新年の挨拶
底本「新年、明けましておめでとうでござる」。底本は狂郷と津島に向かって頭を下げる。
狂郷「底本さん、その挨拶、間違っていますよ」。狂郷は真顔で底本に指摘する。
底本「え、嘘? 何かおかしいところあったか?」。底本は頭を上げて怪訝な表情をする。
津島「ええ、間違っています」。津島も同じように底本を指摘する。
底本「ちょっと待ってくれ。いったい挨拶の何を間違っていたんだ?」。底本は挙動を乱す。
狂郷「底本さん、『明ける』という言葉の意味をご存知ですか?」。狂郷はため息をついて底本に尋ねる。
底本「そ、そう言われると意味は……、『始まる』って意味かな?」。底本は自信なさげに応える。
狂郷「逆ですよ。『明ける』という言葉は『終わる』を意味しているんです」。狂郷は右手人差し指を立てて説明する。
底本「ええっ! そうなのっ?」。底本は驚愕する。
津島「そうですよ。さっき底本さんの言った『新年、明けましておめでとうございます』では、『新年が終わってめでたいですね』といった意味になってしまいます」。津島は依然と落ち着いて解説する。
底本「うわあ、マジか……。てことは拙者、新年早々馬鹿なことを言ってしまったのか……」。底本は頭を抱える。
狂郷「おめでたい頭ですね」
底本「やかましいわ! てか本当にそういう意味なのか? 信じられないんだが」。底本は腕を組む。
津島「本当ですよ。スマホで検索してみますか?」。津島はポケットからスマホを取り出す。
底本「ああ、調べてみてくれ」。底本は津島に依頼する。
津島「承知しました。少し待っててくださいね」。津島はスマホの電源ボタンを押す。
……。スマホは起動しない。
津島「あ、あれ?」。津島は不思議に思う。
狂郷「どうしたんですか?」。狂郷は心配して尋ねる。
津島「いや、スマホが起動しないんです……」。津島は電源ボタンを長押ししてみる。
……。それでも起動はしない。
底本「おい……、それってよ……」。底本は津島のスマホを指さす。
狂郷「ええ、恐らく……」
津島「……壊れちまったっ! ああああぁぁぁぁぁああっ!」
そんなこんなで、新年の挨拶の遅れと、更新が滞ってしまいました。
今年もよろしくお願い申し上げます。