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その11、風靡く(なびく)

俺達が上空に見たものは羽の生えた二つの異能な存在だ。

その者は、主に修験者が着る山伏やまぶしの服装をし、漆黒の羽を纏い鬼のような顔は鳥のような鋭いくちばしをしているものであった。それは、俺達をハエの如く見下している。まるでいつでも殺せるような余裕を見せながら・・・・・・・・

「凛音あれは、天狗か?」

「そう、烏天狗からすてんぐ・・・・・しかも天狗の中ではかなり卑劣な手を使う奴でござるよ」

凛音は舌打ちをしながら言った。あいつがそういうならそいつらはヤバい存在のなのか?


俺達は刀を素早く出し構える。しかしそれよりもあちらの方が早い。奴らは口から巨大な空気の砲弾のような物を吐き出した。それは、姿は見えないが音で分かる。激しい風を切るような音が俺達に向かって迫っていたからだ。

だが凛音はそれを予測したか片手で構え、咄嗟に結界の壁を出しその一撃を防いだ。彼女の顔は、焦った顔で今の一撃におののいていた。


「くっ、早い」

「大丈夫か?凛音」

「なんとか、しかし、なんて思い一撃だ・・・・これが噂の烏天狗でござるか」


あの凛音が苦戦してる?あいつらはそんなに厄介なのか・・・・・

すると、もう一人の烏天狗は、角笛のようなものを持っている。


「まずいな・・・・・・あれを壊さないと。」

彼女は右手に集中をして、左手でそれを支えてそいつらに構える。どうやら彼女は強力な術を奴にぶつけるそうだ。

『祈れ、祈れ、火の神にむけて、日輪ひのわを囲み壇上にて舞、それを放て』

そう呪文らしきものをいい、凛音の周りに火の玉が無数現れるそれを一度に集め。巨大な火の玉を完成させた。


火弾葬かだんそう

彼女は角笛を持った烏天狗に向けて放った。その一撃を避けようとするがその巨大な火球は花火のように爆発した。

だがそれでもそれは消えずに小さな火球は角笛を持った敵に向けて攻撃をする。

俺達は思った。これで決まったのと。だがその願いは叶わずにもう一人の烏天狗が結界のようなものを出し、それを防ぐ。


「くそ、そいつらも術を使えるのか?」

「あれは、結界じゃない恐らく暴風壁奴らは風を操る妖でござる」

凛音の攻撃は防がれ、こちらの攻撃が来る。角笛を持った烏天狗が角笛を吹いた。

ボーーーーーーーーン、ボーーーーー―ン、


その声によって、周りから無数の妖が俺達の方に向かって来ている。それを数えると十二、十三体はいるようだ。

凛音は周囲に結界を張りそれらの動きを止めるのに成功だ。だが、烏天狗の攻撃は続く。

その二体は上空に舞いながら空砲を打ち続ける。凛音はそれを結界で防ぐが破れるのに時間の問題だ。

周りに敵、上空に敵俺は、もう諦めそうになった。

なぜなら上空にいる敵に対する攻撃方法がないからだ。俺達の武器は竹刀と長太刀のみしかも術はそいつらが使う暴風壁によって防がれてしまう。万事休すだ。

だが、彼女の顔は諦めてない。にやりと笑っている。何か奥の手があるようだ。


「凛音なにかあるのか?」

「あるでござるよ。あの王様気分の妖をひれ伏す為の策が・・・・・」

「後、一つ言っていいか?俺最後までお荷物だったな」

「言ったでござろう。これを期に次に活かせと・・・・・」

彼女は、長太刀を抜き構える。それと同時に彼女の結界はすべて解かれ妖が一斉に襲う。


彼女の刃は上空に向けて後下に降ろして・・・・・・・

「追え・・・・・・・・『雅野兎みやびのと

それを言った瞬間激しい轟音と同時に烏天狗も周りにいる妖もすべて地面に伏して何かに押しつぶされていた。これは、重力による攻撃ではない風だ。轟音と同時に突風が奴らを潰し身動きを取れなくしていた。

こうなれば空を舞う奴らはどうすることもできない。

「なるほど赤覆狒々の時激しい突風は彼女の能力ちからだったんだな」


「雅野兎・・・・それは突風を使い相手を支配する能力。その力によって相手は自由を奪われ絶望し、死に直面する。風は自由の象徴と呼ばれるがこれの場合は他社の自由を支配するものによって奪われる能力でござる。どうでござるか見下した人間に見下される感覚は。さぞ屈辱的だろう」


そう言いながら彼女は、地面に伏している烏天狗に言い聞かせた。まるで自分が大空の王だと思わせるように。

対する烏天狗は彼女を見上げ抵抗するが動けない。もはや王に君臨した彼女に逆らうことができないからだ。


「さて、これで終わりでござる」

瞬間烏天狗の二つの首は空に舞った後、地面に落とされた。それと同時に赤いシャワーが王である彼女をたたえる。


そして彼女は周りにいる妖に目を向け構える。

「さて、焔殿申し訳ないけど手伝ってほしいでござる」

「身動きの取れない敵をるとか容赦ないな」

「いやそれほどでもないでござる」

「褒めてねえよ」

俺達は地に伏している残りの敵を一掃し始めた。全くこのドSヒロインは・・・・・・


気が付くと周りが血の海になり周りに結界を張って俺達は一息着いた。余裕を持った彼女も息が切れかけている。

俺達は共同で妖の亡骸を剝ぎ取りを終えた。

初めての剥ぎ取りで今も胃がムカムカするが凛音が丁寧に教えてくれるから助かる。

「はあ、はあ、やっと終わったでござる~~~~~」

「お前容赦ないな」

「それは焔殿の腕が悪いでござる。敵の急所である首と心臓を付けば一撃で仕留めるのに、無駄に攻撃を当てるとか仕事の効率が悪いでござる」

「悪かったな。どうせ俺は仕事ができない人間だよ」

そしてお互いが沈黙になった。この先何を言えばいいか分からなかった。


「焔殿あの約束は訂正するでござる。今回の報酬の要らない。焔殿の武神は焔殿の元に合った方がいいでござる」

彼女の言葉に驚いた。金欠で節約家の彼女が報酬はいらないと・

「勘違いしないでほしいでござる。烏天狗の素材は高値で売れるからそっちに乗り換えるでござる」

「たく、このツンデレは」

「ツンデレってなんでござるか?」

凛音はツンデレという言葉に興味を持っている。俺が詳しく教えよう。


「ツンツンデレデレの略。言うするに普段暴言など言う奴が好きになって相手と二人きりに急にやさしくすることを呼ぶんだ」

その意味を知った彼女は顔を赤くして否定する。

「そんな訳ないでござる。焔殿なんて好きでもなんともないでござる~~~」

「え~~~~ホントかな~~~~~(ニヤニヤ)」

「本当でござる~~~~~」

霧が漂う鬼岩沼の敷地での彼女のプリプリと怒った顔は可愛く感じ癒しにもなる。

ん?なんだこの感覚。彼女の事を考えると体が熱くなってしまう。

その暑さは決して先の戦いではない。その戦いとは違う感覚だった。胸をえぐられ張り裂けそうな感じであった。


もしかして俺は凛音の事が好きになってしまったのか?







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