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第二話

だいぶんおくれてすみません。

そして、なんか…わけわからん終わりかたするかもしれない。笑笑

「はい、もしもし。」


私は電話に出ると、少しだけ営業トーンで話始める。友人なら絶対そんなことしないけれど、知らない番号だから誰だか分からないから。

すると、電話の向こうから何故かクスッっという笑い声が聞こえた。

……あれ?なんか聞いたことある笑い方……。

「……あのー、どちら様ですか?」

まさかとはおもうが……。心当たりがある人物が頭を掠める。

「あぁ、すみません。僕です。」

笑いながら言っているんだろうことが分かる。そしてこの声は…

「まさと……?」

「そうですよ。張家将斗(はりやまさと)です。お久しぶりです、みなほさん。」

懐かしい声だ。あの頃と変わらない、優しい声。

「……なんで?」

ただ、私は混乱した。彼は遠い昔にさようならをしたはずだ。

「え?」

将斗は私の問が訳分からないのか、困惑した声で言った。





張家将斗は、高校生の時のクラスメイトだった。

彼は、栗色のさらさらの髪と、薄い茶色の目、それから……まぁ、とにかくイケメンだった。それから性格も良くて、頭も良いときた。運動神経は人よりほんの少し劣ったが、イケメンに目がない年頃の女子からすれば、そんな欠点さえ素敵に感じた…らしい。

私はというと、ああ、イケメンがいる。というような感じでしかなく、はっきり言ってどうでもよかった。私はそんな、冷めた女子校生だったわけだ。

しかし、彼はどうも変わり者であり、同じく他の女子とは違う変わり者の私に恋心を抱いたようで、何度も告白された後にお付き合いをするようになった。私にとって初めての彼氏だった。

