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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第2章 冒険の幕開け
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第29話 移動と友達

商業都市トルメキを後にし、一行は領都ハーバスへと続く西街道を進んでいた。


初夏の風は心地よく、整備された街道の両脇には穏やかな平原が広がっている。

今回の旅団は、当代の伯爵ライカ=カドモンドを筆頭に、その愛娘エリス、そして【女神の使徒】の坂本と真鍋。

さらにお世話係のメイドと護衛の騎士五名を加えた、計十名の小規模な隊列であった。


「使徒様、お疲れではございませんか? 宜しければ、こちらの冷えた果実をお召し上がりくださいな」


馬車の中でエリスが、薄桃色のハンカチを広げて真鍋に微笑みかける。

エリスは、”お嬢様モード”を継続中だ。


背筋を真っ直ぐに伸ばし、指先の角度一つにまで気を配るその姿は、森で泥にまみれて剣を振っていた少女と同一人物とは到底思えない。


「あ、ありがとう、エリスさん。でも、そんなに畏まらなくても大丈夫だよ」


「いいえ、使徒様のお世話をさせていただけるのは、わたくしにとって至上の喜びですわ。…あ、あらっ!?」


その時、馬車が街道のわずかな窪みに乗り上げ、大きく揺れた。

エリスが差し出そうとした果実の皿が宙に浮く。

彼女は咄嗟にそれを受け止めようとしたが、慣れないドレスの袖が引っかかり、自分の方が前のめりに倒れそうになってしまった。


「あっ、危ない!」


隣に座っていた真鍋が、電光石火の速さでエリスの体と皿を支えた。

果実は一つもこぼれていない。エリスは真っ赤になり、乱れた髪を直しながらうつむいた。


「も、申し訳ございません……わたくしとしたことが、なんという無様な……」


「いいってば。ほら、エリスさん。……ねぇ、使徒様って呼ぶの、もうやめにしない?

私、エリスさんと友達になりたいんだ。

だから、私のことは『サキ』って呼んで」


「え……? し、しかし、そのような恐れ多い……」


「お願い。……ね? ライカさんも、いいですよね?」


真鍋に話を振られ、向かいで苦笑していたライカが頷いた。


「サキ殿が良いと言われるのなら、エリス、お前の好きにするが良い。」


「……っ。はい、サキ様。嬉しいですわ!」


エリスの瞳がパッと輝き、少女らしい無邪気な笑顔がこぼれた。

この瞬間、使徒と貴族令嬢という垣根を超えた、確かな友情が芽生えたようだった。


その日の夜。街道沿いの野営所で焚き火を囲んでいた時のことだ。

夕食の準備を手伝おうと、坂本が立ち上がった。


「火をつけるね。……”火よ”」


坂本が指先を薪に向けると、魔力が空中の事象に直接作用し、ボッという音と共に薪から炎が上がった。

坂本は続け、空の水瓶に手をかざす。


「”水よ” 水も入れとくよ」


澄んだ水が溢れ出し、瓶を瞬く間に満たしていく。

それを見た真鍋が、焚き火のそばで深く溜息をついた。


「……坂本君て、本当にずるいよ。チートだわ」


「え? 魔法って、こういうものでしょ?」


「プロセスが全然違うのよ!

私のは、火を起こす場合、まず空気を圧縮して分子運動を激しくして、摩擦熱を上げて、そこに周囲の酸素を効率よく供給して酸化反応を……って、感じで組み立ててるんだから!」


真鍋の【魔法】は、現時点では物理法則への干渉という形をとっている。

火を起こすだけでも高度な演算が必要なのだ。


対して坂本の魔法は、アイのアシストによってシステム化された【魔法】。

いわば、OSの正規コマンドを叩いているようなものだ。


「でも、これでも苦労したんだよ。老師の屋敷でアイと一緒に魔導具や古文書を片っ端からスキャンして、その都度ぶっ倒れたりしながら、この世界の【魔法】を学習させたんだから」


『補足します。坂本様の学習能力は私の演算能力と同期しており、事象発現効率は極めて良好です』


脳内で、アイが誇らしげに告げてる。

真鍋は、再び溜息をつき、悔しそうに火を見つめた。


その後、坂本は馬の見回りをしていた護衛の騎士に声をかけた。


「お疲れ様です。……あ、そうだ。ちょっと聞きたいんですけど、皆さんの『レベル』って、今どれくらいなんですか?」


「れべる? ……使徒様…はて、それは何かの称号ですかな?」


騎士は不思議そうに首を傾げた。坂本は言葉を重ねる。


「ええと、ほら、ステータス画面とか、見えたりしませんか?」


「すてーたす……? それは、なんでしょうか?」


「……あ、そうですよね。変なこと聞いてすみません」


(……マジで!? ステータス見れないの!?)


坂本は衝撃を受けながら、そっとその場を離れた。


テントに戻り、真鍋にこっそりとその事実を共有する。

「真鍋さん、騎士の人たち、レベルもステータスも知らない感じだったよ…。もしかして…、その概念すら無いかも…」


「……えっ? じゃあ、見えてるこれって…、私たちだけのもの!?」


真鍋の前にウインドウが表示されている様だ。


「……これ、秘密にしとこうね。バレたら面倒そうだし」


「うん」


イシテルと接触した影響か、二人のステータスには、変化があった。


名前:坂本 ノベル

レベル:20

HP:80%

MP:56%

スキル:AIアシスタント

    剣術

    心体強化

    気配感知

直感

思考加速

並列思考

アバター

魔法 ▶火、水、風、土、光、空間

加護 イシテルの叡智(極小)


名前:真鍋 咲希マーサ

レベル:22

HP:95%

MP:82%

スキル:魔力の源

量子魔法(元素魔法を統合)

魔力感知

生活魔法 (物理)

量子思考

高速演算

加護 イシテルの意思(極小


「……加護ついたよね」


「『極小』だけどね。でも、あの日から、アイとの意思疎通が一段としやすくなった気がする」


翌朝、一行は再び領都ハーバスを目指して出発した。


馬車の中でエリスと楽しそうに女子トークする真鍋。

坂本は窓の外に目を向ける。

二泊三日の短い旅路の終わりに、巨大な城塞都市ハーバスの全貌が、地平線の向こうから姿を現し始めていた。


久しぶりに訪れる、ハーバス。やらかし後、逃げるように去った後の民衆の感情はどんな感じかな?

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