表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/61

第24話 演習終了

 

             ◇◇◇◇


 迷宮実習21日目午前7時10分 王立高等騎士学校校門前

 大分前に朝の風が動き始め、明るさが訪れた。路上では朝の通勤ラッシュがスタートしていることだろう。この事件は十中八九、魔王の襲来だ。本来会社に通勤などする余裕すらないはずなのだが誰かさんの出鱈目な行為により、ロイスター王国王都ラシストも通常運行だ。

 ディアナは大きな欠伸をする。もう20代後半。流石に年齢的にも徹夜は辛くなってきた。

 あのバリー達の戦闘後から本当に酷い目にあった。

 ルドラの巨人が迷宮内から校庭に姿を現した時点で、この迷宮からの魔物の襲来はおよそ300年ぶりの魔王の襲来であることをあの場にいた全てのものが認識した。当然その後は阿鼻叫喚だ。各組織の責任追及の矛先は当然のごとく魔王の襲来を演習になどした中央軍に向く。

 真っ先に中央軍に呼びつけられ説明を要求される。たわけた事を言わないでほしい。魔王の襲来と知っていればディアナだとて反対していた。説明してほしいのは寧ろディアナなのだ。

 1時間ほど中央軍で質問攻めに会うが、アイザック大元帥閣下、ランディ侯爵閣、オリヴァー国王陛下が兎の精霊ピョン子を連れて訪れ一気に終息する。

 まず、ピョン子が既に魔王軍と魔王の強さは直に見て確認しており、このままでも全く問題はないがルーカスが排除しろと命じたならばすぐに掃討するように主に指示されている。どうするのか決めてほしいとルーカスに恭しくもその決定を求める。

 ルーカスは直ぐに掃討しろとピョン子に命じるが逆に中央軍幹部が必死になって止めに入った。さらにアイザック大元帥閣下、ランディ侯爵閣、オリヴァー国王陛下もルーカスにかなり強い口調でこのままの続行を命じる。3者とも『こんな面白い事途中で止めさせてたまるか!』という意思がその佇まいからヒシヒシと伝わって来た。この3人が手を組むともう誰にも求められない。

 まあ確かにどの道やる事はあまり変わらないのだ。近隣住民の避難が増えることと各組織がこの演習から手を引くだけ。

 広範囲に避難指示を出しすぎればその経済的損失は計り知れず逆に非難の的となる。よって、近隣住民は万が一に備えて半径500m圏内を避難対象とした。

まだまだ雑魚魔物は沢山いる。他組織についても中央軍としては手を引いてもらった方がその利は大きい。その決定を各組織に伝えるが逆に残存を歎願され渋々了承することになる。

 その後騎士校のグラウンドに戻ると雑魚魔物と伝説級の魔物がグラウンド中央で上手く二分されていた。兎達の仕業だろう。本当に器用な事だ。

 伝説級の魔物はまさに英雄譚や御伽噺、神話の再現だった。昔本で見た伝説級の魔物が引くほど出現する。それを当初バリー達のチームが中心に掃討していたが、カルヴィン殿下率いる近衛騎士団とSSSランクの冒険者プルートを中心とした冒険者のチームも中等部生に負けてたまるかと参戦する。中央軍もロメオとロメオに強制的に参加させられたディアナと不憫な生贄(なかま)達が参戦させられた。

 そして魔物を粗方殲滅したところで午前7時すぎとなっていたわけだ。

 周囲の兵士は皆眠そうだが全員顔が綻んでいる。無理もない。特殊部隊の200人は皆覚醒した。他にもちらほら覚醒者は現れている。そして兵士の殆どがLV後半台。これで嬉しがるなという方が無理な相談だ。

 周囲がざわつき始めた。人混みをかき分けグラウンドへ行く。

校庭の中央には全身黒ずくめの仮面を男が立ち。そこに白服の男、ピョン子と数多の兎達、白衣の美しい女性が跪いていた。どうやら最終局面だ。




 お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