その12、異変は突然やってくる
あの、鬼岩沼の依頼から数時間が経った。俺は、今夕食を終えさらに、入浴も終えて浴衣に着替え部屋に戻るつもりだ。
それにしてもここの大浴場はすごかったな。特に露天風呂は、この霞ヶ淵村から見た山々は特に自然の臭いがしていて都会暮らしの俺にとっては永遠に経験しない体験だったな。しかもテレビとは違いリアルで見るからこれが格別だ。
ただ一つ気がかりなのは、昨日もそうだが景色が真っ暗で視界がほぼ見えないところだ。一応、松明で光が灯っているが、それでも景色が見えない。
やっぱ日中に入るべきかな、でも日中は凛音の特訓や依頼をこなさなきゃいけないからここ数日は来れないと思う。それに先ほどみたいに仕事が早く終わっても、疲弊して極度の睡眠に襲われて気づいたら夜になってしまうこともある。
だからと言って朝風呂はもっとダメだ。俺は、日ごろゲームやラノベで徹夜しているから朝が非常に弱い。
その影響で例え早く寝ても自力では簡単には起きれない。今朝だって凛音にたたき起こされたから尚更無理だ。
とりあえずここ数日は修練の為日中は忙しいが空いてるときに露天風呂で霞ヶ淵村から見た絶景を楽しむとしようか。考え方がおっさん思考かもしれないが。
俺は露天風呂の事を考える最中にあることを思い出した。
そう言えば凛音は風呂から出た後、霞さんと共にこの村の村民会議に出ると言ってたな。
でも、この村出身じゃない凛音が出ることはどういうことだ。やっぱり妖関係は確実だろうな。
帰ったら彼女にきいてみるか。と俺はそう考えると自室までたどり着いた。
俺はその扉を開けようとすると違和感を感じた。鍵が開いていた。おかしいなこの部屋の鍵は俺と凛音の二人しか持ってないはずだ。はたまた宿屋の従業員が布団を出してくれるという考えもあるが、流石に誰もいない部屋を鍵を開けたまま出ていくのは、従業員としてはどうかと思うが・・・・・・でもまだ布団の準備の為にまだ中に入っている可能性もあるし・・・・・・・・とにかく開けてみよう。そしたら答えが分かるはずだ。
俺は恐る恐る部屋を開けてみる。すると、靴置き場には、履物が二足置かれている。しかも奥の今から何かゴソゴソと音がしている。やはり誰かいるようだ。
頼む従業員であってくれ。泥棒が来たらどうすることも出来ない。今の俺は武器も術も持ってないただの一般人だぞ。もし泥棒が刃物を持って襲ってきたら終わりだ。丸裸の俺にはどうすることもできない。
とにかく俺は居間の障子をゆっくりと開ける。すると・・・・・・
「焔君、やっとお風呂から出たんだ」
「雨水さんどうしたんですか?こんなところに」
中を開けると居間に敷かれている二つの布団に横になって寝ている雨水さんが俺を迎えてくれた。
しかもその姿は浴衣でしかも彼女の胸も霞さんに劣っているがそれでも巨乳で胸元がハッキリと見えていた。そのせいで彼女の浴衣はパッツンパッツン状態だ。彼女は俺が来るとすぐさまに綺麗な正座をしていた。
「今日村民会議があるから、曾祖母様の付き添いでね。けれど会議所に来る前に焔君がいる宿屋でご奉仕をしてもらえって言われちゃって・・・・・ゴメンね勝手に入っちゃって」
「いや、いいですよ。その会議にはもう凛音は出席しているんですか?」
「凛音ちゃん?うん凛音ちゃんは私がこの宿屋に辿り着く前にすでにあったから、適度の除妖を受けてから会議所に向かったわよ」
「そうですか」
そうか凛音はもう向かったのか風呂から出るの早いなぁ。いや俺があの露天風呂でまったりしすぎたからか。やっぱあの露天風呂は癒されるな。日中受けた疲れが癒されるから時間を忘れて呑気につかりすぎたな。
