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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第1章 異世界サバイバル
12/27

第11話 2日

洞窟の外、川のせせらぎが聞こえる場所で、坂本昇は一人、倒木に腰掛けていた。

先ほど真鍋から受けた「氷の微笑」の冷たさが、まだ背筋に残っている。


(はぁ……。剣を振れば強くなれるなんて、単細胞すぎたな)


 坂本は深くため息をつき、思考を現実的なサバイバルへと切り替えた。

 幸い、拠点となる洞窟、飲み水、そして火を確保することはできた。

しかし、それはあくまで「今日死なない」ための最低条件に過ぎない。


(やるべきことが多すぎる。継続的な食料の確保、塩分やミネラルの摂取、生活道具の作成、それに衛生管理……。ゴミ捨て場やトイレの場所も決めなきゃ。)


 そして何より、坂本にとっての最大の難題は「真鍋咲希」という存在そのものだった。


 日本にいた頃、彼は「モブ」に徹し、女子との接点など皆無に等しかった。

異世界に来て二人きり。

彼女が何を求め、何に傷つき、何に恐怖しているのか。

それを汲み取れなければ、この共同生活は内部から崩壊する。


(こういう時は、することに追われたら負けだ。行動の基盤を固めて、少しずつルーチンを増やしていくしかない)


『坂本様、何かお手伝いできることはありますか?』


 脳内に響くAIアシスタントの声。坂本はそれに答え、サバイバルのための「基本指針」まとめていった。


1.無理をしない

(今の自分たちにできることだけを確実にこなす)

2.体力の温存

(体を冷やさず、無駄なカロリー消費を避ける)

3.役割と行動のルーチン化

(仕事を分担し、適度な距離感を保つ)

4.問題は即相談

(独断は、相手にとっての苦痛になりかねない)


 朝から一人で勝手に剣を振り回し、真鍋をパニックに陥らせ無駄な体力の消耗…。

まさにこの指針の真逆を行く行為だった。

坂本は反省し、今後の生活を彼女と「契約」するつもりで話し合う決意を固めた。


—--


 一方、真鍋咲希は少し離れた川辺で、ぼんやりと水面を眺めていた。

 透き通った水の中を、奇妙な形の小魚が泳いでいる。


(……これから、どうなっちゃうんだろう)


 彼女はそっと自分のステータスを開いた。


名前:マーサ(真鍋 咲希)

レベル:1

HP:100%

MP:100%

スキル:魔力の源

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎($#@:¥※)


(マーサさん。あなたは、どんな女の子だったの? この服を着て、どこで生活していたのかな?、きっと近くに村か町があるんだよね……)


ふと、隣で同じように倒れていた坂本昇のことを考える。


(二人は恋人だったのかな? それともただの幼馴染…?)


たった二日。

日本で平和な日常を送っていた彼女が、異世界に放り出されてから、まだそれだけの時間しか経っていないのだ。


(はぁ……。お家、帰りたいな……)


 ふいに涙がこぼれそうになり、真鍋は強くまぶたを閉じた。

 昨夜、坂本が意識を失った時、彼女を襲ったのは「孤独」への圧倒的な恐怖だった。

この見知らぬ世界で、唯一言葉と記憶を共有できる坂本がいなくなれば、自分はきっと狂ってしまう。

 だからこそ、朝、何も言わずに外へ出た坂本を見て、恐怖が怒りへと変わったのだ。

「自分勝手に死なないでよ」という叫びが態度になって表れていた。


(私が、もっとしっかりしなきゃ。泣いてるだけじゃ、坂本君の負担になるだけだわ)


 彼女は、自分の掌を見つめた。『魔力の源』というスキル。

まだノイズがひどいが、このノイズはこの世界の情報が詰まっていて、私が処理しきれてないだけ。この力の奥底には、自分たちを守るための「何か」が眠っている。

あの洞窟の隠し部屋を見つけたときのように、感覚を研ぎ澄ませば、きっと道は開けるはずだ。

真鍋は顔を上げ、濡れた頬を袖で拭った。


 二日という時間は、絶望するには十分だが、覚悟を決めるには短すぎるかもしれない。それでも、彼女の瞳には、生存への強い火が灯り始めていた。


「真鍋さん」


 背後から、坂本が声をかけてきた。少し気まずそうに、けれど真剣な表情をしている。


「さっきはごめん。……これからのこと、少しちゃんと相談させてくれないかな」


 真鍋はその言葉を待っていた。


「いいよ、坂本君。……私たち、まだ死ぬわけにはいかないもんね」


二人の視線が交差する。

異世界という名の巨大な迷宮で、迷子になった子供のような二人が、初めて「対等なパートナー」として手を取り合おうとした瞬間だった。

サバイバルの指針を共有し、役割分担を決める二人。

しかし、平穏な相談の時間は長くは続かない。

森の「生態系」は、確実に彼らの存在を異物として認識し始めていた!?。

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