【第83話:ガルドの急襲】視点:ガルド
「団長! お待ちください! 単独行動は危険です!」
副官の制止を背に、ガルドは愛馬を駆っていた。
夜の荒野。
目指すは、獣王の都の入り口だ。
「……うるさい。
これは『私闘』だ。軍は関係ない」
ガルドは自分に言い聞かせるように呟いた。
ザガンからの指示は「軍を用いての包囲殲滅」。
だが、ガルドの中にある騎士としての何かが、それを拒絶していた。
(カイ……。
貴様は、本当に「悪」なのか?)
リーゼ王女を殺し、国を奪った自分。
王女に託され、世界中から追われながらも、仲間を救おうと足掻くカイ。
どちらが正義で、どちらが悪なのか。
ザガンの指示に従うたびに、その境界が曖昧になっていく。
「確かめねばならん。……私の剣で」
ガルドは大剣を抜き放った。
獣王の都の門番たちが、ガルドの殺気に気づいて武器を構える。
「な、なんだ貴様! ここは獣王様の……」
「退け。雑魚に用はない」
一閃。
ガルドの剣圧だけで、門番たちが吹き飛ぶ。
殺してはいない。峰打ちだ。
無駄な殺生をする気はなかった。
「カイ!! 出てこい!!剣の都 騎士団長、ガルド・ヴィクトリアス・アイゼンだ!!」
雷鳴のような一喝が、夜の都に響き渡る。
宴の喧騒が止まった。
洞窟の奥から、一人の少年が姿を現す。
泥だらけの服。やせっぽちの体。
だが、その目は、かつて王城で対峙した時とは比べ物にならないほど、強く、澄んでいた。
「……待ってたぜ、ガルド。
いつか来ると思ってたよ」
カイがニヤリと笑う。
その隣には、銀髪の聖女が立っている。
「貴様の逃避行も、ここまでだ。
……その首、私が貰い受けてやる」
「やれるもんならやってみな。
……ただし、俺の武器は剣じゃねぇけどな!」
ガルドは馬を降り、剣を構えた。
これは処刑ではない。
自らの迷いを断ち切るための、決闘だ。
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