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趣味探しでVRMMO始めました  作者: たぬきちのしっぽ
第一章:VRMMO始めてみました
16/30

015

ちょっと短くてすみません。

 スライムのドロップアイテムを回収した三人は町に戻った。

 レティはクエストを受けておらず、ただレベル上げに来ただけだったらしい。しかし、かなりの数の水晶が手に入ったため、町に戻ったらクエストを受けてアイテムを提出するそうだ。

 なんでもクエストは、持っているアイテムで依頼達成していた場合、その場で受諾して報告までできるとのこと。それでも報酬を貰えるとアルケディオが教えてくれた。


「とりあえずビギンタリアまで戻れたし、パーティは一端ここで解散しましょうか」


 通行門を過ぎて、町の中に入ったところでレティが二人に提案する。

 彼女は朝からプレイしていたので、そろそろ一度ログアウトして休憩するという。


「あー、俺も昼飯抜いてたんすよね。なんか腹減ってきました」

「アルケディオくん……、それはいけないと思いますよ」


 ゲームに熱中しすぎていたらしいアルケディオが、あまりよろしくないことを言っている。

 美代は思わず一言注意してしまう。アルケディオは少しバツが悪そうにしながら、気を付けますと言ったが、そこで視線を逸らした人物がもう一人いた。


「レティさん……、あなたもですか?」

「だ、大丈夫よ! 朝にきちんとたくさん食べたものっ」


 美代と目を合わせようとしないレティの言葉はまったく信用できない。

 とはいえ、さすがに身内でもない人たちに口うるさく言うのもどうなのかと考える。

 「とりあえず気を付けるようにして下さいね」と一言だけ美代は注意する程度で終わらせた。


「とりあえずパーティは解散しますか-。あ、でもこうして遊べたのも何かの縁ですし、アルファさんもレティさんもフレ登録いいっすか」

「もちろんよ。こちらこそお願いするわ。アルファさんもいいかしら?」

「はいっ、ぜひお願いします!」


 アルケディオの提案に、美代もレティも迷わず賛成した。


「それじゃ、また時間があったら遊びましょう!」

「楽しかったわ、二人とも。今度また一緒にパーティを組みましょうね」

「はい、また遊びましょう!」


 別れの挨拶を交わして、ログアウトしていくアルケディオとレティを見送る。

 美代はまた一人になって少々寂しかったが、嫌な寂しさではなかった。


「とりあえずクエストを報告して、それから次は何をしようかな」


 ギルドを目指しながら、美代は次に二人と会ったときに驚かせられるようなものがあるといいな、と考えを膨らませた。


◇◇◇


「ここが木工工房……」


 クエストを報告して、その報酬1200トールを受け取った美代が、次に向かったのは木工工房だった。

 色々と考えた末、弓を作成できるという木工師のレベルを上げることにしたのだ。

 そこで冒険者ギルドで木工師について訊ねたところ、工房の話を聞いたので早速とそこにやって来た。


「うん、活気があって素敵」


 木工工房は木製の建物で、冒険者ギルドに比べるとこぢんまりしている。

 しかし、ひっきりなしに人が出入りしていて、見るからに活気のある様子が見て取れた。


「よしっ、私もやるぞー!」


 美代は工房の入り口をくぐった。



 工房内は割と綺麗に整っている。

 正面に受付があったので美代はいつも通り、まずは工房について聞いてみた。

 受付を担当していた住民(プレイヤーではなくAIの人だった)の話によると、工房は申請した人にそれぞれ一定時間部屋を貸し出しているそうだ。

 部屋の中には木工作業に必要な品が揃っていて、そこで好きなように作業ができるらしい。

 美代が初めての木工作業で、まだよく分からないと言うと、訓練コースなるものを教えてくれた。


(木工師のチュートリアルみたいなものってことだよね)


 美代は教えてもらった通りに訓練コースの受講を選択した。



 案内されたのは、木造校舎の教室のような作業場だ。

 そこでは、美代の他にも訓練を受けている人たちが結構いるらしかった。


「あなたがアルファさんかな? ボクが今回の訓練講師のディスバリーだよ。よろしくね」


 キョロキョロと工房内を見回していた美代に声をかけてきたのは人族の男性だった。

 首の輪があるのでAIの人らしいが、かなり年齢が若く設定されているように思える。

 見た目的には二十代前半くらいだろうか。AIだから年齢の設定などあまり関係はないのだろうが。


「あ、はい。今日はよろしくお願いいたします」

「うん、こちらこそよろしく。とりあえず木工に関しては今日で基本は教えちゃうから、次からは好きなようにやるといいよ。レベルがある程度上がれば次の段階に進めるけど、まだ先の話だから」


 ディスバリーはにこにこと笑いながらそう教えてくれた。


「それじゃ、さっそくやっていこうか」


 作業場の一角、すでに道具が揃っている場所に移動すると、彼は早速訓練を開始した。


「君たち旅人さんたちの世界がどうかは分からないけど、このプレリュードでの木工っていうのは一種の特殊な術なんだよね。

 必要な素材と道具を揃えて、それを使用する。しばらくすると、それで合成アイテムができあがるんだ。

 その合成アイテムを必要な種類と分量用意して、合わせると木工作成のアイテムが完成するんだよ。

 ただ、木工師レベルが低かったり、使用する道具の熟練度が低かったりすると失敗することも当然あるから、それだけは忘れないでね」

「なるほど、分かりました」


 美代が木工と聞いて想像していたのは、のこぎりや(かんな)などを使って、木から作っていくようなものだった。

 自分にできるのか不安もあったのだが、どうやらそこまで難しくはないらしい。

 時間はかかるかもしれないが、安心してチャレンジできそうだ。


「じゃ、最初は簡単なアクセサリーから作ってみようか。うまくできたら装備してみるといいよ。


 初めての作業だし、レシピを使ってみてね。オリジナルは難度が高いし、木工レベルが低いうちはレシピを使うと成功確率があがるから」


「ありがとうございます。やってみますっ」


 ディスバリーにもらったレシピは【木製のイヤリングLv1】というアイテムのレシピだ。

 作り方はそれほど難しくなさそうだ。

 使う道具は小型の作業用ナイフとやすり、留め具用の金属などだ。

 訓練メニューのため素材は工房側が用意してくれていて、メタン樹の木材という物らしい。


「それじゃ、集中してね」


 ディスバリーのサポートを受けながら、美代は初めての木工作業に取り組み始めた。

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