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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第2章 冒険の幕開け
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第27話 管理者

商業都市トルメキの中心に鎮座する「大聖堂」は、その歴史の重みを象徴するように、分厚い石壁と天を突く尖塔を夕闇の中に晒していた。


当初、ライカの館で予定されていた会談会は、招待された高位聖職者たちの要求によって、その舞台をこの神聖なる場所へと移されていた。


「伯爵、我らは真実を、神聖なる神の前で証明することを求めているのだ」


聖職者たちの言葉に、ライカは苦渋の表情を浮かべていた。

彼らにとって、真鍋という存在は信仰の対象であると同時に、教会の権威を補強するための【道具】に仕立て上げたかったのだ。

壇上に立つ坂本、真鍋。

その眼下には、着飾った貴族たちや、白の法衣を纏った司祭たちが、期待の籠った視線を投げかけている。


「……坂本君 」


そっと、坂本の左手をとる。


「ああ。ここで格付けを終わらせ自由になろうよ。」


(アイ、準備は?)


坂本の問いに、脳内のアイが、静かにタブレット状のインターフェースを操作しながら頷いた様に思えた。


『準備完了しています。真鍋様の【魔素排除】と、私のホログラム演出を同期させます。これより「真理の乙女作戦」フェーズ2を開始――』


アイが言葉を切り裂くようにして、異変は起きた。

作戦を実行に移そうとしたその瞬間、


『……っ!? プロトコル異常!?外部からの強制割り込みを確認!?……解析不能!!この力は…っ!』


(アイ!? どうしたんだ!)


アイの言葉から冷静さが消え、かつてない焦燥が走っていた。


『全リソースを防御から解析へ回します! 坂本様、意識を繋いでください!

真鍋様のリソースもお借りします!

脳内の論理回路を演算補助に使用します。……きます、これは……!』


その瞬間、大聖堂内の時間が「停止」したかのような錯覚が一同を襲った。

空気が、変わった。

それは恐怖ではなかった。圧迫感でもない。

ただ、そこに【在る】だけで、世界のすべてが、その存在を承認せざるを得ないような、絶対的な【意思】

大聖堂を埋め尽くす光の粒子が、雪のように静かに降り注ぐ。

目に見える姿はない。

しかし、そこには確実に”何かが”存在している。


『管理者……イシテル……』


アイが呆然と呟く。


その瞬間、アイの解析が限界を超えたフル稼働に達し、坂本の脳内に「世界の真実」の断片が激流となって流れ込んだ。


―この世界は、巨大なシステムによって管理されている揺りかごであること。

―【管理者イシテル】とは、この世界を存続させるための【意志】そのものであること。

―そして坂本と真鍋は、システムに影響を与える存在に、成長しうる可能性を秘めるであること。


言葉ではない。概念が直接、魂に刻まれる。


『……コンタクト、成功。プロトコル「イシテル」との接続を維持します……。坂本様、真鍋様……彼女は、私たちが進むべき道を認めています』


アイの声が、限界を超えた負荷で震えている。

彼女は今、一秒間に億を数える神の言語を解析し、二人のための”保護膜”を作り上げていた。

大聖堂内の光景は、一変していた。

さきほどまで傲慢な態度を崩さなかった貴族たちも、冷徹な聖職者たちも、誰一人としてこうべを上げている者はいなかった。

彼らは本能で悟ったのだ。自分たちが今、決して直視してはならない【存在】と同じ空間を共有しているということを。

誰が先ともなく、人々は自然と膝を突き、床に額を擦り付けた。

彼らの心にあるのは恐怖ではない。

絶対的な存在に対する”畏敬”と、存在を許されていることへの”感謝” のみ。

言葉にならない祈りが、波のように大聖堂に広がっていく。


坂本と真鍋だけが、アイの決死の防護壁に守られ、その光の中に立って【管理者】とのつながりを保っていられた。


『……行きなさい。あなたたちの歩む道が、この世界の新たなことわりとなるように』


坂本と真鍋の耳に、確かな声が響いた。


次の瞬間、爆発的な光の波動が聖堂から放たれ、それはトルメキの街を、ハーバス領を、そして遠く離れた王都カラロードの空までも、真昼のような輝きで包み込んだ。

光が収まり、人々がようやく顔を上げたとき、そこにはもう「気配」はなかった。

ただ、壇上で静かに立ち尽くす坂本と真鍋。

ライカは、涙を流しながら膝をついたまま、震える声で絞り出した。

「女神の使徒…」

もはや、疑う者は誰一人いなかった。

真鍋を「道具」として利用しようとしていた者たちは、自分たちの傲慢さを恥じ、ただひたすらに彼女たちの背中に神聖な幻影を見ていた。


「私たちは、この世界を巡り、全て見定めます 」

誰もが、真鍋の言葉を受け入れ、心にとめるのであった。


この日、大陸全土の観測所に設置された魔導具は、すべて最大値を振り切り、その半分が焼失した。

教会を通じて、この【女神降臨】の報せは、瞬く間に大陸全土へ届けられ、そして王都の王座へも報告さられることになる。


真鍋と坂本の存在は、他国にも影響を与える物となり、世界が2人を認めた。

【女神の使徒と騎士】として。




果たして、存在感が増した真鍋と坂本に自由は訪れるるのかな?

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