【第84話:決闘――カイ vs ガルド】
【タイムリミット:残り2日(48時間)】
ガルドの大剣は、文字通り「重」かった。
一振りごとに空気が裂け、衝撃波が地面を抉る。
「くっ、そ! 相変わらずのゴリラパワーだな!」
カイはノクスの重力制御で体を軽くし、レーザーラインが予見する斬撃を回避していた。
まともに受ければ、肉片すら残らない。
「逃げるか、カイ!
貴様の覚悟はその程度か!」
「逃げるが勝ちってね!
大体、俺は剣士じゃねぇ! Eランクのサポーターだ!」
カイは逃げ回りながら、洞窟内の地形を利用して罠を仕掛けていく。
油の入った壺を割り、視界を奪うための粉塵を撒く。
「くっ、小細工を……!」
ガルドが大剣を振るい、粉塵を吹き飛ばす。
その隙に、カイはガルドの死角へ回り込み、声を張り上げた。
「なぁ、ガルド!
あんた、本当にそれでいいのかよ!」
「……何?」
「ザガンの言いなりになって、世界をあいつのオモチャにして……。
それが、リーゼ王女を殺してまで作りたかった国なのかよ!」
ガルドの大剣が、一瞬だけ止まった。
その隙を見逃さず、カイは叫ぶ。
「俺は見たぞ!
ザガンの目的は『世界の結晶化』だ!
あいつは平和なんて望んじゃいない! ただの静寂……死の世界を望んでるんだ!」
「……妄言を」
「妄言じゃねぇ!
あいつは、リリアさんを水晶漬けにし、自宅に飾って喜んでるような狂人だぞ!
おまえは、そんな狂人に支配されて楽しいのか?」
「黙れぇぇぇぇッ!!」
ガルドの咆哮と共に、凄まじい斬撃が放たれる。
カイはノクスの全出力で防御障壁を展開したが、それでも吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられた。
「ガハッ……!」
激痛。骨がきしむ。
土煙の中から、ガルドが鬼のような形相で歩み寄ってくる。
だが、その目には涙が浮かんでいるように見えた。
「……知っている。
ザガンが狂っていることなど、最初から知っていた」
ガルドが剣を振り上げる。
「だが、もう遅いのだ。
私は手を汚しすぎた。王女を殺し、国を売り……今更、正義面などできるものか!
私は最後まで、悪として進むしかないのだ!」
それは、悲痛な叫びだった。
彼もまた、自分の罪に押し潰されそうになりながら、それでも止まれずにいるのだ。
「……馬鹿野郎」
カイは血を吐きながら笑った。
「遅くねぇよ。
生きてる限り、いつだってやり直せる。
……俺だって、一度は逃げた。でも戻ってきた。
あんたも、戻ってこいよ……元は、クソ真面目だけが取り柄の騎士様だったんだろう!」
ガルドの大剣が、カイの首寸前で止まる。
その手が震えている。
「……貴様……」
その時。
不気味なサイレン音が、夜空を引き裂いた。
ヒュオオオオオオオ……
「なんだ?」
カイとガルドが同時に空を見上げる。
夜空を覆い尽くす、無数の影。
鳥ではない。翼を持った異形の怪物たち――キメラの群れだ。
そして、その中心にある巨大な浮遊要塞から、増幅された声が降ってきた。
『――感動的な再会だね、諸君』
ザガンだ。
白磁の仮面の男が、空から嘲笑っている。
『無駄話はそこまでだ。
ガルド君、君の手が止まっているようだから……私が代わりに「掃除」をしてあげよう』
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
少しでもお楽しみいただけましたら、
広告の下にある 【★★★★★】 を押して応援していただけると、執筆の励みになります!
↓↓↓ 広告下のこちらより ↓↓↓
(※感想もお待ちしております。)




