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【第91話:要塞甲板への強襲】

【タイムリミット:残り1時間45分】


機械兵士オートマトンたちが一斉射撃を開始する。

弾丸の嵐。


「ノクス、演算! 回避ルートをくれ!」


『了解! 視界に投影』


カイの網膜に、赤いレーザーラインの予測線が走る。

弾丸の軌道を読み、最小限の動きで避ける。


「右! しゃがめ! 次はジャンプだ!」


「注文が多いわよ!」


エルナが文句を言いながらも、完璧な動きで追従する。

彼女の放つ重力魔法が、迫りくる機械兵士を次々と圧縮し、スクラップに変えていく。


(強い……。これなら行ける!)


だが、甲板の中央に差し掛かった時。

巨大な影が二人の行く手を遮った。


「グルルル……」


全長10メートルはある、キメラの王。

ライオン、鷲、蛇が融合した醜悪な怪物が、三つの口から炎と毒を吐き出しながら立ちはだかる。


「デカすぎだろ! あんなの魔法じゃ止められないぞ!」


エルナの顔が青ざめる。

ノクスのバリアも、あの質量攻撃には耐えられない。


「くそっ……やばそうだな!?」


その時。

空から雷鳴のような轟音が響いた。


「――退けぇぇぇぇッ!! 雑魚どもォ!!」


ドガァァァァァァァン!!!!


巨大な大剣が、空からキメラの脳天に突き刺さった。

一撃必殺。

キメラの巨体が両断され、左右に崩れ落ちる。


土煙の中から現れたのは、全身傷だらけの黒鉄の騎士。


「お、おっさん!?」


「……遅いぞ、カイ。待ちくたびれた」


ガルド。

かつての敵。そして今は、頼れる仲間。

彼は獣王たちと共に別ルートから侵入し、合流地点まで先回りしていたのだ。


「無事だったのかよ! 獣王たちは!?」


「奴らは下層で敵を引きつけている。……ここは私が引き受けた」


ガルドは大剣を構え、血糊を払う。

その背中には、無数の傷が刻まれていた。

満身創痍。立っているのが奇跡のような状態だ。


「おい、その傷……! もう無理だろ!」


『警告。結晶化解除リミット 残り1時間15分』

ノクスが告げる。


「行くぞカイ。ザガンのいる『王の間』は、奥の回廊から繋がっている」


ガルドは痛みを顔に出さず、先頭に立って歩き出した。

その背中は、かつてカイが憎んだ「騎士団長の威厳」とは別の『覚悟』に満ちていた。


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