「まあ、立ち話も何だし座ろうか?」
「はい」
俺は雨水さんに言われる通り腰を下ろして彼女と視線を合わせる。だがどうしても視線が胸元に行ってしまう。
「焔君もしかして今までお風呂に入っていたの」
「はい、やっぱこのお風呂が気持ちよすぎてしまって・・・・・つい長湯してしまいましたそのおかげで体が軽くなった気がします」
「そう、それは良かった。ここの風呂場の泉質効果は治癒効果だけではなく除妖効果もあるのよ」
「除妖って確かあの時霞さんに受けてもらったアレですか?」
俺はあの時疲弊している所に霞さんに直してもらったことを思い出す。
「そう、あれは除妖と言って体に入った妖気を取り除く術式よ。妖退治を行う時は必ず体内に妖の一部が入るから、放っておくと胃の危険性があるから退治した後は必ず神社に立ち寄るか、除妖が使える術者に清めてもらうのが討伐者にとっての決まりなのよ」
「へえ」
そう言えば神社でそのような説明を受けていたな。要するにRPGで言うとパーティーにヒーラーは必須ってことか。それで神社は教会のポジションか。どちらも神を讃える職だからそりゃそうか。
俺的には仲間に雨水さんを加えてほしいが妖に対しての実力はどうなんだろ?昨日酔っぱらった霞さんの動きを止めたから相当実力はあるかも知れないが、今度聞いてみようか。まず清めてもらうのが先決だ。
「じゃあ今度は焔君の中にまだ残っている邪悪な妖気を搾り取ってあげるね」
雨水さんはそう言いつつ俺に迫り右手を広げ俺の胸元に優しく触る。そのせいで体が電流を走り非常に興奮する。
つーか搾り取るとかめっちゃいやらしい言葉だな。一瞬違う意味合いを想像してしまった。
「じゃあ行くね」
彼女の表情は真剣な眼差しをしている。でも顔が少し赤く見えたのは気のせいか。
やっぱりその除妖ってのは術者に負担が掛かるものかな?
「はっ!!」
彼女の手が白く発光し、中から温かい何かが入っている感覚がする。これは前に霞さんにやってもらった感覚だ。温かい感じがする。もう始まったのか。
そして、ウトウトしてきた。
「はい終わったよ」
気が付くと俺は後ろに倒れていた。そして、雨水さんは俺から離れ先いた場所に正座をする。
「焔君気分はどう?」
俺は体調を確認する。確かに先より身軽になった気がするようだ。
「うん、体調がいつもの調子に戻ってきた。ありがとう雨水さん」
「どういたしまして」
雨水さんが優しく笑ってくれるがやっぱり胸元が開いた浴衣の姿を見てると緊張して、なかなか彼女の顔を見られない。
「ん?どうしたの焔君まだ体調がおかしい所があるの?」
挙動不審になっている俺に気を掛ける雨水さんやっぱ俺がオカシイってハッキリ分かるんだな。
「いや、雨水さんの胸元にどうしても目が言って中々視線が合わなくて・・・・・」
俺がそう言うと彼女は自分の身体を見てやや赤くなる。
「ご、ごめんなさい。他の浴衣は洗濯中で、この古い物しかなくて・・・・・」
「心配しなくてもいいですよ。俺もその内なれると思うんで」
俺は何とか彼女の胸元を見ずに視線を何とか彼女の目線に合わせながら会話する。
「フフ!!」
彼女は突然優しく笑う
「どうしたんですか?」
「いや照れてる焔君を見てると可笑しくって可愛い所もあるんだって思っただけ」
可愛い?この俺がそんなこと小さい頃の幼馴染しか言われたことないぞ。しかし久しぶりに言われると嬉しくなる。
「あ、ありがとうございます。」
俺がお礼を言うと彼女は微笑みで返してくれた。あ~~あもしこんな姉貴が欲しかったな。そしたら、変れたのかな。そしたらあいつと・・・・・・・
