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その7、鍛冶屋にて

「ここか凛音?」

「そう、ここがこの村唯一の鍛冶屋仁鉄でござる」


俺と凛音が目的となる場所が目の前にあるここだ。鍛冶屋仁鉄・・・・

見た目は他の家並みと比べやや汚く感じ、しかも鉄の臭いかどうか分からない臭いが漂っている。

ご近所さんから絶対苦情が来るだろここ。

ここの当主相良さがらさんが経営する鍛冶屋。ここに来た理由は、この世界を生き抜くためそして、凛音や護りたい人を護れるために必要な武器を手にするためにここに来た。


「相良さんは元々とある都で随一を誇る鍛冶職人と呼ばれてて数年前にこの辺境の村に移ったそうでござる」

「なんでこの村に移ったんだ?都で一番だったら結構儲かったんだろ。なんでまたこの村に移ったんだ。まさか霞さんからの勧誘か」


俺は、なぜか当事者でもない凛音に聞く。確かにおかしいけど第三者の意見が聞きたい。だってそうだろう俺らの世界じゃ都会で一流企業の社長が何の因果か突然田舎の小さな会社を作るようなもんだぞ。そんなの田舎で働きたかったまたは都会の臭すぎる以外選択しはないぞ。


「そうでござるな。たぶんものすごく変わった人でござろうな」

「変わった人って・・・仮にも本人の店の前だぞ」


凛音が当たり前の回答をする。そこはなんかひねった方がいいぞ。


「いやぁ、あの人昔は都では有名だったと言われているけど今は村一番の変わり者のと呼ばれているでござるからうちもあまりここには来たくないでござる」

変わり者って、霞さん以上の変わり者ってどんなんだ。もしかして俺の貞操が奪われるとかそんなんじゃないよね。危ない人ならごめんだよ。


「とにかく中に入ろうか。」

俺はその店の引き戸を開け中に入った。中は、アニメなどで見られる作業場の光景と何も変わらなかった。

でも、一つ気がかりなのは、巨大な黒い釜のに入っている紫色液体はなんだ?ここから異臭が出ているぞ。

もしかして外で感じた臭いはこれか~~~~~?


「それは、呪封液じゅふうえきと言われ名前の通り結界などの術を無力化にさせる液体だ。最近儂が開発した秘薬だ」

突然作業場の奥から声がした。奥からいかにも厳格そうな白髪の毛むくじゃらのおっさんが現れたこの人が当主相良さんなのか?


「あのあなたが相良さんですか?」

「誰じゃあ。おん仕事が一段落したのに来やがって、今日は終わりじゃぁ。けえれ」

さっそっく帰れ発言だ~~~。やっぱり明日来た方が良かったんじゃねえかよ。このおっさん機嫌が悪いぞ。当たり前なんだよなあ。仕事が終わったのに閉店直前で客が来るとか誰でもブチ切れるわ。


「相良殿落ち着いて。霞さんからの紹介で来たからしょうがないでござるよ」

「おお、凛音ちゃんじゃないか。しばらく見ずに別嬪べっぴんになってえ・・・・・・いやそれよりも霞さん?あの婆さんの紹介で来たのか」

とにかく俺は、首を縦に振ると今まで機嫌が悪かった爺さんの態度が一変した。


「いやあ、すまん。すまん。あの婆さんにはいつもお世話になったんだ。珍しい物品の提供などでたすかったんじゃあ。まあお二人方ここに座らんか茶菓子はないけど茶だけは用意してやるわい」

「どうも」

相良さんの計らいで奥の居間に向かい居間に向かいそこにある畳に俺たちは座った。

俺と凛音が畳に置いている座布団に座っている間に相良さんは調理場に向かった。どうやらお茶を用意しているようだ。



「お待ちどう」

相良さんが座布団に座りちゃぶ台の上には三人分の緑茶が用意していた。

俺達は緑茶をすすりながら会話を始めた。


「なるほど。主が霞の婆さんの紹介で来た焔と言う男か。なるほど見た所確かにただ物ではない雰囲気をしているな」

「え?そうですかありがとうございます」

相良さん初見で俺の事をただ者ではないかとよく言った。やっぱりじいさんばあさんは見る目が違うなぁ。それに対し凛音はなんか苦笑じみた顔をしている。おいやめろその顔なんか腹立つホント君のSは止まらないな。


「あの本題の前に一ついいかな?先ほどの液体呪封液と言われてるけどここ鍛冶屋だよね。調合師ではないよねあんた」

「いかにもここは鍛冶屋だ。調合はあくまでも趣味だ」

きっぱり言いやがった。その趣味のおかげで近隣にどれだけの迷惑をかけてんだ


「相良殿くだらないゴミを何とかしないと今度はあなたがゴミになるから気を付けるでござる正直あの異臭は尋常ではないでござる」

ホントバッサリ言うなこの娘は。最初のころはこんなことを言う子ではなかったはずなのにもしかして最初のころは遠慮して本性を隠してたのかな?


