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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第2章 冒険の幕開け
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第30話 手紙

地平線の向こうから姿を現した領都ハーバスは、商業都市トルメキとは比較にならないほどの威容を誇っていた。

何重にも巡らされた巨大な外壁、そして天を突くようにそびえ立つ城郭。

それはまさに、西方の守りの要たる ”城塞都市” の名に相応しい。


しかし、その巨大な東門に到着したライカ一行を待っていたのは、歓迎の調べではなく、槍の林と鋭い検問の視線だった。


「…すごい厳戒態勢ですね。何かあったんですか?」


馬車の窓から外を覗いた坂本が、呑気に首を傾げる。

門の周囲には通常の数倍の兵士が配備され、その誰もが顔をこわばらせていた。


「坂本君、鈍いわね。全部”私たち”のせいよ…。あの日の一件のせいよ」


真鍋が呆れたように言うが、元々自分が発端なのだ。しかし、彼女自身、その表情は他人事だ。


「ねぇ、エリス!ハーバスって美味しいお店とかある? せっかく大きな街に来たんだし、まずは観光しようよ!」


「ええ、サキ様。もちろんございますわ。王都から取り寄せた最高級の甘味を出すお店や、珍しい異国の布地を扱う商店が立ち並んでいますの。わたくし、ご案内しますわ!」


「やったぁ! 坂本君も、後で行こうね」


「はいはい。アイにお勧めのスポットを学習させるよ」


馬車の中では女子トークに花が咲いているが、外で検問にあたっている兵士たちは生きた心地がしていなかった。

馬車の隙間から見える真鍋…、いや、【女神の使徒】の姿。

あの日、空を埋め尽くさんばかりの光を放ったとされる存在が目の前にいる。

彼らにとって、それはいつ爆発するか分からない

”神という名の爆弾” が門の前に並んでいるようなものだった。


ライカは伯爵で身分も証明されている。

前触れもだし事情も説明済みであるが、

門番たちは ”確認に時間がかかる” を繰り返すばかりで、一行を中に入れようとしない。


「……随分と待たせるのね 」


待ちくたびれた真鍋が、ふと馬車の外に聞こえるような声で呟いた。


「もっと、違うとこも通れるように門をふやそうよ 」


「ひっ……!」


真鍋の悪気ない、【パワーワード】に、門を守る兵士たちが目に見えて震え上がった。


使徒の不興を買えば、この街が光に包まれて消えるのではないか。そんな被害妄想が彼らの脳裏をよぎる。


「真鍋さん、冗談でもやめてね」


「わかってるわよ、坂本君 」


そこへ、城の方角から一騎の伝令が駆けてきた。


「侯爵閣下よりの命である! ライカ伯爵一行を、即刻、城内の執務室へお連れせよ! 無礼な振る舞いは一切無用である!」


その声に、兵士たちは弾かれたように道を空けた。


ハーバス城のその最深部にある侯爵の執務室。

重厚な扉が開くと、そこには眉間に深い皺を刻んだ初老の男性クリエ=ハーバス侯爵が、書類の山に囲まれて座っていた。


「……使徒殿。よく参られた」


侯爵が立ち上がり、形式的な挨拶を口にする。

しかし、その声には敬意の裏に、

”また厄介な問題が舞い込んできた” という隠しきれない疲労感が混じっていた。


「ライカ、魔導通信での報告は受けている。

…が、正直に言わせてもらえば、耳を疑うような話ばかりだ。光に包まれたあの日…。使徒、降臨、そして『女神の意志』だと?」


「閣下、あの日、大聖堂にいた者すべてが、その奇跡の証人です」


ライカの言葉に、侯爵はますます苦い顔をした。

彼は現実主義者で、神の再臨などという、既存のパワーバランスを根底から覆すような事態を、手放しで喜べるはずがなかった。


「使徒殿。貴殿からも話を聞きたい。よろしいか?」


「わかりました。アイ、補佐を頼む」


坂本の傍らに光の粒子か集う。それは、次第に人の形をとっていき具現化する。


侯爵の一段と鋭い視線が向く。


「AIアシスタントのアイです。僕のサポート役で…。 アイ、侯爵閣下に今の状況を簡潔に」


『かしこまりました』


アイが、黒髪をなびかせ、侯爵の前に進み出る。

異世界の服装スーツと、一切の感情を排した論理的な話し方に、侯爵は驚きに目を見開いた。


アイは【管理者イシテル】との接触、そして真鍋が【使徒】として認定された経緯を、言える範囲(世界のシステム的な用語を避けつつ)で淀みなく説明していく。

そのあまりに高度なプレゼンテーションに、侯爵は次第に頭を押さえ始めた。


「……分かった、もう結構だ。つまり、我々は今後、この使徒殿達の行く末を、見守ってゆかねばならないということたな。…ライカよ、お前、よくこんな面倒を私に投げに来てくれたな」


「申し訳ございません。ですが、私の一存では何とも…。この案件は閣下のご判断を仰がなければと」


ライカが少しだけ晴れやかな顔で答える。

自分一人で抱えきれない “責任” の"バトン"を、ようやく上司である侯爵に渡せたことの安堵感だろうか。


「……だが、ライカ。お前の気が楽になるのは、今この瞬間までだぞ」


侯爵が忌々しそうに、机の引き出しから一通の手紙を取り出した。


金色の縁取りがなされ、重厚な蜜蝋で封印された、きらびやかな封筒。

そこに押された紋様を見た瞬間、ライカの眼が細められた。


「それは、…王家の…」


「そうだ。王都カラロードよりの物だ。内容は言うまでもないな」


侯爵がため息をつきながら、その手紙を坂本と真鍋の方へ見せ説明を始めた。


「王家より、女神の使徒あての招待状だ。……王は、あの日の出来事を、自ら確かめたいとお望みだ。ライカ、もちろん行ってくれるな」


クリエは、悪い顔をしてそう告げ、そして、ライカへ手紙を受け渡す。(ライカ報告はまかせたぞ )


「うっ…、王都へですか… 」


渋い顔のライカへ戻る"バトン"…。


「ねぇ、エリス!王都だって。美味しいお店いっぱいあるよね? 一緒に行こうよ!」


「……は、はい ですわ…」


急に話を振られたアリスは、しどろもどろし、真鍋の無邪気な一言が、静まり返った執務室を虚空へ導いた。


ライカ→侯爵→ライカで渡った"バトン"(厄介者)

つぎは、→国王!?

真鍋の言語力凄まじく成長のしてます。

スパルタ、アイ先生です。

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