遺された者の使命
自分の体験を元に書いた短編小説です。
体験済みの方は湊くんに自分を当てはめて読んでみてください。
また、誤字脱字や矛盾(少し昔の記憶の為)があった場合は容赦なく指摘してください。
それは、まだ外には雪が積もるような寒い冬の事だった。
俺は彼女とデートをしていた。なんて事ない公園デート。今までも何回もしてきた。それなのに、俺の心は妙な不快感に襲われている。
「なあノア。そろそろ帰らないか?」
何としてでも家に帰りたい。そう思わせる程の不快感が俺を襲う。
「え〜もう帰るの?まだいようよ」
「頼むよノア。今日はなんか嫌な予感がするんだ」
「んー、ま、しょうがないか。君は昔から勘は鋭かったからね」
そういって彼女は了承してくれた。それでも強くなる不快感。気のせいだと信じたいが…
「じゃあねノア、気をつけて」
「うん!君もね!」
そうして俺たちはそれぞれの帰路についた。
その妙な不快感を無視して。
………俺は、待合室で緊張しながらノアを待っていた。
(あのまま帰すべきじゃなかったんだ…全部俺のせいだ…)
そう。ノアは俺と別れてすぐ通り魔に刺されてしまったのだ。
罪悪感と後悔で胸が張り裂けそうになっていると、丁度ノアの両親が駆けつけてきた。
「乃亜は!?乃亜は大丈夫なのか!?」
「まだ…分かりません。ただ、意識不明の重体とだけ」
「そんな…」
ノアの父親は絶望した顔で今にも泣き叫びそうだ。
「お父さん。今はノアを信じましょう」
「母さん…そうだな…」
ただの恋人でしかない俺でこうなっているのだ。両親となるとその悲しみは計り知れないのだろう。
「お義父さん、お義母さん。すみません。俺が近くにいればこんな事にはならなかったのに…!」
「湊くん…大丈夫だ。君のせいじゃない」
違うんですよ…!俺は危険が迫っている事に気づいていたのに…!それなのに助けられなくて…!
「俺はっ…!ノアの彼氏失格だ…!」
思わず泣き出してしまう。ははっ、こんなんじゃノアに顔向けできないな…
…そしてしばらく経ち、医者は出てきた。
そして、俺たちが待ち望んでいた答えをくれる。
……………訳じゃなかった。
「…娘さんは死亡しました。我々としても最善を尽くしましたが…刺された箇所が多すぎました………」
俺はその結果を聞き、更に涙が溢れそうになった。しかし…もっと悲しいのは両親だった。今までこらえてきた分の涙が溢れ出していた。
「乃亜…くそっ!!!何で乃亜なんだよ!!」
「乃亜…!乃亜ぁ…!」
やがてその悲痛の叫びは言葉を失っていき…
どれだけ時間がかかっただろうか。ついに両親は泣き止んだ。
「湊くん…今まで娘と仲良くしてくれてありがとう。君と付き合ってからの乃亜は毎日明るくて…!天使のような明るい笑みを浮かべて…君の話ばかりをしていたよ」
「お義父さん…こっちこそ…ノアと過ごした日々は俺にとって何にも変え難い宝物です。
お義父さん、初めて会った時言いましたよね、「娘はやらんぞ!!」って………そういってくれて…認めてくれてありがとうございます」
お義父さんもお義母さんも感情に浸っているようだったので先にお暇させてもらった。
その帰り道、俺は思った。
何故この世の中はノアのような真っ直ぐな人が死に、犯人のような薄汚い野郎がのうのうと生きているのだろう、と。
だけど、そんな事を考えてちゃ犯人と同じだ。遺された俺たちは遺して逝ってしまったノアを忘れないで愛し続ける事が一番重要なのだ。毎日じゃ無くていいから、偶に思い出して、涙を流して、それで終わり。
たったそれだけ、それが死んでしまったノアの喜びになるのではないだろうか。
「ノア…俺はノアを忘れないよ。例え他の人を愛そうとも、君を上回る事はないだろう。
さようなら、俺の一生の恋人…」
遺された俺たちはただ忘れないことしかできないのだから。いつまでも悲しみに暮れている暇はない、俺たちはノアの分まで前に進んで行かなければならないのだから。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
とりあえず中身よりも自分の伝えたい事だけを詰め込んだので文字数はあまりありませんが、自分としてはいい作品ができたと思っています。どうか同じ体験をしてしまった人は、いつまでも悲しみに暮れず、前へ前へと進んで行く、これを忘れないでください。




