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【第60話:不可能なミッション】

【タイムリミット:残り17日】


コラルはキャンディを噛み砕き、身を乗り出した。


「遊び?

あたし、かくれんぼなら得意だよ。

見つけた相手の首を狩るやつ」


「俺が得意なのは《宝探し》だ」


カイは単刀直入に切り出した。


「俺は、あんたが持っている『解錠コード』が欲しい。

その代わり、あんたが欲しがっている『七王家の遺産』……ノクスのデータをやる」


コラルの目が細められた。

一瞬で空気が凍る。

玉座の影から、二匹の巨大な黒豹が姿を現し、唸り声を上げる。


「……ふーん。

あたしのコードが欲しいんだ。

でもさ、ただのデータじゃつまんないな」


コラルは指を振り、空中に幻影ホログラムを映し出した。

そこに映っていたのは、厳重に警備された屋敷の奥にある、輝く宝珠。


「これ、知ってる?

隣国から来た使者が持っている『白夜の宝珠ミッドナイト・サン』。

通称、《沈まぬ太陽》。

聖女の都の秘宝だよ」


「……!」


「あたし、あれが欲しいの。

キラキラしてて綺麗だから」


コラルは無邪気に笑った。

その笑顔の裏に、どれだけの血が流れるかを全く気にしていない様子で。


「ねえ、お兄ちゃん。

もしあたしのコードが欲しいなら……あれを盗んできてよ。

明日の夜明けまでに」


「はぁ!? 明日って……!」


「うん。聖騎士団の精鋭が三十人くらいかな。

あと、屋敷全体に対魔力結界が張ってあるから、魔法は使えないよ」


「待ってくれ!

俺はこの街に来てから一週間以上も彷徨ってるんだ!

もう時間がない! もっと早く確実な方法は――」


「知らないよ。待たせたのは君でしょ?」


コラルは冷たく言い放った。

子供特有の残酷さ。彼女にとって他人の事情など、道端の石ころ以下の価値しかない。


「無理ならいいよ?

ここであたしのクロとシロのエサになってもらうから」


黒豹たちが喉を鳴らす。

拒否権はない。

タイムリミットが刻一刻と迫る中、さらに不可能な難題を突きつけられる。


カイは拳を握りしめた。

リリアを救うための鍵。それを手に入れるためには、この狂った王の遊戯に乗るしかない。


「……上等だ。

盗んでやるよ、その太陽」


「あはは! 言ったね!

じゃあ、ゲームスタート!」


コラルが手を叩くと、カイの足元の床が抜け、彼は闇の中へと落下していった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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