少女と狼~追想短編~
少女は歩むどこまでも…
草原を越え
山を越え
森を抜けて
どこまでも…どこまでも…
言葉を発する事も無く、側に歩むは一匹の狼
ただ寄り添うように一人と一匹
目的も無くひたすら歩む
キラキラと日差しが差し込む森の中を、キラキラと輝くような少女の瞳が見上げている
サラサラと森を抜ける風が、サラサラと流れる細い髪が風と共に頬を撫でる
少女を背に乗せ歩む狼も、キラキラとした目とサラサラと流れる毛並みを揺らし
振り返ることも無くただ前を見据えて一人と一匹は歩み続ける
少女は微笑み耳を澄ませ自然の声を聞き狼と心を通わせ言葉を発することは無い
空に星が輝くころ一人と一匹は、森の中、ただ身を寄せ合い空を見上げる
木々に囲まれ伏せる狼に包まれる、少女は喋る事無く輝く星へと手を伸ばす
聞こえる音は虫の音と森のざわめき、微かに聞こえるはお互いの呼吸だけ
キラキラと輝く月の光に照らされる一人と一匹、見詰め合い笑い合う
夜の帳…闇から守る様に少女を包み眠る狼
少女は幸せそうに眠る、ふかふかの毛と温もりと優しさに包まれて天使の様に眠る
日々は繰り返し繰り返しどこまでも歩み続ける少女と寄り添う狼
川を越え
谷を越え
困難も越えて
険しい道を一歩また一歩と歩み続ける
それは小さい一歩
それでも力強い一歩
転ぶ事も恐れずにただひたすら歩み続ける
少女は歩む狼は寄り添い支え合い
どこまでも…どこまでも…
少女と狼が見据えるは地平線…旅は終わらない…言葉は要らない
どこまでも歩む少女の追想
終わる事の無い旅路 笑顔の少女は今日もまた歩み続けるだろう狼と共に寄り添う様に…