付き合い始めたのは高校一年のときで、突然別れを切り出されたのは高校三年の冬だった。

彼は昔からの夢だった医師を目指し、県外の大学に進むときたが、私は県内で就職という道を選んだ。

そこで彼は私にこう告げたのだ。

「みなほさん。僕はこれから忙しくなって、連絡はまともに取れないとおもう。だから、僕が夢を叶えてまた一歩進むときまで別れたいんです。」

私はもちろん反対した。それまで待っていろと言うのかと。すると彼は、

「待っていなくて良いよ。ただの友人になるだけでも良い。それでも、みなほさんと接点をもてていたらいいと思うだけなんです。」

でも、私はそんな自分勝手な考えに納得できず、「今別れるならもう連絡は一切取らない。」と言い捨て、その場を立ち去ったのだった。




あれから、今までずっと、ずっと、連絡はなかった。

そして私は、最後にあんな言葉をはいたことを後悔して、結局自分の中から将斗の存在を消すことが出来ぬまま、いままできた。

その間、私は無理やり忘れようとして、わたしの事を好いてくれて告白をしてきた人たちとお付き合いを重ね、その度に長続きせず終わった。

そして今日、とうとう連絡があった。

もう絶対に会うことはないだろうと思っていたのに、声を聞くこともないと思っていたのに。

それに、あれから何度か電話番号も替えたのだ。

だから、驚いて、聞いたのだ。



「……なんで?」

「え?」

「だって、私、あれから二、三回番号替えてるよ!なんでしってんの?!」

驚きすぎて大きな声を出してしまった……。電話の向こうからは、懐かしい笑い声が聞こえてくる。

「僕の連絡網なめないでくださいよ。」

少し悪戯っぽく言うのが、また私をキュンとさせる。ああもう。今更なんなのよ‼

「その連絡網とやらは知らないけど、誰から教えて――――」

「新羽さんです。」

私の問を遮る様に、私のよく知る人の名が出てきた。そのことに驚き、言葉が出ない。

「前から度々連絡があったんです。みなほに早く連絡してくれって」

その発言にまたまたびっくりする。なんだか今日は驚いてばかりだ。

「……なんで心羅が…?」

「なんか、みなほが色んな人と続かないのは全部あんたのせいだからね!とか、みなほをこれ以上苦しませるなら許さない!とか、いろいろ言ってましたよ。」

「えっ?!?!?!」

そんなの初耳だ。しかも、心羅にさえ将斗に思い残しがあるなんてことは言ったことなかったのに…

「だから、僕は決心しました。みなほさん、」

「な、なに。」

「また僕とやり直してください。まだ僕は夢を叶えていませんけど、それでも、―――――」

「今更だよ。ほんと今更。」

私は将斗の言葉を遮って言った。

「……そうですね…。今更ですよね。」

落ち込んだ声が聞こえる。

「なんで、いままで連絡してこないわけ。なんで今なの。」

「…それは…、みなほさんが色んな方とお付き合いしてたので、タイミングが……」

なにも言えなかった。たしかに私は何故かよく告白されたし、別れてはまた付き合ってを繰り返していた。

「それで、ついさっき新羽さんから連絡があって……」

「……あぁ、そう。」

「…あの…怒ってますよね…」

「なんで怒る必要あるの。怒ってないし。」

そう、怒ってなんていない。むしろ嬉しい。

だって、いままで三年間も忘れられなかったくらいに好きだった人から、やっと連絡があったのだから。

「じゃあ、なんでそんなにつっけんどんなんですか。」

珍しく将斗が不満気な声を出す。

「別にそんなんじゃない。」

「どんなんですか。」

「……ひ、久しぶりだから恥ずかしいだけだし。」

思いきって言ったら、次は向こうが言葉に詰まる番だった。

そして、恥ずかしそうに、そっと確かめるように、

「…それって、僕の都合の良い解釈をしても良いわけですか…?」

「そうなりますね…。」

思わず敬語になる。

「あの、確かめるために、ちゃんと言葉にしてくれますか…?」

一つ一つの言葉が、心地よい重みをもって染み込んでくる。

懐かしくて、いとおしくて、忘れられなかったこの感じに浸りながら、私は呟いた。



「ずっと忘れられなかった。そのくらい好き。」



「……僕ってほんとに馬鹿ですね。なんであのときあんなこと言ったんだろう。ほんと馬鹿だ。」

「そうだよ。ほんと馬鹿。頭は良いくせに、そーゆーとこ馬鹿。」

「馬鹿馬鹿言い過ぎです。」

「あんたにはこのくらい言わないとわかんないでしょ。」

「それはひどいです!」

馬鹿みたいな会話。昔と変わらない。

私も馬鹿だった。あのとき、もっとちゃんと引き留めたら、今よりもっとしあわせになってたかもしれないのに。

(でもいいや。)

私はそっと心のなかで呟いた。

(今、ちゃんとまた巡り会えたもの。)



「あ。」と、将斗が思い付いたように言う。

「なに?」

「実は今、実家に帰ってきてるんです。」

これまたびっくり発言。なんなんだ。

「で…?」

わざと平然を装うけれど、びっくりしすぎて全く平然となんてしてない。

「…今、8時ですよね。」

「そ、そうね。」

「今から会いに行っても良いですか。」

「……はぁ?!」

「何処に住んでるかも、新羽さんから聞いてます。」

何度目かの心羅の名前の出現に呆れ驚き、幸い部屋もキレイだし、私だって会いたかったから、思わず

「…まあべつにいいよ。」

と、これまたぶっきらぼうに言ったけれど、本当は嬉しくてしょうがない。

「それならすぐ行きます!!!」

嬉しそうな声を聞いて、通話を切り、立ち上がる。

ふと立ち眩みがするけれど、今は嬉しさでどうでもいい。しかし、ふと見た先に……

「…あ。忘れてた。」

ちいさいテーブルに、家に帰ってからすぐに淹れた冷めきったコーヒーが置いてあった。すっかり飲むのを忘れていたのだ。

「冷めたコーヒー…嫌いなんだけどなぁ…勿体ないしなぁ…」

そんな思いから、ぐいっと一気に飲み干した。

いつもならここで、うぇぇぇぇ、やっぱりまずい!!っとなるが、今日はそうはならなかった。

むしろ少しだけ、甘く感じた。

いままで私を縛っていたものが甘く溶けたような、そんな味がした。

私は少しだけ微笑んで、飲み終わったマグカップを洗い始めた。





最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

まだまだな私ですが、これからもがんばりますのでよろしくお願いいたします。

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