第五章あらすじ&登場人物紹介
<あらすじ>
テオの死から一年が経った。
枢機卿に追い詰められ海へと飛び込んだクリスは、奇跡的に辺境の島へ流れ着き、親切な夫婦に拾われそこで暮らしていた。だがクリスはテオの死と自身の前世を聞かされたショックで声を失い、日々罪悪感に苦しめられていた。
そんな時に、島に「ルディス教団」の使徒と名乗る男がやって来る。島を明け渡せという男に住民は怒るが、男は強硬手段に出ようとした。その時アトラ大陸にいるはずのヴォルフが現れ男と戦い始め、クリスはとっさにヴォルフを庇い重傷を負う。目覚めたクリスはヴォルフに今の世界の状況を聞き、テオの死を無駄にしないためにも再び大陸に戻って戦う事を決意する。
大陸に戻った二人はリルカに会うためにフリジア王国を目指すが、その途中ルディス教団の襲撃を受けたところを「解放軍」という教団と戦う組織に救われる。彼らに感化されたクリスは解放軍に入ることを決意し、そこでレーテとティレーネとも再会する。
ある日クリスはティレーネに呼び出され、そこで彼女に告げられたのは、百年前の「奇跡の聖女」という女性の話だった。
ティレーネの話を聞くうちにクリスは「奇跡の聖女」が自身の前世――アンジェリカのことであり、彼女が教会の権力闘争に巻き込まれ、火刑に処されたことを思い出し錯乱する。
そこに手下を従えた枢機卿が現れ、クリスはティレーネが最初から枢機卿と通じていた敵だったことを知る。クリスは枢機卿に捕まりかけるが、そこにヴォルフとレーテが現れ、枢機卿とティレーネは撤退しレーテも彼らの後を追い姿を消す。
最後に残った謎の男と接触したヴォルフは様子がおかしくなり、近づいたクリスはヴォルフに首筋に噛みつかれ、血を吸われ意識を失う。
目覚めたクリスは解放軍の仲間に「ヴォルフは吸血鬼だった」と告げられる。
危険な吸血鬼は始末するべきだという話を聞いてしまったクリスは、ヴォルフを連れ出す事を決意する。
吸血鬼になってしまったという事実に落ち込むヴォルフに、クリスは自分の血を捧げることを約束し、二人は解放軍を抜け出した。
ルディス教団、解放軍からの逃走の旅路の途中、クリスたちは不思議な夫婦に出会う。
彼らは異世界から来た吸血鬼であり、ヴォルフはそこで吸血鬼の力の制御の仕方を学び、彼らが自身の母の両親──祖父母であることを知る。
心身ともに落ち着きを取り戻した二人は、リルカの元へ向かうためクリスの故郷であるリグリア村を目指し始める。
<登場人物>
【アニエス】
解放軍に所属する少女。一章にも登場。
クリスの友人であり、クリスとヴォルフの二人の身を案じている。
【ダリオ】
解放軍に所属する青で、ヴォルフの友人。
軽い性格だが、強い志を秘めている。
【アルベルト】
解放軍に所属する青年。元はティエラ教会の神殿騎士の一人。一章にも登場。
【キリル】
クリスたちが偶然出会った吸血鬼。ヴォルフに力の制御の方法を教える。
口には出さなかったが、ヴォルフが実の孫だという事に気が付いていた。
【ヴェロニカ】
キリルの妻の女性。
口には出さなかったが、ヴォルフが実の孫だという事に気が付いていた。




