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【第92話:秩序という名の狂気】視点:ガルド

【タイムリミット:残り1時間15分】


最上層の外側甲板から、内部の王の間へ続く回廊。

壁も床も、すべてが青い水晶で作られた不気味な空間。

ここを抜ければ、ザガンの玉座がある王の間だ。


最深部の扉の前で、ガルドたちは足を止めた。

扉が勝手に開く。


「……よく来たね。私の城へ」


広大な広間の奥。

水晶の玉座に座っていたのは、白磁の仮面をつけた男――ザガン。

いや、今の彼はもう「人間」ではなかった。

下半身が玉座と融合し、無数の水晶のパイプが背中に接続されている。

この要塞そのものが、彼の肉体なのだ。


「ザガン……! てめぇ、ずいぶん気色悪い趣味してんな!」


カイが叫ぶ。

ザガンは優雅にワイングラスを傾けた。


「騒がしいね。

……せっかくの『静寂』が台無しだ」


ザガンが指を鳴らす。

瞬間、部屋の空気が凍りついた。

見えない重圧プレッシャーが、三人を床に縫い付ける。


「ぐっ……!?」


「ようこそ、新世界のいしずえたちよ。

君たちも、私のコレクションに加えてあげよう」


ザガンの背後のパイプが脈打ち、部屋中の水晶から無数の棘が迫り出す。


「……ザガン。貴公の目的はなんだ」


ガルドは重圧に耐えながら、大剣を杖にして立ち上がった。

かつて共にクーデターを画策した同志として、最後の問いを投げる。


「貴公は言ったはずだ。腐敗した七都市を壊し、新たな秩序を作ると。

……これが、貴公の正義か?」


「正義?」


ザガンが冷笑する。


「そんな不確かなものではないよ、ガルド君。

これは『救済』だ。

人間は争う。老いる。裏切る。

だが、『結晶化』すればどうだ?

永遠に美しく、永遠に変わらない。

私はこの世界すべてを水晶の棺に閉じ込め、永遠の安寧を与えようとしているのだよ」


「……狂っている」


ガルドは吐き捨てた。

こいつは革命家ではない。世界を終わらせる悪魔だ。

私は、こんな男のために、リーゼ王女を手にかけたのか。


「……それが貴公の答えか。ならば――」


ガルドは大剣を構えた。

迷いはない。

ここが、私の死に場所だ。


「ここで斬る!」


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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