「ゴミっていやいやそれはないじゃろ。後は、異臭を消すだけでそれが終わったら本当の完成品になるんじゃ」

「ホントにござるかぁ~~~~」

「ほんとじゃ」

凛音が疑いの目をかけている。それに対してやや不安の顔をしている相良さん。なんか怪しいな。


「呪封液って何に使うんですか?もしかしてあやかしも術のようなものを使うからそれを防ぐためですか?」

「その通り最近妖の癖に術を使うおかしな奴が多くてなそれに対抗する手じゃ」

「もしかして・・・・・・それは赤覆狒々の妖気でも防げるのですか?」

俺は咄嗟にあの怪物の名前が出た。思い出したくないあいつに。思い出しただけで身体が震える。その姿に凛音も心配してるようだった。


「・・・・・焔殿」

「なるほど主はあれと戦ったのか?どうじゃ感想は?」

「戦ったとはいえないですが、あの妖気はなんか嫌な感じがします。ドス黒い感情に飲み込まれる感じがする。・・・・凛音お前はどうだった初見での感想は」

「そうでござるなぁ確かにあれを無策でやるとしたら自殺行為でござるな。逆に無策で突撃した剛毅殿達は呆れを超えてあっぱれというしかないでござる。」

おい剛毅よお前いない間に年下の娘にディスられてんぞ。


「とにかくこれの完成はあと六日かかるお主たちあれと何時いつやるつもりじゃ?」

「一週間後に剛毅殿がここに帰って作戦会議を行うからそれ以降でござるな」

「一週間後か・・・・討伐日は会議後に教えてくれ。なるべく大量生産するからの」

「相良殿感謝するでござる」

凛音が頭を深く下げお詫びをする。俺もつられて頭を下げる。


「いいって、いいって、頭を上げんか。儂ごときで頭を下げたら大物にはなれんよ。いやそれより本題じゃったな。ちょい待っとれい」


相良さんはこの場から離れ木箱のようなものから風呂敷に包まれた何かを取り出し、それをちゃぶ台の上に置いた。そのナニカを置くとズシンと音がしちゃぶ台が壊れるくらいの衝撃が走った。

相良さんは風呂敷を外すと中にはどす黒く度々中から虹色に発行している黒い巨大な石だった。


「これは?」

「これは武装石と言ってな。これを元に妖を倒す武器『武神』と言われる原型だ」

武神?ああ、あの時剛毅が使っていた金棒も確かそう呼ばれていたな。確かあいつの金棒の名前は、『鋭鬼の鋼骨えいきのこうこつだっけ?

「確かあの時剛毅が使っていたのも・・・」

「そう、妖を倒せるのは、呪術とこのうちの持つ長太刀もそう、この武神で妖を討伐するのでござる」

そう言いながら彼女は長太刀をコンコンと叩きながら言う。

「たしかそれってうまく扱えば剛毅みたいに能力が使えんのか?」

「まあそれは、焔殿の努力次第でござるな」

能力かやっぱりチート能力が理想的だな。逆にゴミなら持ち前の知恵でカバーするしかないな。


「しかし相良殿これはまた立派な武装石でござるな。これくらいのものならお偉いさんが喉から手が出る程の価値でござるな。正直言うとこれ以上な物は絶対ないと言っても過言でない程でござるよ」

「霞の婆さんの注文で特注品を仕入れてきたんじゃ。なんせ「これ以上ない武装石を用意しろ」とうるさいから仕方なく・・・・」

あの凛音が食い入るほど見るとかいったいどれだけの圧力を掛けて提供させたんだあの婆さんは・・・・

相良さんの顔を見ろなんか急にゲッソリしてんぞ。どれだけ無理をしたんだよ。


「とにかく、坊主その石を両手でかざせ。お前の思いでこの石は、様々な武器に変化する。これを武神と呼ぶ。御の気持ち次第で武神の性質は大きく変化するぞ。御の思いを石に伝えてやれ」

「そんなどうやって?石に告白とか変わったシュチエーションだぞ」

「焔殿。強い武器を想像したらダメでござる。いくら強そうな見た目になっても心がこもってないと見た目だおしの鉄くずになるでござる。思い出すでござるよ。お主があの石段で決心した思いを浮かべるでござる。そしたら武装石もきっと答えてくれるでござる。」


そうだ俺はあの石段で決心したんだ。凛音やこの村の親切な人々をを護り抜く。そう決心したんだ。

俺は、武装石をゆっくりと近づいて手を指し伸びる。すると近づくたびに石の中に放つ虹色の光の点滅が早くなるように見えた。どうやら手ごたえはあった様らしい。

「・・・・・・・・・・・・・行くぞ」

しばらく沈黙した後に一気に両手で石に触れ自分の思いを伝えることにした。

すると俺は不思議な体験をすることになった。

俺の周りは不思議な緑色の空間に包まれた。そして自分の脳裏にこれまで自分が生まれた時から今に至るまでの出来事がイメージとして浮かび出てきた。


自分は何のために生まれたのか?何を目的にして生きているのか?将来は?運命の相手は?やり直したかったことは?などの質問が次に頭に浮かんでくる。

うるせえ!うるせえ!うるせえ!うるせぇ!うるせえ!うるせえ!うるせえ!