「う~~~~~ん焔君の除妖が終わったし次の仕事をやりますか~~~~~」
雨水さんは身体をひねってある程度体をほぐした後に気になることを言う。
「あれって?」
「あ、そうか焔君にはまだ言わなかったんだったね。ちょいと凛音ちゃんに仕事を頼まれてね。良かったら今日取った妖の素材を見せてくれない?」
「はい」
俺は雨水さんに言われたとおりに今日鬼岩沼で狩った妖の素材の袋を計三袋ほど見せた。
その袋の中身は各自別れていて、小型の妖、大型の妖、そして、レアな妖の烏天狗の素材が入っている。
しかもご丁寧にそれぞれにお札が貼っている。
こうすると妖気が漏れないと凛音が言っていた。
「あのこれからどうすんですか?」
「決まってるじゃない。この袋に入ってる素材の妖気を抜き取るのよ」
彼女は突然立ち上がり彼女と三つの袋をオレンジ色の結界で閉じ込めた。
俺はとっさに結界をドンドンと叩いた。なぜなら彼女がこれからすることを想像はつくからあえて止めに入るからだ。
「雨水さんまさか・・・・」
「そうよ。この中にある妖気をすべて払うのよ。これが私のもう一つの仕事」
「やめて下さい。あそこの・・・・鬼岩沼の妖気は一度直接言って分かるんです。とても邪悪の何かが漂っていて、そう簡単にうまくできないと思います。だって、この俺が先ほど入った妖気とこの袋に入っている妖気の量は全然違います。しかもそれが三つもあるからなおさら。ここは術長である霞さんを呼んだ方が・・・・・・・」
「焔君それ、凛音ちゃんにも止められちゃた。確かにあの妖力を抑えられるのは難しいと思う。だけど術長である曾祖母様の弟子であり、その血の繋がった私なら出来ると思うの。だからやらして」
「雨水さん・・・・・・・」
彼女の強い意思を持っている為止められなかった。止めたら彼女のプライドが許せないはずだろう。
だから俺は彼女に最後までやらせようと思った。彼女なら絶対やり切れると信じているから。
「それじゃあいくね」
雨水さんは各袋に張ってるお札を破こうととしている。とても真剣な顔立ちだ。
見ててこちらも緊張感が走る。
「いくよ」
彼女の掛け声と同時に札を三枚素早く破いた。すると、中から悪しき妖気が結界の中を包んだ。
その妖気で雨水さんの姿は見えない。
「はああああああああ!!!」
雨水さんの声が聞こえる。その声と同時に眩い光を放出していた。その光によって、その妖気は徐々に消え始めた。
雨水さんの姿はまだ見えない。だけどあの結界の中で頑張っている。くそ、俺にはなにも出来ないのかよ。
そう想った瞬間、その妖気と光が消え、周りの光の粒が周りに漂いその中には雨水さんの疲労した姿があった。
「はあ!!はあ!!やった」
彼女は膝をつき、結界も砕ける。俺は咄嗟に彼女の方に向かった。
「雨水さん大丈夫ですか」
俺は前に崩れそうになった雨水さんをささえる。そのもたれた体に若干興奮しながら
「ええ、大丈夫よ。これでひと通りの仕事は終わったわよ」
彼女の顔は疲労して赤く火照って汗が凄い。それにとなりにあった妖の素材が入った袋の中にも妖気が感じるようには見えない。どうやらやり遂げたようだ。
「それにしてもすごいですね。あれ全部払ったんですか」
「ええ!!何とかね結構無理しちゃった。予想以上に濃いようきだ・・・・た」
俺は倒れそうになった雨水さんを布団に被せて横にさせる。
そして、彼女を横から見守ることにする。と言うかそれしかできない。俺はこの世界に来て浅いし、この状況をどうすることもできない。最近自分の無力さが多くてどうも腹が立つ。
とにかく霞さんが帰ってくるまで待ってこうか。
