【第95話:システム・ハッキング】
【タイムリミット:残り15分】
「お前がこの要塞を作るために、商人の都からどれだけ金を横領したか!
魔法の都の評議会を買収した証拠!
裏金の流れ、不正な魔力搾取のログ!
全部ここに書いてあるぞ!!」
カイは帳簿をパラパラと見せびらかした。
「……ふん。 この状況で、そんな紙切れが何になる?」
ザガンが呆れたように鼻で笑った。
神となった自分に対し、横領の証拠などを突きつけるEランク冒険者。
あまりにも滑稽で、理解不能な行動。
だが、それこそがカイの狙いだった。
ザガンは「システム」と融合した。
ならば、システム特有の弱点――「処理しきれない矛盾データ」が存在するはずだ。
「ノクス、今だ!!
この帳簿データを『ノイズ』として、ザガンの思考領域に流し込め!!」
『了解!! 接続開始!!
データ送信……「不正経理」「賄賂」「脱税」……!!』
「なっ……!?」
ザガンの動きが止まった。
彼の脳内に、大量の「俗物的な汚職データ」が雪崩れ込んだのだ。
「神」としての崇高な思考と、「悪党」としての過去の記録。
その致命的な矛盾が、処理落ち(ラグ)を引き起こす。
「ぐ、あ……? 私の……神の…演算処理に……タイムラグが……!?」
「神様なら、ウイルス対策くらいしとけよな!!
今だ、エルナ!!」
カイが叫ぶ。
ザガンがフリーズした、たった数秒の隙。
「……うん!!」
エルナが前に出る。
彼女の銀髪が逆立ち、全身が光り輝く。
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