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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第1章 異世界サバイバル
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第21話 作戦

静寂が現場を支配していた。

先ほどまでそこにあったはずの、森の生態系の頂点「森の悪魔」は、今や無残に首筋を断たれた巨大な肉塊へと成り果てている。

いち早く冷静さを取り戻したのは、百戦錬磨の将、ライカであった。

彼は重い沈黙を破るように一度目を閉じ、額に手を当てて思考を巡らせた。


(……間違いない。一瞬、この森の一角に緊張が増した。腕輪に反応がなかったが、女神が何かしらの干渉をしていた…。それに、この青年の動きは、我々の知る剣術の枠を超えている。予備動作が皆無だ。初動から結果までが、まるで一本の線で結ばれているかのような……。

あの若々しい姿も、高位の存在が纏う仮初めの器に過ぎぬのかだろうか?そして、あの剣……。一見古びているが、一振りで森の悪魔を屠るなど、伝説に聞く魔剣の類だろう。ここは一旦、帰還した方がよさそうだな)


ライカは目を開けると、一歩前に出て、最大限の敬意を込めて告げた。


「女神の騎士殿。我々も当初の目的を果たし、一旦帰還せねばならぬ。……次回は、是非、女神様とも直接お目にかかり、我らの感謝と敬意を捧げたいと思うのだが、いかがだろうか?」


坂本は、岩陰に隠れている真鍋の気配を意識しながら、少し困ったように頬を掻いた。


「う……。一度、彼女に確認してみます。今から数えて、七回目の朝日が昇った日に、またここで会うというのはどうでしょう?」


「七日後だな。承知した。太陽が真上に来る頃、またこの場所に参ろう」


ライカは深く頷いた。

交渉の席が設けられたことへの安堵が、その厳格な横顔にわずかに滲む。


「分かりました。……あ、そうだ。お土産にこの”熊”、いりますか?」


坂本のあまりに無造作な提案に、後ろに控えていたサラとエリスが息を呑む。


「森の悪魔」を土産物扱いするなど、この国の歴史上例がない。ライカは喉を鳴らし、慎重に言葉を選んだ。


「……身に余る光栄だが、我ら三名ではこれを運び切ることは叶わぬ。もし許されるならば、その武勇の証として、右手だけを頂くことはできるだろうか?」


「いいですよ。はい、どうぞ」


坂本は迷うことなく剣を一閃させた。肉を断つ音すらしない。巨大な前足が、まるでバターでも切るかのように切り落とされ、坂本はそれをライカへと差し出した。


「かたじけない……。女神の騎士殿、感謝する」


「次回は、女神様とお話しできることを楽しみにしておりますわ」


エリスが淑女の礼をとり、ライカ、エリス、サラの一行は、背後の気配を警戒しながらも、森の出口へと引き返し始めた。


その後ろ姿が見えなくなるまで見送り、坂本は大きく溜息をついた。


「……真鍋さん、どうかな? 彼ら、戻っていったっぽい?」


岩陰から、ひょこっと真鍋が姿を現した。


「坂本君、お疲れ様。うん、ノイズはどんどん遠ざかってる。多分大丈夫だと思うわ。……で、どんな感じだった?」


「うん、アルサークっていう国の騎士らしいよ。森の異変について調査に来たんだって」


「森の異変?」


「……多分、自分たちのことだね。真鍋さんのプラズマ爆発が、あちらで観測されてたみたいだよ」


「そ、そうなの……」


バツが悪そうに視線を逸らした真鍋だったが、すぐに表情をパッと明るくして、あからさまに話を切り替えた。


「そんなことより! 真ん中にいた茶色の髪の子、すごく可愛かったよね。お姫様みたいだった!」


坂本はそれを見て、内心で苦笑した。

(地球での貴方もそうだけど、こっちでの真鍋さんの姿こそ、この世の物かと疑うレベルの美少女ですよ)