黙れよ一気に質問すんじゃねえよ。未来の事なんか分かんねえ。ていうか未来の自分なんて想像するだけで恐ろしい。将来の事とか!好きな相手とかそんな質問すんじゃねえよ!親かお前は!!

だからさっきから言ってんだろ。

・・・・・・・俺はみんなを護る・・・・・・・それだけだ。

するとその空間はひび割れて崩れてしまい緋色の光が俺を貫く感じがした。

声がする。

・・・・・・よかろうお前に力を与えよう。それを活かすか粗末にするかお前次第だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


気が付くと俺は畳の上に倒れていた。頭がくらくらする。

「焔殿無事でござるか?」

「あれ?俺あれからどうなった?」

「あれからって?先ほど吹っ飛ばされたでござろう」

そうだっけ。なんか今日は眠らされたりすることが多くて時間感覚がオカシイ今日寝れんのか?

「それより何だあれ?」

気が付くと俺の前にはあの丸っこい武装石の姿は無く代わりにゴツゴツした黒くてデカい鉱物が俺の前にあった。大きさは、恐らく一メートル五十センチほどあるだろう。


「焔完成だ。ようやく山場を越えたな。これが武神だ」

「いや武神ってただの鉱物じゃん。いくら武器の形が変化すると言われてもこれはないだろう。こんなん盾でも使えねえよ」

「いや焔殿。いまから相良殿はこれを掘ってお主の武器を掘り当てるでござる」

「え?」

俺は戦慄した。この世界の鍛冶屋のシステムはこうなの?これ鍛冶屋って言うより発掘家だよね。じゃあ作業場にあった道具等は何だった?


「その通りじゃ。この鉱物の中にある御の武器を掘り当てるこれがこの世界の鍛冶屋の仕事だ」

「じゃああの作業場の道具は?」

「もしかして武神を掘り当てることが儂らの仕事とおもうてか。青いな。あれは主に武神の修理や調整や鞘や矢などの細かい道具を作るのに必要な物を作る場所でもある」


良かったまともな鍛冶屋の仕事もして・・・・・ん待てよ一つ疑問に浮かぶことがあるぞ。

「あと一つ。たしか俺、雲良に聞いたけど剛毅の武神の『鋭鬼の鋼骨』はたしか鋭鬼を素材にしたと聞いたけど俺何の素材も使ってないけど素材ってのはいつ使うんだ?」

「それは・・・・・・」

突然凛音が立ちを抜き出し片手には何かの角らしきものを布袋から取り出した。そしてその角らしきものを宙に投げて・・・・・

「こうするんでござるよ」

斬った!!凛音がその角のようなものを斬った。でも、斬ったはずのそれは、どこにも見えない。普通なら真っ二つになるはずなのにそれが消えた・・・・


「斬ったではなく正確には食ったといった方が正しいか。武神の養分は死した妖の屍それを武神に食わせると強度が増す」

「先ほどうちの刀『雅野兎みやびのと』に食べさせたのは暴風龍の幼体の角でござる。これがこの子の好物でござる」

そう言いながら凛音は長太刀『雅野兎』を鞘に納め背中に差した。


「武神は儂らと同じ好き嫌いもあり本来は武神の好みを食わすこともいいが中には剛毅のように能力を自分で決めるために無理やり嫌なものを食べさせる奴も多い」

「確かに素材の組み合わせで能力が変化はするけど逆に中々波長が合わず中々能力が覚醒できないでござるからな」

相良さんと凛音が俺そっちのけで議論を交わす。おーーい分かり易く説明してくれ。


「ま、とにかく今日は遅いお二人方帰んな。御らまだ子どもだろ親が待ってんぞ」

相良さんが茶化すなんか腹立つ

「ガキじゃねえよ。とそれはいい。俺の武器はいつ完成するんだ?」

「ん~~~~~そうだな・・・・・呪封液のこともあるから最低五日で出来上がんよ」

「五日ですかありがとうございます。それじゃ」

「相良殿感謝するでござる」

こうして相良さんの店を後にして俺たちは朝お世話になった宿屋に戻ることにした。


「五日か・・・・・焔殿その間に戦闘の基礎をそのなよなよした体に身に付けさせるでござる」

帰り際凛音が不気味な笑みでこちらに話しかけてくる。恐らく明日はどうやってしごくか想像してるに違いない。やばいよサド心に火をつけちゃったよ。

凛音の想像したことを推理すると絶対調教させられる。でも逆に興奮するかも。いやいや快楽堕ちなんて絶対に嫌だ。

「何の想像をしてるでござるか?」

なんか嫌な予感がして腹が痛くなったんだが明日から始まる凛音のシゴキに耐えられんの?俺。


「勘弁してください。」












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