風邪と鼻血
底本「おはようでござる。ふわぁ、今日も良い天気でござるねえ」。底本はあくびをしながら居間に入る。
狂郷「あ、おはようございます。底本さん」。狂郷はテレビを見ながら挨拶を返す。
底本「おはよう、ってあれ? ここにいるのは狂郷だけか? 津島君はいったいどこへ?」。底本は津島が居間にいないことに気付く。
狂郷「そうなんですよ。私も気になっていたところです。しかしですね、実はまだ津島君は起きていないんですよ」
底本「なんてことだ! それは奇妙だぞ。いつも津島君は拙者と同じくらいの時刻に起きてくる。しかし今日は拙者が起きてもなお寝ているとは……」
狂郷「昨日夜遅くまで何かをしていたというわけでもありませんし、どうかしたんでしょうかね?」
そこへ、津島がふらふらと入ってくる。
津島「どうもおはようございます。底本さん、狂郷さん」。鼻声。
底本「おお津島君。どうしたんだ。いつもより起きるのが遅いじゃないか」
狂郷「いや待ってください底本さん。津島君の声がおかしいですよ。それに顔色も悪い。これってもしかすると……」
底本「あ、こればかりは拙者にも狂郷の言わんとすることが分かったぞ」
狂郷「津島君、風邪をひきましたね?」
津島「そうなんです、風邪をひいてしまったんです」
狂郷「やはりですかぁ……」
底本(あれ、違った……)
津島「昨日は咳などのせいで喉が痛かったんですが、今日は鼻が非常に酷いですよ」
底本(てっきり鼻の掃除をし忘れていて呼吸困難になったのかと思ったいたぞ……)
狂郷「ああたぶん、花粉が飛んでいたり、乾燥してきたりする時期ですし、それも重なっているせいでしょうねえ」
底本(とりあえず、ここは適当に誤魔化しておこう)
底本「鼻くそでも溜まってるんじゃないの?」
狂郷「何言っているんですか底本さん! 汚いじゃないですか!」
底本(風邪ってそういうもんじゃないのか……)
狂郷「とりあえず、今日は安静にしておいた方がいいですね」
底本「そうだよ。それに、鼻くそが溜まると大変だし」
狂郷「底本さんは鼻くそから離れてください!」
津島「はい、今日は狂郷さんの言う通り、部屋に戻って、ゆっくり休んでいようと思います」
狂郷「ええ、暖かくね!」
津島「もちろんです! ……へ、へ…………、へっきし!」。津島はくしゃみをする。
底本「くしゃみまでするなんて、相当風邪が酷いんだな……」
津島「風邪をうつしちゃまずいんで、すぐに部屋に戻りま……へっきし!」。またくしゃみ。
狂郷「あとで風邪薬買ってきますからね」
津島「あ、ありがとうございます! ……へっきし! へっ…………きしん! ブフォーッ!」。くしゃみの拍子に鼻血が出る。
底本「えええええっ!」
津島は最近鼻血が出やすかった。
ちなみにその頻度は、一週間に五回である。
狂郷「これは風邪薬に加えて、レバーも買っといた方がよさそうですね」