「すみません雨水さん。俺・・・・・なにも出来なくて」
「いいのよ。しばらく横になったら治るはずだから」
「けれど・・・・・」
「本当に平気よ。このくらいの除妖は何回もやらされたから・・・・・・」
俺はそれでも心配でたまらなかった。彼女が疲労している姿を見ていると・・・・・
「俺、今飲み物と冷たいタオルを持ってきます」
俺はとにかく彼女に元気になるために部屋から出て水汲み場で水を汲むために席を離れようとするが・・・・・・・・・・
「ダメしばらくここにいて・・・・・・」
「え?」
彼女が俺の二の腕を握り離れるのを阻止する。
「何を・・・・・・」
すると彼女は突然起き上がり火照った顔で俺に視線を合わせる。そして、逃げられないように俺を抱きしめようとする。俺の胸元に彼女の大きな胸が当たったせいで力が抜ける。
「お願いしばらくここにいさせて寂しいの」
彼女の甘い吐息が俺の耳元に当たる。これで確信した彼女はあの濃い妖気に当てられて様子がおかしくなったんだと。
でもその気になると俺の力で彼女を離れさせることはできるがこんな経験はめったにない。しばらく感傷に浸るとしようか。
だがその行動が後に後悔することになった。
「ねえ・・・・・ほむら君は私の・・・・・どこが好きなの」
「え・・・何を・・・」
「嘘つかなくて・・・・・いいのよあなたの思っていることはお見通しよ。巫女だから・・・・」
「それは、あまり関係ないんじゃ」
「関係あるよ・・・ねえなんでそれを知っているか知りたい・・・・・・・・・・・・・・・・・答えは・・・私の胸をじろじろと見てたからでしょ、当たっている?」
確かに彼女の胸をジロジロ見たが好きかどうかは俺には分からないが、吐息をフ――フ―――吹きかけるのやめてくんないめちぇくちゃに聞く。とにかく一旦彼女に晴れようと力を入れる。
「無駄だよ。答えを聞くまで決して放さないから」
「ああっ!!?なん・・・・・だ?」
すると見えない紐状に何かに縛られた感覚が襲った。体は動けない。そして声もあまり大きな声が出せない。そして俺は後ろに倒れ彼女はまたがる。どうやら彼女の仕業のようだ。
「声だけは私の距離だけでギリギリに聞こえるようにしたから大丈夫」
この状況のどこが大丈夫なんだろうか。
「ねえ答えて私の事好きなの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺はあえて黙ることにしたしばらくすると霞さんと凛音が帰ってくる。それまでの辛抱だ。
その後俺は彼女の質問を沈黙で通した。彼女の体の各所が俺の体に当たりながら・・・・・・
「ふ~~~~~~んだんまりなんだそれってつまり私のこと嫌いなんだ」
嫌いじゃないがここで好きと嘘をついても彼女にはお見通しだし、そうしたら何かお仕置きされると思うから黙っている。
「ここで好きと言ってもいいんだよ。とは言っても嘘をついてると私は見ただけで分かるからその時はお仕置きが必要だけどね・・・・・・」
当たった。俺の予想見事に的中した。
「だったらこの場で好きになってあげる・・・・・いまから気持ちいいことしようか?」
彼女はさらに密着して覆いかぶさった。彼女の臭いはとても甘くてクラクラするし、浴衣が両肩まではだけて胸が見えそうだ・・・・・・・
「う~~~~~んまずこれじゃまだね脱ごうか」
そう言うと雨水さんは汗ばんだ浴衣を脱ぎ捨てて全裸になろうとした。
彼女の裸体を見れると思ったが生憎甘い臭いのせいでクラクラして目が霞みおまけに密着しているせいで見えない。しかも俺の胸元に突起らしき物がこすられているこれは乳首なのか?
