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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第1章 異世界サバイバル
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第13話 油断と戦闘

拠点整備に追われる中で、真鍋は思考が固まっていた。

無事に火を起こし、飲料水確保の為、小川の水を煮沸し始め、仕事が順調に進む安堵感が、彼女から「警戒」を奪っていたのだ。


(煮沸が終わるまで時間がかかるし、少しでも魔力に慣れておかないと……)


 真鍋は火の番を離れ、数メートル先の拠点へと歩き出した。

ここが日本ではなく、魔物が徘徊する異世界であることを、慣れない作業の疲労が思考から追い出していた。


 その時だった。

背後から、鼓膜を劈くような「情報のノイズ」が急激に膨れ上がった。


(えっ、何……この音!?)


 振り返ると、小川の向こう側の茂みをなぎ倒し、獣様な影が突進してくるのが見えた。

 それは、地球のイノシシを二回りほど大きくし、漆黒の様な体毛に赤く血走った眼を持つ獣。


「きゃあああああっ!!」


 真鍋の悲鳴が森に響く。

獣は一直線に彼女を目指した。

だが、その突進ルート上に彼女の朝の仕事場があった。

 ガシャアッ!

 猛烈な勢いで衝突した獣は、沸騰していた鍋をまともに浴びた。


「グギィィィヤアアアッ!」


 熱湯を被った獣が狂乱し、さらに速度を上げる。真鍋は恐怖に顔を強張らせながら、無意識に両手を突き出した。


(来ないで! あっちに行って!!)


 絶叫に近い彼女のイメージに、スキル『魔力の源』が呼応した。

真鍋と獣の間の空気が目に見えるほど歪み、高密度に圧縮される。

 そこへ、坂本の声が飛び込んできた。


「真鍋さん!」


「坂本君! あれ、あいつが!」


 坂本の姿を見た瞬間、真鍋の無意識の集中が乱れる。

制御を失った「空気の壁」が、指向性を持ったまま爆発的に解放される。


 ドォォォン!


 圧縮された空気の塊が、獣の鼻っ面を叩いた。

数百キロの巨体が木の葉のように舞い、数メートル先の坂本の方へと吹き飛ばされる。


「うおっ!? なんだ!?」


「あっ、ごめんなさい!」


 降ってきた獣を辛うじて横転して避けた坂本は、即座に剣を引き抜いた。


「大丈夫だ! 真鍋さんは下がって、安全距離を保ってて!」


 坂本は震える膝に力を込め、腰を落とした。心臓が早鐘を打つ。

「AIアシスタント、補助を! こいつを仕留める一番いい方法を!」


『坂本様、現状を確認。敵個体は熱傷により興奮状態です。正面対峙はリスクが高いと思われます。おびき寄せ、罠へ誘導することを提案します。脳内にイメージを展開致します。』


 坂本の視界に、格子状のガイドラインが重なる。


「了解!」


 坂本は剣をわざと地面に叩きつけ、獣を挑発した。逆上した獣が、再び地を削りながら突進を開始する。

坂本は牽制と回避をしつつ、来た道を戻って行った。


獣の熱気と異臭を感じ幾度かと回避をかさね、距離感をコントロールする。


『坂本様、次の突進はギリギリの回避を、右方向へお願い致します。』


瞬間、坂本は意識を下半身に集中させ、真横へと跳んだ。


 獣の目の前には、掘ったばかりのトイレ用の穴。

だが、レッサーボアは野生の跳躍力を見せた。


「グオォッ!」


 穴を飛び越える獣。


(マジかよ!?)

 坂本が驚愕したのも束の間、着地した獣の先には、もう一つの穴――生活ゴミ用に掘られた、より深い穴があった。


 ズサァァァッ! ボフッ!


 着地直後の体勢を崩した獣は、そのまま頭からゴミ用の穴へ突っ込んだ。

逆さまになり、脚をバタつかせて暴れるが、狭い穴に肩がはまり、容易には抜け出せない。


『坂本様、二段構えの誘導、成流石です。今なら動脈を狙えますので、首筋に切り込みをいれ血抜き作業をお願い致します』

『血抜き後の、簡単乾燥肉の作成方をお教えしましょうか?』


 AIの声が、坂本の背中を押す。

 坂本は穴に駆け寄り、もがく獣を見下ろした。命を奪うことへの根源的な拒絶感が、胃をせり上げさせる。だが、これを逃せば、次はない。


「くそっ……! あああああ!」


 叫びと共に、坂本は剣を突き立てた。”剣術”のスキルの影響か最短距離で急所を貫く。

 ドクドクと溢れ出す黒赤い血。獣の抵抗が徐々に弱まり、やがて静かになった。


「はぁ、はぁ……っ……」


 そこへ、真鍋が震える足取りで歩み寄ってきた。彼女の顔も土気色だった。


「……坂本君。…大丈夫?ごめん、私、油断してた。」


 二人は穴の縁で、しばらく動かなくなった獣を見つめていた。喉を突き上げる吐き気を堪え、命を奪った感触を、消えない刻印として心に刻んだ。


 結局、二人は疲労困憊のまま、AIアシスタントの指導の下魔物を解体し、保存方法、残骸の処理方法を学んだ。

泥だらけの身体で拠点へ引き返す。


 魔物を呼び寄せたのは、残飯、そして自分たちがそこにいるという「生活の痕跡」を隠しきれていなかったせいだと、AIアシスタントが告げていた。


「……次は、もっとうまくやる」

「ええ。これからは、絶対に油断しない」


 夕闇が迫る中、二人は固く誓い合った。

初めての本格的な戦闘を終え、二人の間には言葉にできない連帯感が生まれていた。

生きる為に、必要な事を学び成長していく。

真鍋、初魔法(?)を使用しました。

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