表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/97

【第72話:エルナの覚醒】

【タイムリミット:残り7日】


「うわっ、なんだ!?」


胸元のノクスが、かつてないほどの熱を発している。

まるで心臓のようにドクドクと脈打ち、黒い表面に赤い幾何学模様が浮かび上がる。


『共鳴しているぞ、カイ! 彼女の生体波動が、我のコアに直接干渉してくる!』


エルナが呆然とノクスを見つめている。

彼女の瞳の色が、虚ろな硝子色から、鮮やかな真紅へと変化していく。


「……あなたが、呼んでいたの?」


エルナが震える指で、ノクスに触れた瞬間。


カッッッ!!!!!!!


視界がホワイトアウトした。

音も、感覚も、すべてが光の中に溶けていく。


(――カイ!)


(――聞こえるか、カイ!)


脳内に直接響く声。

それはノクスの声であり、同時にエルナの声でもあった。


光が収まると、部屋の風景は一変していた。

床にも壁にも、複雑極まりない魔法陣が展開され、空中に無数の数式がホログラムのように浮遊している。

それは魔法の都のどんな大魔術よりも複雑で、美しい光景だった。


『システム・アップデート完了。

第七権限、完全解放フル・アンロック


ノクスの声が、歓喜に震えて響き渡る。


『認証完了。第七生体コード、適合率100%。

……ようやく会えたな、鍵の管理者よ』


エルナは自分の両手を見つめていた。

震えていた指先が、今は力強く魔力を帯びている。

彼女自身が発光しているかのようだ。


『カイ、理解したか?

彼女はただの「血液タンク」ではない。

彼女自身が、ノクスを制御し、その真の力を引き出すための生体端末コンソールなのだ』


「端末……?」


『我の「出力」と、彼女の「制御」。

この二つが揃って初めて、あのザガンの結晶化術式を解除するプログラムを組める』


カイは呆然とした。

コラルの言っていた通りだ。

血だけじゃ足りない。本人を連れて行かなければ、リリアは助からない。


「……つまり、誘拐確定ってことかよ」


国の象徴である聖女を連れ去る。

それは、聖女の都そのものを敵に回すことになる。


「上等だ……。やってやるよ」


その時、廊下から怒号が響いた。

今の光と魔力波で、ついにバレたのだ。


「曲者だ! 聖女様をお守りしろ!」

「異端審問官を呼べ!! 悪魔祓いだ!!」


扉が激しく叩かれる。

重厚な木材が、斧で叩き割られようとしている。


「チッ、囲まれたか!」


カイは身構えた。

武器はない。逃げ道も、入ってきた隠し通路じゃ小さすぎる。


「……下がって」


凛とした声が響いた。

エルナだった。

彼女は扉の前に立ち、右手をかざした。


「……開けなさい」


その言葉は、物理的な命令として世界に作用した。


ドォォォォン!!


扉が内側から弾け飛び、突入しようとしていた聖騎士たちを薙ぎ払った。

見えない衝撃波が廊下を走り、数十人の兵士たちがボウリングのピンのように吹き飛んでいく。


「な、なんだこの力は!?」

「魔法……!? 聖女様が攻撃魔法を!?」


エルナ自身も驚いたように自分の手を見ていた。

ノクスと同調したことで、彼女の中に眠っていた「王家の力」が目覚めたのだ。


「……すげぇ」


カイは口笛を吹いた。


「意外とやるじゃん、聖女様。

これなら――逃げ切れるかもな」


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでもお楽しみいただけましたら、

広告の下にある 【★★★★★】 を押して応援していただけると、執筆の励みになります!


↓↓↓ 広告下のこちらより ↓↓↓

(※感想もお待ちしております。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