愛していると囁き続けて(絵里奈視点)
※絵里奈×夕鶴(絵里奈視点/若干ブラック有り)
「愛している」
そう、私に囁きかけて長く綺麗な指で私の頬に触れる貴方。
素肌に直に触れる貴方の肌。
私と同じ女性である貴方の肌は柔らかくてとても安心する温もりを感じた。
「私も貴方を愛しているわ」
貴方に微笑みかけて、私は両手で貴方の頬を包み込む。
そして、貴方の綺麗に色づいた唇に自分の唇を重ねた。
甘い時間がゆっくりと流れる。
それだけで、私はとても幸せになれる。
生まれた時からずっと一緒で、まるで本当の双子の様な存在の貴方。
従姉妹同士だとか、女性同士だとかは関係なく、私は確かに貴方を。
夕鶴の事を心から愛している。
――でもね、夕鶴。
貴方は知らないかも知れないけど、
貴方の事を想っている人は私だけではないの。
私は実の事知っていた。
私の親友が……彩が夕鶴に対して恋心を抱いていた事を。
最初は信じたくなかった。
親友であるあの子が、私と同じ人を……夕鶴を好きだったなんて。
しかし、あの子が夕鶴を好きである事は明白で。
しかも、夕鶴も薄々とはだけど、その気持ちに気づいていた事も知っていた。
私は怖かったのだ。
あの子が、彩が貴方に自分の気持ちを伝えてしまうのが。
貴方が、夕鶴が私から離れてしまう事が、何よりも怖かった。
だから、私は……。
あの子が、彩が夕鶴に自分の気持ちを伝える前に、夕鶴へ思いを伝えたのだ。
夕鶴は優しい人だから、自分の言動で人を傷つけるのを何よりも恐れる。
故に、双子の様に生まれた時から一緒だった私からの告白を否定する事はない事も知っていた。
私は卑怯者だから、夕鶴の優しさに漬け込んだんだ。
それでも、私はそうでもしないといけない位、夕鶴を愛していた。
彩には悪いと思っているし、申し訳ない話だとは思うけど、
それでも、夕鶴はあの子には渡さない
何があっても絶対に――……。
「……ねぇ、夕鶴。愛しているわよ」
再び貴方の唇に口付け、夜が明けるまで私達は再びその素肌を重ねた。
私は貴方をあの子に取られたくない。
貴方が愛を囁いて良いのは私だけ。
私も貴方しか愛さない……。だから。
だから、もっと私に愛を囁き続けて。
そして、もっと私をきつく抱きしめて。
私も、それ以上に貴方に愛を囁き続けるから――……。
<END>