【第66話:コラルの願い】
【タイムリミット:残り9日】
「手伝うって……どういう意味だ?」
カイが問うと、コラルは城の奥の隠し扉を開けた。
そこには、巨大な地下水路の地図と、古びたトロッコのような乗り物があった。
「これ、古代の地下高速鉄道。
今は動かしてないけど、線路はずっと北西まで繋がってるの」
コラルが地図上の赤いラインを指でなぞる。
「ここを通れば、聖女の都の近くまで『2日』で行けるよ」
「ふ、2日!?」
20日以上の道のりが、2日に短縮される。
それなら往復4日。
聖女の血をすぐに手に入れて、商人の都へ戻れば…いや、それでもギリギリ間に合わないか…。
「そういえば、ザガンは、近々、獣王の都 ファングレアへ侵攻するかもしれないという情報が入ってる。
獣人たちの国は、鉱物資源が豊富だからね。
攻めるなら、空中要塞クリスタル・アークで、直接移動するんじゃないかな。」
「マジか……! なんでそんな大事なこと早く言わないんだよ!」
「だって、誰も聞かなかったもん」
コラルは悪びれもせずに言う。
「だから、1つお願いがあるんだ」
「……なんだ? また何か盗んで来いってか?」
「ううん。……その『聖女』を、外に出してあげて」
コラルの表情から、ふと幼さが消えた。
それは、同じ「作られた存在」としての、共感と哀れみの表情だった。
「聖女の都にいる『エルナ』って子はね、あたしと同じ。
カプセルの中で生まれて、神様のフリをさせられてる可哀そうな人形なの。
……ザガンは、あの子を使って何か悪いことをしようとしてる」
コラルは自分のチョーカーに触れた。
「あの子を空の下に連れ出してあげて。
そのままファングレアへ逃げ込めば、聖騎士たちは、それ以上追ってこれないはずだよ。」
カイはコラルを見た。
狂った幼女だと思っていたが、彼女もまた、ザガンという狂人の被害者なのだ。
「……わかった。
約束する。そのエルナって聖女も必ず救いだす!」
カイは拳を突き出した。
コラルはきょとんとして、それから小さな拳をコツンと合わせた。
「……期待してるよ、10億のお兄ちゃん」
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