いざ、二〇一六の仙台へ!
底本の顔に木漏れ日が落ちる。
底本「うぅ……、ここは、いったい」。底本はのそのそと仰向けの状態から起き上がる。
狂郷「ここは仙台のとある観音堂ですよ。底本さん」
底本「仙台? 拙者達はさっきまで江戸にいたのでこざるよ。なぜそんなところに」
狂郷「そりゃあ、時空転送装置で移動しましたからねえ」
底本「未だに狂郷の言っていることの意味が分からないのだが……」
狂郷「簡単に言えば、時と場所を移動したということです。ここは二〇一六年の仙台、そういうことです」
底本「二〇一六年……、それもまたよく分からない」
狂郷「私達の生きていた年の約三百年後、と言えばわかりやすいですかね?」
底本「そんなに先なのか。しかし、なぜこんなところに」
狂郷「ああ、実はですね、大変なことが起こってしまったんですよ」
底本「その大変なこととは、いったい何なのだ」
狂郷「はい、簡潔に申しますと……平賀源内殿がさらわれました!」
底本「何っ! いったい誰に?」
狂郷「政府です」
底本「幕府に! しかしなぜ源内殿が……」
狂郷「底本さん、幕府ではなく、政府です」
底本「ちょっと何を言っているのか分からないな。それより、なぜさらわれたのだ」
狂郷「んー、平たく言えば、変質者として囚われました」
底本「そっかー、ならば仕方がないな」
狂郷「仕方なくないはでしょう!」。狂郷はゲラゲラ笑う。
底本「だって、あの人、自分の作ったロボットに向かって『結婚しよう』とか言ってるんだぞ? あんな変態は投獄されて然りだろう!」
狂郷「そんなこと言ってたんですか! でもちゃんと救出しないと駄目ですよ」
底本「だけど、どうやってその『せいふ』のところへ行くんだ。近くはないのだろう?」
狂郷「それなら大丈夫です。まずは本拠地へ向かいましょう」
底本「本拠地?」
そして二人はその本拠地とやらに着く。
狂郷「ここですよ!」
底本「狂郷、表札に『津島』と書かれているのだが、いったい……?」