゃんに大事があったらどうするの?』
『あの、その、それは、、、、』
『何言い訳しようとしてるの。』
バシッ‼️思い切り平手打ちをされた。
『文句があるなら、わたくしを倒しなさい。ないのなら、土下座よ。』
原宿の竹下通りのど真ん中で、土下座をして謝った。レイにまたやられた。
『ぼんちゃん、この近くにプリンが美味しいところがあるんだって。いっしょに食べたいと思ってる呼んだの。食べに行こう。』
『プリン‼️うん。食べにいく。』
やはり、レイは優しい。でも、彩は厳しい。レイちゃんと彩は、美味しそうにプリンを食べている。俺は、罰として見てるだけ。ならば、さっきの土下座は何だったのか。そう反抗したら、心を読まれた。また平手打ちを食らってしまった。
『わたくしに逆らうのは100年早い。』
彩は本当に厳しい。
バシッ。また叩かれた。
『あなた、心の中でわたくしを呼び捨てにしたでしょ。』
彩先生の前では気が抜けない。常に気を張る必要がある。でも、厳しさの中に愛を感じる。だから、この厳しさは将来のために必ず役立つと思えるのだ。
『ヒロ君、すぐに来て。お願い、すぐに来て。』
ん?テレパシー。でも、誰が呼んでる?分からない。念が弱い。誰だ?レイや彩なら、すぐに分かるのに。
『ヒロ君、早く来て。』
俺をヒロ君と呼ぶのは、彩先生とかすみだけだ。かすみが呼んでいる。場所は日進の駅。俺は、テレポーテーションした。
『かすみ、お待たせって、、、レイちゃんと彩先生も、、、』
『かすみさんにテレパシーの練習をしてもらってたのよ。でも、ヒロ君、遅いんじゃない。この前、怒ったこと覚えてないの?』
『あっ、その、遅れたわけではなくて、、、』
『ほーら、また言い訳して。さっき、「かすみ、お待たせ〜」って、言ってたじゃない。待たせたと言うことは、遅れたということですよ。違いますか?』
彩先生には勝てない。
『はい、遅れました。』
『そう、素直にならないとね。かすみさんは、まだ念が弱いはず。それをきちんと感じ取れない、ヒロ君、あなたの力に責任があるのよ。分かったかな?』
『はい。もっと精進致します。』
彩の迫力に、かすみもレイも圧倒されていた。
彩がかすみの耳元で囁いた。
『このくらい厳しくしないと、このおバカさんには効き目がないの。』
彩は、笑っていた。
『ヒロ君、こっちにおいで。怒られちゃったね。よしよし。今度は頑張ろうね』
かすみが俺の頭を撫でてくれた。何だか嬉しくて、元気が出て来た。
『ぼんちゃん、泣いてたの?レイのせい?』
『違うよ。レイちゃんのせいではないから、大丈夫だよ。おじちゃん、本当は強い男の子だから』
『良かったあ。ぼんちゃん、強くて良かったあ。』
優しいレイ。でも、何か考えている。ニヤニヤして、彩に何かを告げた。