鳥の細流
粒々、清涼な朝日。「そうだ、途中下車しよう。」
午前五時、精悍な日曜な朝に目覚める。
なんて、贅沢な朝なのだろう。
山辺の方向へ、宛は少し寄り道して煙草を買いに行こう。
特別な用事を敢えて持たず、乗り込む。
「この色彩豊かな木々はなんて言うんだい?」
前までは、雑音でしかなかった。
が、落ち着いて散歩をしていると、流れるバックグラウンドとして捉えられる。
軽々と、歩幅が大きくなる。
鳥の囀りを、口笛で鳴きマネをし、返答してくれる鳥達と戯れる。
ゆっくり、チェリオの自販機で購入したビッグ缶コーヒーを流し込む
この、今、座っている石材で作られたテーブルと椅子の休憩所も、また、乙だ。
釣りをしている、青年の成果をチラと確かめるような素振りをして、その場を濁しながら後にする。
コーヒーの香料が虫を寄せ付けるのか、顔付近で飛ぶ虫を理由に、つい長くなった休憩を終え、歩く。
桜の季節が過ぎ去った、この緑へと変色する姿は何処かしら、過ぎ去った祭りの後のようだ。
流れる水音と清流なる空気に足を止め、思わず深呼吸をする。
まだまだ、歩き出す。
人気の無い田舎の駅のホームは少し、霧のかかった色味。
そんなに時間の流れる気配を漂わせない。
公園のブランコは、大人でさえもワクワクさせる魅力があるよう。
そんな、のほほんとした時間帯に襟の長いシャツ姿の女性が通り過ぎた。
カラスの鳴きマネは、難しかった。
休日のお父さんは子連れで、ハイキング。
本格的に山登りをしてそうな、武装をした女性の歩幅が大きくなってゆく。
燕は、屋根の日当たりを遮る内側へと、止まり木休憩。
物語は特には続かない、ただ進んでいくだけ。
何も宛のない、散歩道のお気に入りがまた一ページ増えていく。
また、来よう。