「どう?私の体綺麗?」
雨水さんは起き上がりその裸体を見せようとする。むろん俺はさっきも言ったが目が霞んで見れない。
「これもだんまりなんだ結構お堅いのね」
「・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ次は君の口を奪おうか。その後はめちゃくちゃに乱れようか♡」
すると彼女の生暖かそうな唇が俺に迫る。もう俺に抵抗の意思はない。これが俺の初キスでありこの後は必ず俺の初めても奪われるだろう。男にとってはそれはラッキーなイベントだろう。絶対に断る奴はいないだろう。
雨水さんは顔もいいし、性格もいい完璧な人だ。だけどそれは本人の意思じゃない。本人の意思じゃないのにそんなことをしていいのだろうか。
彼女の唇がさらに迫るもはや目と鼻の先だ・・・・・
もう諦めよう体が動かないしこの身を受け入れよう。そう思った瞬間・・・・・・
俺は、何故か幼馴染の春華とこの世界に来てから出会った少女を思い出す。
そうだ・・・・・・俺にはこの二人がいる。この二人のどちらの方が好きなのかは今は分からない。
だけど分かる。初めてはこの二人のどちらかにするんだって思ったんだ。
「くそ、おおおおお」
「え?そんな縛ったはずなのに自力で・・・・・」
雨水さんは唇を止め少し離れる・・・・・・俺は渾身の力で術を力ずくで解こうとする。
体は悲鳴を上げそうだが俺は絶対に止めてみせるぞ。
「無駄よ。そんなことをしても・・・・・どんなに抵抗しても私が沈めてあげる」
「くそ!!」
彼女の術の力はさらに強くなり再び動くことが出来なかった。そして、彼女は再び俺に近づき俺にキスをしようとするが・・・・・・彼女は突然何かに吹っ飛ばされかように全裸で壁に叩き付けられた・・・・その壁に張り付いた。
それと同時に術が解かれ自由になった俺
「たく!!!儂がいない間に何をやっているのだ。このバカ孫は」
その声の主は頭をポリポリとかきイラついている霞さんその後ろに隠れている凛音の姿だった。
「霞さん!!」
「坊主よく思い留まった。そうでなかったら貴様もふっ飛ばしておいたところだ」
そう言いつつ霞さんは雨水さんの方に足場強く歩んで近づいた。そして凛音は俺に近づいて心配をする。
「曾祖母様な・・・・・んで」
「フン妖気に当てられておかしくなったか。この程度の妖気でこのざまじゃ儂はホントに悲しくなるわ。それでも儂を継ぐものか・・・・・・」
そう言いながら彼女は術を解くそれと同時に雨水さんは横に倒れ堕ちた。どうやら気絶しているようだ。
「凛音随分と騒がしくしてしまってすまなかったなそれと焔も」
霞さんは倒れた雨水さんを着替えさせてから彼女を担ぎあげる。むろんそれは彼女の力ではない。
霞さんの手の先と雨水さんの周りに気のようなものが張り巡られてそれで持ち上げているようだ。
そしてそのまま部屋から出ようとする。
「待ってください。霞さん・・・・・その申し訳ございません。」
俺は深く謝った。
「別にお前が謝る程ではない。すべては奴が弱いが故に合った事故だ。こいつは才能は十分あるが、妖が放つ妖気に極めて弱い体質でな。除妖は儂がいない間にやるなと言ったが無駄だったな。後でこいつに説教を食らわすと同時に奴の体質を治す方法を探すとしようか・・・・・・今後のためにな」
そう言うと霞さんは部屋から出た。そして、気が付くと散らかっていた部屋が片付かれていた。
「焔殿。大丈夫でござるか?ホントに申し訳ないでござる」
凛音が俺に声を掛け、深く頭を下げる。
「なんでお前が謝るんだよ?」
「まさか雨水殿がそういう体質だと知らずに仕事を頼んだうちの責任でござる」
「いいよ。別に。怪我でもしたわけないし・・・・・・」
そう言うと彼女は開き直り・・・・・・
「それはそうと焔殿・・・・・雨水殿の裸を見て鼻の下が伸びているでござる」
「え、本当か」
俺は咄嗟に確かめる。
「嘘でござるよ。でもにやけたのは本当でござる。罰として明日の修練は3倍苦しくなるでござるな~~~~~」
不気味な笑い方で俺を睨む。こいつ・・・・・・・
「それより村内会議でどんな話になったんだよ?」
「それが先の会議であの赤覆狒々がこの村の周辺で暴れまわっているから村民は村の外部に出ないようにと警告されたらしいでござる。しかも焔殿があった姿とは力の質が違うらしいでござる」
俺は唾を飲み込む。奴がさらに力を付け暴れ回っているだと・・・・・
「どうやら決戦の日は近いでござるな」