と思いつつ、先ほどの会話を思い出してそっと呟いた。


「……女神かぁ…」


「えっ!? 坂本君、あの子のこと好きになっちゃったの!? 早すぎない!?」


「いやっ、違うよ! 真鍋さんのことだよ!」


「えっっ! 私!? ……いや、まあ、私も坂本君のことは……何となく、そんな気もしてないことは無い……というか……」


真鍋が急に頬を赤らめ、指先をいじりながら俯く。坂本は慌てて首を振った。


「ん? いや、あの騎士たちが真鍋さんのことを『女神様』と呼んでいたんだ。僕は『女神の騎士』らしいよ。一応、坂本って名乗ってたんだけどね」


「そ、そうよね……。って、私が女神様!?」


「多分、真鍋さんが使っている魔法が、こちらの常識とは根本的に違うみたいなんだ。魔力の流れというより、真鍋さんの魔法は”物理”そのものだからね。彼らからすれば、理外の存在に見えるんだろう」


坂本は真面目な顔に戻り、真鍋を見つめた。


「七日後の昼に、もう一度会う約束をしたよ。真鍋さん、これからのことを考えよう。いつまでもこの森で自給自足の生活を続けるのは、限界があると思うんだ」


「……そうだね。文明社会が、ちょっと恋しいかも。……分かった、さっさとこの熊モドキを解体して戻りましょう」


洞窟に戻り、温かいスープを飲んで落ち着いた頃、坂本が切り出した。


「真鍋さん、時間いいかな?」


「うん、大丈夫だよ」


「AIアシスタント!」


『坂本様、何かお手伝いできることはありますか?』


「真鍋さんと、これからの行動について考えを絞りたい。今日の騎士たちのことも踏まえ、今後の可能性と行動例を三つ挙げて欲しい」


『かしこまりました。状況を分析し、最適な選択肢を提示します』


脳内に、AIアシスタントの落ち着いた声が響く。


「真鍋さん、考えをまとめた物を伝えるね。


1、武力行使パターン。期日前に騎士団、あるいは手練れを動員し、我々を拘束または排除する可能性。


2、謀略パターン。友好を装い、有利な場所へ移動させた上で罠にかける可能性。


3、共生パターン。純粋な知的好奇心、あるいは信仰心に基づき、交友を深め情報の収集を行う可能性。


1と2の場合、相手も相応の覚悟が必要だと思う。僕達に対しての敵対行為だからね。引き続き森での隠遁生活、あるいは他国への脱出が必要かな。


3の場合、関係を築ければこの世界への順応が容易なるよね。特に相手は、僕たちを神格化してくれてるし。丁重な待遇に期待が持てるかな。でも、同時に貴族社会の政争に巻き込まれるリスクもあると思う」


坂本は真鍋の方を向いた。


「真鍋さんは、どう思う? 僕としては、”女神”という誤解をあえて否定も肯定もせず、しばらく様子を見たいんだ。日本語も通じないこの世界で、暮らしに慣れるための絶好の機会だと思う」


真鍋は少し考え、ふっと微笑んだ。


「この中なら、三番しかないよね。……もしダメそうなら、その時は覚悟を決めて、また森に戻ってこようよ。私も、そろそろお風呂とか、ちゃんとしたご飯とか、文明社会が恋しかったんだ」


「決まりだね。じゃあ、三番の方針で考え得るトラブルのパターンを想定しておくよ」


「いつもありがとう、坂本君」


真鍋はそう言うと、少しだけ坂本の顔を覗き込み、はにかむように笑った。


「……私の騎士様、頼りにしてるね」


その少しだけデレた真鍋の表情に、坂本は激しく動悸を打つのを必死に隠すのだった。


真鍋デレる。

今後の方針が決まり、決断の7日後を迎える。

2人の運命が動き出そうとしてるかな。

真鍋はこの世界の言葉は話せないけと…。

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