第8話 魔力
坂本が、心の叫びの声を上げている頃、
咲希も、自身のスキル”魔力の源”に触れて、
自身のスキルの確認をしていた。
彼女の身体を、温かいような、ぞわぞわするような、全く馴染みのない異物な感覚が駆け巡っている。
(うっ…なんだか、気持ち悪い…。不思議な感じだ…。)
咲希は、自分の感覚に集中していた。
(こう言うのって、最初は何となく感じていたものを、体内で循環させたりするのが定番だよね。試してみる価値ありだね。うっ…、循環以前に、情報の解像度が高すぎて酔う…。今は無理…、でも…。)
真鍋咲希、実はかなりのラノベ読者で、努力家でもあった。
そんな時、坂本が、
「ねえ、真鍋さんの方はどうだった?」
「あ、ええと、特に何か使える感じはしないわ。ただ、身体の中が、なんだか変な感覚がするの…。あと、何か複雑なの。」
「複雑?」
「そう複雑…。例えば、そこにある石なんだけど、”石”と考えれば、1つの物じゃない?、でも、一つじゃない感じがするの。」
「石を構成する原子的な感じ?」
「イメージはそんな感じかな。意識すると、全てがそんな感じで、ごちゃごちゃしてるの。もちろん坂本君もよ」
「そうか。じゃあ、『魔力の源』も、チートぽいけど、今すぐには使えなさそうな感じだね…。」
坂本は、そう結論付けた。
二人は、スキルを授かったという事実に希望を持ちつつも、「今すぐ使えなさ」に、大きな失望を覚えた…。
「頼れるのは、結局、このナイフと、私たちの頭脳だけみたいね」
「ああ。少なくとも今は…。」
二人は、気持ちを切り替え、川沿いをもう少し探索することを決め、再び歩き出した。
森の奥から、獣の咆哮が聞こえ、ビビりまくる、二人のサバイバルは続いていく。




