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ゴッホの『星月夜』

底本そこもと「うおっ! なんだこの絵は! ものすごくぐわんぐわんしているぞ!」と底本はある絵画を見て驚く。


狂郷きょうごう「ああ、これはフィンセント・ファン・ゴッホの『星月夜ほしづきよ』ですね」狂郷は人差し指を立てて説明する。


底本「ゴッホ? ゴッホってあの精神を病んだっていう画家の?」


狂郷「ええ、そうですね。もう一人の有名な画家のゴーギャンと共同生活を送っていたのですが、ある日二人の口論の末に『耳きり事件』を起こしたことでも有名ですね。まあ、諸説ありますけど」


底本「ゴッホについては不確かなことが多いみたいだな」底本は言った。「ところで、ゴッホは精神を病んでいたということは、この激しさ極まりない絵は狂気に陥った彼によって描かれた作品ということかな」


狂郷「その点においては、半分合っていますが、もう半分違いますね」


底本「え? 狂っていたわけではないの?」


狂郷「いえ、確かにこの絵が制作された時期はゴッホがしばしば発作を起こしている時期でもありました」


底本「ふむふむ、やはり狂気には陥っていたのだな」


狂郷「しかし彼は決して発作を起こしているときに作品の制作を行いませんでした」


底本「なにっ! だけど耳を切るくらい精神を病んでいたら、そう簡単に長く正気でいることは難しいだろう?」


狂郷「ええ、ですからゴッホは焦って作品を制作したんです。次の発作が起こらないうちに、なるべく多くの作品を描こうと思い、怒涛の勢いで作品制作に努めたんです。そしてこの『星月夜』はちょうどその期間に描かれた中で最も有名な絵画です」


底本「なるほどな、だからこの絵はこんなに勢いに溢れているんだな」


狂郷「そういうことです。その焦燥と緊張感がゴッホの描く絵に影響し、色彩、フォルムに強い激しさを与え、幻想神秘的な絵画を生んだといった感じですね」


底本「奥が深いなあ……」と底本は感心する。「だけど狂郷はそこまで勢いないよな? なんで?」


狂郷「え? なんでと言われましても……」


底本「だって狂郷は名前の中に『狂』って漢字があるじゃん。だから狂郷もそれなりに激しいのかなと思って」


狂郷「何言ってるんですか! 名前に入っているからって狂ってはいませんよ!」


底本「本当かなあ?」

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