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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第2章 冒険の幕開け
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第24話 環境

「はい、500リンちょうどで 」


「ちょうどだね。いつもありがとうね 」


坂本が銅貨を差し出すと、恰幅の良い女性店主は、日に焼けた顔をほころばせてカゴの端を指差した。


「あんたたちはいつも愛想が良いからね。これはおまけだよ」


そう言って、一口サイズの真っ赤な果実を二個、サービスで袋に入れてくれた。


「おばちゃん、ありがとう! また来るね」


真鍋が弾けるような天使笑顔で応える。

店を離れると、もらったばかりの果実を口に放り込んだ。

甘酸っぱい果汁が、昼下がりの商店街の熱気にさらされた喉を心地よく潤す。


「次はパン屋さんに寄ろうよ。私、こっちのパンも種類が豊富で良かったよねぇ」


あの黒いパンみたいなのしかなかったらと想像し渋い顔の坂本。


鼻歌混じりに歩く真鍋を見ながら、坂本は現在の状況を改めて整理していた。


現在、二人はライカが治める地方都市の一つ、トルメキの街に滞在している。

「トルメキ」という響きに、某【火の7日間】を運んでいた、軍事国家を連想してしまうのは地球人ゆえの性だ。

しかし、ここは至って平和な商業都市で、アルサーク王国の王都カラロードへと続く街道が交差する、交通の要衝でもある。


いま2人は手を繋ぎ、この街で「大陸共通語」の習得に励んでいた。

もっとも、坂本の方はAIアシスタントの自動翻訳機能によって、ほぼネイティブに近いレベルで会話をこなしている。

対する真鍋は、脳内でAIアシスタントが流す同時通訳の音声と、目の前の住民が発する生の音を聞き比べながらの猛勉強中だ。


(もぉ……異世界ラノベの定番の【翻訳スキル】とかがあるはずでしょ!? なんで私、耳と頭をフル回転させてるのよ!)


地頭の良さでなんとか食らいついている真鍋だったが、心の中で何度も毒づいていた。


一応、坂本にはその【定番】が備わっていて、今も着々とAIアシスタントが学習中である。


市場での買い出しを終え、二人は帰路につく。


現在の彼らの拠点は、街の外れにあるユタル老師の別邸だ。

古びてはいるが、魔導士の持ち物らしく頑強な結界が施されており、人目を避けて暮らすには最適な場所だった。

真鍋曰く、”ノイズだらけ”らしい。


「真鍋さん、こっちの言葉もだいぶ上達してきたね。その調子その調子」


荷物を抱えた坂本が軽く声をかけると、真鍋がジト目で睨んでいた…。


「坂本君はいいよね。それ、チートだよ、チート! 私は単語から文法やらで頭がパンクしそうなのに…… あーあ、なんかイライラしてきたかも」


真鍋の感情に呼応するように、彼女の周囲の空間が微かに、しかし確実に歪み始める。大気が静電気を帯びたようにチリチリと振動し始める。


「ま、真鍋さん! 漏れてる、漏れてるよ! また前みたいに大変なことになっちゃうから!」


「……っ、うぅ……。ごめん、落ち着く……」


真鍋が深呼吸をして、なんとか現象を抑え込む。坂本は冷や汗を拭った。


思い返せば、城塞都市ハーバスに到着した当初は散々だった。


「女神の降臨」として熱狂的に迎えられた二人は、侯爵閣下をはじめ、重臣や高位の魔導士、果ては宗教関係者といった蒼々たる面々に囲まれ、恭しく、しかし執拗に接せられたのだ。


その過剰な期待と重圧に、真鍋の繊細(?)な心が

「折れた」


彼女は自衛本能から、周囲数メートルを「指定領域」に設定し、自分と他者の間に明確な境界線を引いてしまったのだ。


突如、周囲に重圧が展開しされ、抵抗値の低い者から、膝をつき卒倒してゆく…。

その事態にハーバスは「女神の怒り」として厳戒態勢に突入した。

領都全体がパニックに至り、それを必死に収めたのが、ライカとユタル老師だった。

坂本も仲介に入り、自分たちが異世界から来た迷い人であること、決して神などではないことを(ある程度ぼかしながら)説明。

結果として、ユタル老師が身元を引き受け、ライカが責任を持って監視・保護するという名目で、今の平穏な生活に至っている。


現在の表向きの立場は、

坂本は「ただの青年」

そして真鍋は、「非常に危険な少女」として落ち着いた。


もう「女神」でも「女神の騎士」でもないことになっている。


しかし、その圧倒的な力を目の当たりにした者たちの中には、逆に畏怖の念を抱き、影で「真理の乙女」などと呼んで熱烈に信奉する隠れ信者も誕生しているとかいないとか……。



別邸の重厚な門をくぐると、庭で薬草をいじっていたユタル老師が顔を上げた。


「おお、帰ってきたか。サキも少しは落ち着いたようじゃな。先ほどからライカ殿が来ておるぞ。どうやら、折り入って話したいことがあるそうじゃ。応接室におる。とりあえず参ろう」


「ライカさんが? 分かりました」


坂本と真鍋は顔を見合わせ、買ってきた荷物を台所に置くと、老師に連れられて応接室へと向かった。

扉の向こうに待つライカの表情は、いつになく真剣なものだった。


物価の感覚は、日本の1/2位で。

パンは普通に柔らかいものから硬いものまで品が揃えがある。好みと経済力と日持ちの関係。

ライカのお願いは、面倒なことかな?

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